2014年発売の25冊!“考える”ためのおすすめ本・テーマ別まとめ


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  2014年のおすすめ新刊のまとめ記事です。昨年は単純に「読んだおすすめの本!」としていましたが、今回は「2014年の新刊」という縛りで。一部、既刊の文庫版や“2013年12月発売”という本もありますが、まあ括りとしてはギリギリだよね!

 また、選んでみたら案の定偏りがあったので、それとなくテーマ別にまとめてみました。かなりざっくりした区分ですが、「◯◯を考える」で分けております。

 あと、別記事にするのが面倒だったので、明らかに“考える”系じゃない小説・ライトノベルも一緒に載っけてます。念のため。

1. インターネットとの付き合い方を再考する本

『弱いつながり』東浩紀

 ざっくりとまとめれば、「Googleのシステムによって最適化された情報を“見せられている”環境から抜け出し、ネットのもたらす“強い絆”から自分を開放するための方法として、偶然性と“弱いつながり”に満ちた旅に出よう!」という内容……と、僕は読みました。

 ネットは広大だと言うけれど、見える景色は人それぞれ。個人個人の知識や経験からしか「検索ワード」は参照されない。その「検索ワード」幅を増やすためには、環境を変える必要がある。読むと、遠くの見知らぬ土地を旅したくなる、良書です。 

ネットには情報が溢れているということになっているけど、ぜんぜんそんなことはないんです。むしろ重要な情報は見えない。なぜなら、ネットでは自分が見たいと思っているものしか見ることができないからです。そしてまた、みな自分が書きたいと思うものしかネットに書かないからです。

『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す』津田大介

 「初心忘るべからず」ではないけれど、本書は「ソーシャルメディアの使い方」を改めて見直し、再考を促すことができる内容となっています。

 プロローグと巻末の付録を除けば、一冊を通してQ&A方式の構成になっており、項目ごとに非常に読みやすい仕様となっている点もありがたい。ソーシャルメディアが当たり前のものとなっている今、改めてネットリテラシーを考えるべき段階に来ているのかも?

 また、情報のインプット&アウトプット方法、「炎上」についての考え方など、非常にブロガー向けの本とも言える内容。おすすめでっせ!

ストック型のメディアである本は、あくまで「起点」。ソーシャルメディアを介して読者の疑問に答えたり、新たな議論が始まったりすることで、本で書いた内容にフロー的な情報が「乗っかってくる」と考えています。それも含めて、トータルなコンテンツになっていく。せっかく自分の考えをまとまったかたちで世の中に出すのですから、そうやってコミュニケーションすることで、付加価値が生まれると考えているのです。

2. 「ことば」について考える本

『伝わっているか?』小西利行

 物語形式で、「コミュニケーション」と「言葉」に関する悩みの事例を挙げながら、相手に言葉が「伝わる」ようになるメソッドを紹介していく内容。

 すぐに実践できそうな方法論ではあるけれど、それを自分の生活に取り入れ応用していくには訓練が必要そう。様々な事例と考え方が取り上げられており、“コミュニケーション”を考える取っ掛かりとしては絶妙な、良書だと思います。純粋におもしろかった。

 あと、このおっさんイルカ、胡散臭いくせに、憎めない。かわいい。

イルカ 未来が過去をつくるんだ。

金太郎 ははは。過去が未来をつくる、の間違いでしょ?

イルカ いや違う。どれだけ過去が辛かったとしても、未来で成功すれば、その過去はすべて、成功のための道筋になる。つまり、未来が良くなれば、どんな過去でもいい思い出になるわけだ。だから、過去についてくよくよするより、未来をよくするために努力する方がいい。未来を変えることで過去が変わるから。

『その言葉だと何も言っていないのと同じです!』吉岡友治

 社会に蔓延る「マジックワード」に対して一個一個突っ込んでいくだけの内容かと思いきや、その言葉に含蓄された意味や本質、マジックワードに対する対処法、考え方などをまとめた、非常に濃い一冊でした。

 後半は特に「論理的な思考法」に焦点が当てられており、どちらかと言えば、サブタイトルである「『自分の考え』を論理的に伝える技術」の方がメインコンテンツであるような読後感を受けた。気付きが多く、繰り返し読み返したい本です。

 唱えるだけで何かを「やった」という雰囲気にはなるのだが、実際はうまく問題解決できない。問題が難しいとき、我々はこういう言い方に頼りがちだ。

『本の「使い方」』出口治明

 幼い頃から“活字中毒”だったという、ライフネット生命保険会長さんの著作。教養を学ぶためにビジネス書ではなく古典を勧めるなど、首肯できる部分が非常に多かった。

 最近忙しくて読書ができていない人、積読をためこんでしまう人、本を読みたいけれど踏み切れない人、どこから手を付ければいいのか分からない人。

 そのような潜在的に「読書」に関心を持っている人に対して、「本を読みたい!読もう!読まねば!」と駆り立ててくれるような力を持った良書です。自然と図書館へと足が向かう本。

 私にとって読書は、食卓に並ぶ「おいしいおかず」のようなイメージです。

 パンやお米だけでも、最低限の食欲を満たすことはできます。しかし、食卓に「おいしいおかず」が並んだとき、食事の時間は、もっと豊かで、もっと楽しい時間に変わります。

 本がなくても死ぬことはありません。でも、本がなかったら、人生を楽しむことはできないでしょう。少なくとも私はそう思います。

3. 承認欲求、対人関係、コミュニケーションを考える本

『承認をめぐる病』斎藤環

 現代日本を覆う「コミュニケーション偏重主義」と「承認欲求」に関して、精神科医である著者の視点から解説した本。「キャラクター」を演じるコミュニケーションや、「承認欲求」を求めて働く若者の思考構造など、その世代である自分にとっても得心のいく内容でした。

 著者がオタク研究家でもある斎藤環さんということで、一例として取り上げられていたエヴァの話なども個人的にはおもしろかったです。物語論の視点も合わせて。

 私が求めるものは「承認」よりも「関係」であり、「コミュニケーション」よりも「ダイアローグ(対話)」である。さしあたりそれらは、構造的必然を超えるための理想でしかないが、この現在を“病み抜ける”ための道標として念頭に置きつつお読みいただければ幸いである。

『“ありのまま”の自分に気づく』小池龍之介

 現役住職の著者による、「承認」も「渇愛」も求めず「孤独」を意識し、ただ「ありのまま」を受容せよという教えを記した本。“れりごー”ではない。

 常に中立的な立ち位置に自分を据えて、「良い」も「悪い」も「こうなりたい」も「ああするべき」も全部、その感情があることに気づき、受け止め、見届けるだけ。辛い時、苦しい時の、「考え方」の処方箋。

 圧倒的な客観(ありのまま)に、目を見開いていくという方向性。良い意味で諦めてゆくことにより、「こうしなきゃ」「ああしなきゃ」という無益な思考から、自由になる。

『嫌われる勇気』岸見一郎、古賀史健

 アドラー心理学における「対人関係」や「生き方」に関する視点と考え方を示した本。一般的に“常識”と考えられている言説とは異なる点が多く、それゆえに心理学と親しみのない読者には並々ならぬ衝撃を与えるものかと。

 アドラー心理学の全てに納得する必要はないし、そもそも、実践しようとしてもむちゃくちゃ難しいものだと思う。それでも、「こういう視点もあるんだよ」ということを知っておくだけでも、悩んだとき、苦しいときに、頭を切り替えるきっかけになるかもしれません。よりシンプルに。自分だけの人生を、楽しもう。

神経症的なライフスタイルを持った人は、なにかと「みんな」「いつも」「すべて」といった言葉を使います。「みんな自分を嫌っている」とか「いつも自分だけが損をする」とか「すべて間違っている」というように。もし、あなたがこれら一般化の言葉を口癖としているようなら、注意が必要です。

『ひとりぼっちを笑うな』蛭子能収

 友達が少ない、グループに溶け込めない、人付き合いに悩んでいる。そんな「ぼっち」の人に向けて、ひとつの考え方を示した本。

 「ひとりぼっちのススメ」のようなものではなく、「ひとりぼっちも悪くないよ?」と、ひとつの考え方を示すような内容。自身が「内向的」だと感じている人には、何かしら刺さる部分があるんじゃないかしら。おすすめ。

基本的には、他人がどんな態度を示そうとも、どんなことを言おうとも、それはその人の自由であって然るべき。もし変なことを言っている人がいたら、「あれ? あいつはなんだか変なことを言っているなあ」というぐらいの感じで受け止めておけばいいんですよ。人がしゃべることは自由だから、それを止めることは誰にもできない。だから、「それは不謹慎だよ」って言っても仕方ないし、その人はそういう考えなのだなって思っておけば十分です。

『応援する力』松岡修造

 “炎の妖精”こと松岡修造さんのライフワークでもある、「応援」について記した内容。熱狂(あつくる)しい著者が「応援ってすげえ!」と思えるようになった経緯に始まり、これまでに接し応援してきたプロのアスリートたちとのエピソードから、家族や友人、部下など、身近な人を応援するにあたっての考え方まで。

 日常という身近な視点から、「応援」を生活に取り入れる方法。誰もが常に彼のように燃え上がり続けるのは無理だとしても、「ちょっとだけ頑張ってみよう」と考えるきっかけにはなるのではないかしら。

声を出して応援するだけではない、本当の意味での“応援”とは何か。真剣に考えました。結果、僕にできることは、彼の思いを真剣に聞くこと。とにかくすべてを吐き出してもらうことで、少しでも前向きな気持ちになってもらうことしかない、という思いに至ったのです。

4. 日本のサブカルチャー、ポップカルチャーを考える本

『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』柴那典

 「サード・サマー・オブ・ラブ」「遊び場」の2つをキーワードから、音楽史における「初音ミク」の存在と、それが単なるブームで終わらずひとつのカルチャーとして存在感を高めるにまで至った理由を紐解いた内容。

 初音ミクの「これまで」を整理し、そして「これから」を考えるにあたっての必読書となりうるものかと。

 クリエイターたちがそこに見ていたのは、ビジネスや採算や、そういったこととは関係ない、創作と表現の「楽しさ」そのものだった。

 これは「終わりの始まり」だ――。あの頃そんな風に語り、音楽の未来について悲観的な物言いをしていたのは、既存のシステムの中にいた大人たちばかりだった。

『一〇年代文化論』さやわか

 「残念」という言葉をメイントピックとして、その要素を含んだ近年のサブカルチャーについて言及、論じた内容。

 ゆとり世代だのさとり世代だの、世代を表す言葉は多くあるが、そのような年齢別のカテゴライズはもはや意味を成していないのではないか。新旧世代を区別するのは、現代日本社会に蔓延る新しい感性を理解できるかどうかなのでは。

 その基準として、「残念」という考え方がある。それが筆者の主張だと、僕は読みました。あと、さやかちゃんは残念じゃない。

近年の新しい潮流では、欠点に類する部分も手軽に「残念」という一種の「キャラ」として抽出し、その人の売りのようなものとして、他人へ肯定的に提示できるようになっているのだ。

『アニメを仕事に!』舛本和也

 「制作進行」の仕事から、アニメ制作や業界のよもやま話を解説した内容。自分はたまに設定資料集や絵コンテを見ても「なんかすげえ」くらいしか読み取れない素人だけど、それでも一人のアニメファンとして「アニメ」を見る目は間違いなく変わりました。

 アニメに限らず、広く「コンテンツ制作」に関心がある人、あるいは既に制作に携わっている人、全般におすすめしたい一冊です。

 料理でたとえると、「材料と調理手順と調理時間」は紹介されていますが、一番大切な「味や食感や温度」は紹介されていないようなものです。そして「おいしさ」も!

 この本では実際の制作進行という仕事を通してアニメ制作で一番大切な、「味や食感や温度」とその「おいしさ」を説明していきたいと思います。

『深愛』水樹奈々

 書店でふと目に留まり、「あれ?本出してたの!?」とびっくり。衝動買いした日にそのまま、一気に読んでしまった。すんばらしい読後感。「水樹奈々」という一人の人間の生き方を目の当たりにして、圧倒されてしまいました。

 “戦友”こと三嶋プロデューサーも含めて、物事を成し遂げようと戦い続ける人達の根っこにはすさまじい情熱が滾っているのだと感じた。昔から「CDが出たら買う」程度のファンだったけれど、心から応援したいと思いました。ライブ、行きたい。

「どうすれば鳥肌立ててくれるか、そればっか考えてるよ」

 プロデューサーはいつもそんな風に言う。

「だって俺やったら、鳥肌の立つもんにしかお金払いたくないもんね」

 もっともな話だ。

『CIRCLES' vol.0&1』Circles' Square

※こちらは、加筆修正前のVol.1単品です。『CIRCLES' vol.0&1』はこちらから

 「同人」世界の創作活動について紐解いた一冊。COMIC ZIN、アキバBlogなどへのインタビュー記事から見えてくる、「同人の楽しさ」と「可能性」とは。

 多方面から広く「同人」について語られており、その文化に携わっている人はもちろん、よく知らない人でも楽しめる本だと思います。今年のイチオシでござる。

――買い手側にとっての同人の魅力は何でしょうか?

 自分の知らないことを面白い切り口で教えてくれるところ、ですかね。たとえば、紅茶の同人誌で紅茶のおいしい淹れ方を学んだり、タバコの同人誌でタバコの銘柄を知ったり。自分が求めていたエ口いシチュエーションを見つけたり、ということもありますね。「今まで知る由もなかった新しい世界」を見せてくれる存在だと思うんです。

5. 田舎暮らし、新しい生き方を考える本

『フルサトをつくる』伊藤洋志、pha

 タイトルの印象とは異なり、最近流行りの「田舎暮らしをしよう!」的な入門書とは似て非なるもの。

 都会か田舎、定住か移住といった二元論ではなく、都会とは別の役割を持ったもうひとつの拠点としての「フルサト」を作り出し都会と行き来することによって、暮らしをより豊かにできるのではないか、という提案。

 本書を読み、地方への関心がさらに高まったので、時間のあるときにぶらり旅でもしつつ良い土地を探してみたい。気軽に遊びに行ける「地方」があったら、素敵だよね。

最近はなかなか結婚しない若者が増えて「晩婚化」だとか「非婚化」だとか言われたりしている。それは「家族」という概念が持っている力が昔より少し弱くなっているということだろう。「イエ」「ムラ」「家族」「社会」といった旧来の日本で力を持っていたコミュニティの力は以前より弱まってきている。だからといって人間は一人では生きられないし、生きていくために何らかのつながりを作っていかなければならない。これからは新しいつながりの形を、自分たちで模索しながら作っていくしかないのだ。

『21歳男子、過疎の山村に住むことにしました』水柿大地

 彼女にフラれ、自己分析を始めた、当時21歳の著者。「自分がやりたいこと」「できていないこと」に気付かされ、現場での経験を積むべく「地域おこし協力隊」に応募。その、岡山県美作市での活動を記した本。

 「上山内で人を見かけたら、ぜったいに軽トラを止めて声をかける」という自分ルールに学ぶ、挨拶の大切さ。地方というと不便なイメージが強いけれど、ちょっとした課題や関心が見つけやすく挑戦しやすい土壌が整っているのが、もしかすると「田舎」なのではないか。そう思わせてくれる一冊でした。

過疎地域、人が少なくなったと嘆くのではなく、それを逆手にとって、人が成長する場として考えたらどうだろうか。土地はある、家もある、なんでも取り組める環境もある。タイムリミットはじょじょに迫ってきているが、知識や経験を蓄えたおじいちゃんやおばあちゃんが今なら健在で、いろいろと教えてくれる。若者が、生きていく力を身につけながら稼いでいきたいと思うのだったら、まちがいなく田舎で生活することをオススメしたい。

『死ぬってどういうことですか?』瀬戸内寂聴、堀江貴文

 年齢差50歳。堀江貴文さんと瀬戸内寂聴さん、異色の2人の対談本。細部の意見の違い、経験や思想による方向性の違いはあれど、全体としては、意見の一致を得ているような印象でした。

 大雑把に言えば、「人生論」に関しては瀬戸内さんが持論を展開し、「経済」的あるいは「社会」的な話題が挙げられると、堀江さんが実例を示し言及していく形。

 それぞれの得意分野を抑えつつ対談が進行し、しかも事細かに注釈がまとめられているのでとてもスムーズに読むことができ、内容もおもしろかったです。それにしても、瀬戸内さんのたくましさよ。

 最後に会ってほどなく、私は背骨の圧迫骨折になり、倒れてしまった。もし、これで死んでも、ホリエモンとあれだけ喋ったのだから悔いはないなと病床で私は朗らかであった。

 若い人たちがこの本を読んでくれると嬉しい。そして、私のいう原発と戦争について、自分の意見を見つけてくれることを切に願っている。

『ぼくらの未来のつくりかた』家入一真

 東京都知事選を経た、“現在の家入一真”さんの考え方、やりたいこと、そしてその方法論などがコンパクトにまとめられた一冊。

 語られているのは、紹介にもあるように、「最新型の家入一真」。万人に勧められる本ではないものの、彼という一人の人間、もしくはその考えに興味のある人ならば、読んでみて損はないかと。

 かつてひきこもりだった経験から、「みんなの居場所をつくりたい」という思いで数々のビジネス、サービスを立ち上げてきた著者。

 その思いを実現するべく出馬(そして落選)した東京都知事選を経て、この社会や政治の理想の未来像、そして「ぼくらの未来のつくりかた」が見えてきた。そのためのヒントと、これからの自身のヴィジョンを語りつくした1冊。「最新型の家入一真」の頭の中が、この中にぜんぶ詰まっています。

『レールの外ってこんな景色』いっぱい

 手前味噌でございますが。複数人のブロガーによる共著。人数が多いため、意外とボリュームがあります。並みの新書か、それ以上。 

 年齢は近いとしても、現在の職業も、それまでに生きてきた過程もバラバラな人たちの考え方をまとめて読むような機会って、なかなかないと思うんですよね。共通点は、「ブログ」をやっていること、それくらい。

 それでも、ノリで集まって、ノリでやってみたら、こんなんできちゃいました!というひとつの成果物。誰にでも勧められるものではないと思うものの、もしよろしければ。個人的には、同世代で退職しようかどうか悩んでいる人におすすめしたいです。一例として参考になるかも。

6. 小説、ライトノベル

『知らない映画のサントラを聴く』竹宮ゆゆこ

 恋愛モノというよりは、贖罪の物語。何か取り返しの付かないことをしてしまったり、大切なものを失ってしまったりしたときの処方箋。

 本質的で辛い内容かもしれないけれど、そこで教えてくれるのは「罪」の意識との向き合い方であり、過去を鑑みた上でこれからの人生を「回り続ける」ための考え方。それはきっと、読後感にエネルギーをもたらしてくれるものだと思います。

『ゲームウォーズ』アーネスト・クライン

 海外小説を読んだのは久しぶり。『SAO』や『.hack』のような、仮想空間の物語と聞いて。序盤は淡々と話が進んでいくような印象だったけれど、終盤はかなり盛り上がった。ただ、80年代米国の文化を知らない身としては、感情移入はあまりできなかったなー、とも。

 映画化が決定しているということで、映像として見れば楽しめそうな気はする。にしてもまさか、日本のアニメ&特撮作品のスーパーロボットたちが登場して戦い出すとは……。これ、なんてスパロボ?映像化に当たっての版権は大丈夫なのかしら。

『魔女の旅々』定規

 主人公の魔女が旅先で訪れる国々で起こる出来事と、そこで出会う人々との交流を描いた7つの短篇集。KDP作品。主人公である魔女イレイナのキャラと、その語り口が印象的でした。全話を通して彼女の視点から物語が展開していくが、その口調は「です・ます調」の丁寧語ながら、軽妙でコメディチック。

 寓話的な話があり、ギャグがあり、少しダークな展開もありと、多彩な7つの物語は読者を飽きさせないものになっているように読めました。『キノの旅』が好きな人に合いそう。

『アオイハルノスベテ』庵田定夏

 『ココロコネクト』が大好きな作品だったので、続けて作者買い。

 目に見えない「多数派」に流され、自分の考えも持たず異分子を排除しようとする動きが、どっかで見たもののようで生々しい。ただ、その描写があまりに現実味を帯びていたせいか、それに抗おうとする動きが却って陳腐に感じてしまったのは、良いのか悪いのか。

 でも、それも引っくるめて人間の心理に突っ込んでいく展開は心躍るし、爽快なものでした。各キャラクターには好感も持てるし、続きに全力で期待!

『艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!』築地俊彦

 王道展開。特に違和感を覚えることもなく、素直に楽しむことができた。キャラクターに関しても、ゲームのキャラ付けを最低限に取り入れつつ魅力的に描かれていて、しっくりきました。

 二次創作では見かけることの少ない彼女らだったけれど、読後はどこか親近感のようなものを覚えるようになっていたので非常にうまくいっていると思う。それにしても、ぱんぱかぱーん!の衝撃が尋常じゃなかった(褒め言葉)。

 特に3巻。そろそろ失速してくるだろう……なんて考えていてすみませんでした。ラストに向けて加速していくアツい展開、自分好みでおもしろかった。

 恋愛関係でも師弟関係でもなく、「相棒」という言葉がよく似合う2人が愛おしい。もしこの展開でアニメ化するなら、後半の戦闘描写がめっちゃ映えると思う。というか、動いているところを観たい。

いざ、2015年へ

 2014年も残りわずか。読書メーターと自分で作っている読書ノートを振り返ってみると、この1年間で結構な数の本を読めたんだなー、と。まだまだ“本の虫”には程遠く、単なる“本好き”の域は出ませんが。でも、例年と比べると充実していた印象が強い。

 2013年の1月に買ったKindle Paperwhite(旧モデル)も、来月で使い始めて1年になります。これだけ本を読むようになったのは、やっぱり電子書籍による影響が大きいのは間違いない。

 来年も、本を読もう。

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