外出自粛生活が続く今日この頃。休日も遠出することができず、仕方なく家の中でYouTubeやテレビを見ている――そんな人も少なくないのではないでしょうか。
映画や動画、ゲームやアプリもいいですが、せっかくのおうち時間。
買って積みっぱなしだった本を読んだり、普段は読まないジャンルの本を手に取ってみたりするのもひとつの手です。電子書籍ストアでは無料キャンペーンやセールも開催されており、安価に時間を潰せる活動としても悪くないはず。
そこで本記事では、休日にさっくりと読みきれそうな、ほどほどのボリュームの本をピックアップ。マンガ・小説・ライトノベル・エッセイ・ビジネス書など、個人的にお気に入りの本を20冊まとめました。本選びの参考になりましたら幸いです*1。
- 『図書館の大魔術師』泉光
- 『恋の撮り方』たなかのか
- 『やがて君になる』仲谷鳰
- 『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』JAM
- 『新釈 走れメロス 他四篇』森見登美彦
- 『その日、朱音は空を飛んだ』武田綾乃
- 『恋する寄生虫』三秋縋
- 『時給三〇〇円の死神』藤まる
- 『最後の医者は桜を見上げて君を想う』二宮敦人
- 『平浦ファミリズム』遍柳一
- 『これは学園ラブコメです。』草野原々
- 『岩田さん』ほぼ日刊イトイ新聞
- 『ナナメの夕暮れ』若林正恭
- 『無意味のススメ』川崎昌平
- 『没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術』吉田尚記
- 『内向型を強みにする』マーティ・O・レイニー
- 『天才たちの日課』メイソン・カリー
- 『ファクトフルネス』ハンス・ロスリングほか
- 『世界を変えた10冊の本』池上彰
- 『「分かりやすい表現」の技術』藤沢晃治
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『図書館の大魔術師』泉光
ジャンルを問わず、「物語」が大好きな人が本作を読めば、きっとその展開に興奮させられずにはいられない。
主人公は、貧民街で姉と暮らす少年。周囲の人とは異なる身体的特徴を持ち、村でも学校でも忌避される日々を送っている。そんな彼を夢中にさせていたのが、自分を見知らぬ世界へと誘ってくれる「本」の存在。ところが、貧乏人は村の図書館を利用できないという問題があった。
だからこそ、彼の夢は「本の都へ行く」こと。差別のない、世界中の本が集まるという都で、思う存分に本を読んでみたい。きっといつか、目の前に物語の主人公のような人が現れ、自分を外の世界へと連れ出してくれるはず。そう願って過ごしていたある日、少年の村に「本の都」の司書(カフナ)が訪れる──。
正直に言って、ありがちと言えばありがちな物語だと思います。ただ、その “ありがち” の純度が一線を画している。物語構造のテンプレートを単になぞるのではなく、その展開に説得力があり、キャラクターが生き生きとしていて、尋常じゃない熱がこめられている──そんな印象を受けました。
現在は3巻まで刊行されており、ちょうど第1章が終わったところ。おそらく全体から見ればプロローグに過ぎないのでしょうが、その時点ですでにむちゃくちゃおもしろい! 最高の1巻に始まり、最高の1章を終えた本作。今後の展開が心から楽しみでなりません。今、一番大好きなマンガです。
ワクワクが止まらない最高の1巻!本好きに贈りたい漫画『図書館の大魔術師』
『恋の撮り方』たなかのか
恋をするとその人の姿がつねにフレームに写るんだ──。
ちょっと不思議なカメラを手にした少年が、ファインダー越しに笑わない先輩の“笑顔” に恋する物語。
ストーリー上は主人公の「片思い」をメインに据えつつも、同時に「カメラ」や「写真」の魅力を描いている。ふんわりと陽光を浴びているようでいて、青春のみずみずしさが染みわたるようにも感じられる青春モノ。
一口に言えば、とっても「やさしい」作品……なのだけれど、きっとそれだけじゃないんだろうな、という予感もある。おそらくは痛みを伴うことになる思春期の恋模様を、独特で魅力的な「ことば」に乗せて。お腹いっぱい、味わおう。
2巻完結。さっくり読めて、でも間違いなく何か心に残るものもある、素敵な物語です。
ファインダー越しの“笑顔”に恋するカメラ漫画『恋の撮り方』がリリカルで素敵
『やがて君になる』仲谷鳰
はじめて読んだ百合漫画であり、自分の大好きな「人間関係」を描いた物語であり、最高にハマった作品。
「特別」が実感できない先輩後輩関係の2人が、徐々に互いに惹かれていく物語……かと思ったら、先輩のほうが即堕ちでベタ惚れしていた。他方ではいまだ「特別」を見つけられず、キラキラと輝きだした先輩を冷めた目線で見ながらも惹かれ始めている後輩ちゃん──という図もまた、対比的でおもしろい。
何より、キャラクター同士を行き交う “矢印” の方向それ自体はシンプルでありながら、とても一言では表せない想いのベクトルがすばらしい。言語化の難しい思春期の心の機微と、諸々が綯い交ぜになって混沌とした感情。それを「マンガ」という媒体でこれほどまでにわかりやすく、しかも魅力的に描いている作品って、そうそうないんじゃないかしら。
昨年末に発売された8巻で、ついに完結。なんとなく気になっていた人、アニメを少しでも見た人は、ぜひこの機会に手に取って読んでみてください。もうずっと、大好きな作品です。
『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』JAM
Twitterで人気の “パフェねこ” の書籍版。
SNS、人間関係、職場、自分の4つをテーマに、全64の考え方を示していく内容。「4コマ漫画+1ページ程度の文章」の形式で、個々の問題にツッコミを入れていきます。
はっきりと「物申す」タイプの作品ではなく、「こうやって考えてみたらどう?」と語りかけるタイプの漫画。極端に説教臭さは感じられないので、「そういう考え方もあるのかー」とゆるーい姿勢で読み進められます。
問題を解決してくれるとは限らない。でも、慢性的なモヤモヤを吹き飛ばしてくれる。そんな1冊です。
SNSや人間関係のモヤモヤを吹きとばす!『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』
『新釈 走れメロス 他四篇』森見登美彦
森見登美彦さんの “新釈” によって蘇った、近代日本文学作品の短編集。
収録作品は、京都市内を駆け巡る『走れメロス』のほか、アパートに引きこもり小説を書き続ける大学生の『山月記』、文化祭の映画制作にまつわる『藪の中』、人気小説家の愛と情熱の喪失を描いた『桜の森の満開の下』、以上の4篇のキャラクターが登場する『百物語』の5篇となっています。
パロディが色濃く、作者もノリノリで書いたと思しき『走れメロス』が爆笑必至である一方、『桜の森の満開の下』のように淡々と進み余韻が味わい深い物語も魅力的。
元ネタの文学作品との「比較」を楽しむも良し、過去の筆者の作品とのリンクを探して読むも良し(「詭弁論部」や「パンツ番長戦」など)、それら要素は鑑みず純粋に物語を楽しむも良し。手に取った各々がさまざまに楽しめる、万人におすすめできる1冊です。
畢竟、面白きことは良きことなり!
『新釈 走れメロス』友との約束を守“らない”ために走る、現代版メロス
『その日、朱音は空を飛んだ』武田綾乃
『響け!ユーフォニアム』の筆者さんが綴る青春ミステリ。「なるほど、ミステリなんだな」という認識で手に取ったものの、それだけではないらしい。
本作で描かれるのは、思春期の学生たちの心の機微。ゆえに「青春群像劇」としても楽しめたのですが……ところがどっこい。謎が解明された最後の最後、ラストの数行に、衝撃の結末が待ち構えていました。
最後のわずか数行で語られたのは、「世界は君の思いどおりにはならない」という事実。その当たり前で、現実的で、どうしようもなく残酷な真実を突きつけられ、本気で身震いしました。
著者の作品を知る人も知らない人も、ミステリを普段読む人も読まない人にもおすすめの、極上の青春群像劇です。
ラスト1ページに本気で身震いした青春ミステリ『その日、朱音は空を飛んだ』感想
『恋する寄生虫』三秋縋
タイトルの「寄生虫」は喩えかと思っていたら、比喩でも何でもなかった。
互いの体に巣食う〈虫〉を介して絆を深める、歳の離れた男女の物語。社会不適合者でもある2人が織りなす関係性は、読んでいて共感できる人、救われたような気持ちになる人も少なくないのではないかしら。都合の良い話かもしれないけれど、「虫のいい話」が人を癒やすこともある──そのことを強く実感しました。
荒唐無稽なようでいて、そうとは感じられないほどに詳細な「寄生虫」の説明も魅力的。著者さんの作品は本作が初めてだったので、他の作品も読んでいきたい。
『恋する寄生虫』を読んで、人間の愛おしい「バグ」に思いを馳せる
『時給三〇〇円の死神』藤まる
死にゆく人の未練を晴らすべく奮闘する、少年少女のハートフルストーリー……かと思いきや、予想外に重苦しい物語に絶望させられた。
死後の「ロスタイム」という独特の世界観を背景に描かれるのは、決して心温まるとは言えない《死者》との交流。「死神」として働く少年少女は《死者》の未練を晴らすべく奔走するが、そのたびに虐待や不倫といった「家族」の闇がそれを阻む。問題を解決して無事に成仏──とはいかず、中盤までは尽く救いがない。
それでも、最後に2人が辿り着いた答えはこの上なく尊い、「生」の喜びを感じさせられるものでした。
死後に“ロスタイム”があったら?死者に寄り添う少年少女の青春小説『時給三〇〇円の死神』
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』二宮敦人
いわゆる「医療小説」に区分される作品でありながら、描かれている「死」があまりに鮮烈すぎて驚いた。
それは、誰にも等しく訪れる、決して逃れることはできないもの。
小説自体は作られた物語的でありながら、「死」だけが嫌に生々しく感じられた。2人の医者と、死に至る3人の患者──それぞれの視点によって掘り下げられるのは、五者五様の「死生観」。
本作には、良くも悪くも “物語” として単純化されてしまった、死にゆく人との向き合い方が描かれている。新しい季節を迎えて間もないこの時期にこそ、おすすめしたい物語です。
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』を読んで、死生観に想いを馳せる
『平浦ファミリズム』遍柳一
「家族がいれば、それだけでよかった」という文句からもわかるように、ある「家族」を中心に据えた物語。全編を通して割とシリアス調のストーリーが展開される、ラノベらしからぬ家族もの。
トランスジェンダー、引きこもり、不登校──世間的には「普通じゃない」と称される平浦家の過去は、読んでいて辛くなってくるほどでした。
でも一方で、物語が進むなかで描かれる「他人」との関係性や「世間」との向き合い方は、特に「普通じゃない」ことに悩む人を勇気づけてくれるのではないかと思います。普段ラノベを読まない人にも勧めたい1冊。
初めて「エモい」と感じた、普通じゃない家族の物語『平浦ファミリズム』
『これは学園ラブコメです。』草野原々
表紙を見れば、望月けいさんが描いたかわいらしい女の子。タイトルを読めば、「これは学園ラブコメです。」の文字。
……そうか、なるほど!
これは学園ラブコメなのか!!
──なーんて、素直に受け取ってはいけません。こんなにも自己主張強く「ラ ブ コ メ で す」なんて断言している作品が、本当に王道ラブコメのはずがない。「こじらせたオタクほど穿った目で作品を見る」という人もいるけれど、これは疑ってかかるべき作品です。だって、作者が作者なのだから。
本作は、『最後にして最初のアイドル』などで注目を集めた作家・草野原々さんによる、学園ラブコメです。……そう、ラブコメなのです。実際、決して嘘はついておりません。複数のヒロインが登場し、主人公をめぐって、しっちゃかめっちゃかする。幼なじみも転校生も後輩もいるし、ラッキースケベもある。やったぜ。
ところがどっこい。事はそう単純ではありません。いや、割と単純と言えば単純ではあるのだけれど、うまく説明するのが難しい。Amazonのトップレビューから一言だけお借りすると、「メタフィクションをメタフィクションしている」という指摘が、この作品の本質と言えるかもしれない。
「ラブコメ」とはいったい何なのか。ラブコメをラブコメたらしめているのはどのような要素なのか。いや、ラブコメに限らず、物語における「ジャンル」とはいかにして定義されるのか。最後には小説世界における「お約束」とバトルを繰り広げることになる主人公は、はたしてどこへ向かうのか──。
あまりにも濃厚でハイテンションで胃もたれしそうになるけれど、最終的には「物語とはなんぞや」と思いを馳せずにはいられない作品。「お話」と「お約束」の妙を楽しみつつ、世界の意思に都合よく動かされるキャラクターたちを憂いつつ、それでも僕は、ラブコメの主人公を羨ましいと思うのです。
『岩田さん』ほぼ日刊イトイ新聞
任天堂の元社長・岩田聡さんの言葉をまとめた本。
「大企業の社長の言葉をまとめた本」と聞くと堅苦しいビジネス書がイメージされるけれど、本書の読後感はまったくの別物。お偉いさんでも何でもない「岩田さん」という一個人が、その経験や考え方を淡々と語っているような、そんな光景が脳裏に浮かんできた。
それこそ、ニンテンドーダイレクトで「直接!」話しかけていたように。
振り返ってみれば、今年読んだ中でも特に強く惹かれたのがこの本だった。理由はいくつか考えられる。でも何と言っても、この1冊には多くの人の思いが込められており、読むことでその “思い” の強さを実感できるから。だからこそ、自分にとっても特別な1冊になったのだと思っています。
収録されている岩田聡さんの言葉のみならず、インタビューに答えている宮本茂さんと糸井重里さん、そして編集を担当した永田泰大さんたちも含めて、多くの人の強い思いが、この1冊に込められている。「岩田さん」という個人について語る言葉は各々に違っていても、その内容はどこか一貫していて、共通してあたたかな気持ちを感じられる。
ただ単に「岩田さんの言葉から気づきを得られるから読む」のではなく、本書に携わっている人たちの思いにもふれたいから、繰り返し読んでいる──。きっと、そういうことなんじゃないかしら。それゆえに、何度も何度も手に取っている、手に取ってしまっている1冊。それがこの、『岩田さん』という本です。
やさしくて、やわらかくて、楽しそうで……でも同時に、情熱にもあふれていて。あったかいけれど、アツい読み物。遠い存在に感じていた「岩田さん」の人柄をこうして垣間見、身近に感じることができたのは、いちユーザーとして本当にありがたく思います。今年もお世話になります。
やさしくてあったかい、1人のゲーマーが紡いだ言葉の数々『岩田さん』
『ナナメの夕暮れ』若林正恭
オードリー若林さんのエッセイ集。正直に言うと、芸人に詳しくない自分は筆者さんのこともほとんど知らずに読み始めたのですが──むっっっちゃくちゃ共感できておもしろく読めました。
そこにあったのは、「日常生活で抱く小さな違和感や漠然と感じている『生きづらさ』を、ここまで見事に言語化できる人がいるのか!」という驚き。必ずしも答えがある話ばかりではないものの、自分自身が普段から抱えているモヤモヤに対する考え方や視点を与えてくれるため、読んでいて胸のすくような印象がありました。
もともと電車移動中に少しずつ読み進めていたのですが、最後のほうは「途中で栞を挟むのがもったいねえ!」と感じ、まっすぐ家に帰らず、夜の最寄り駅のホームで読みふけってしまうほど。ここ数年以内に読んだエッセイ本としては、特に記憶に残っている1冊です。
『無意味のススメ』川崎昌平
僕らの日常は数々の「意味」に囲まれている。看板や地図といった「意味」がなければ目的地にはたどり着けないし、ルールやマナーは人間関係を円滑にし、本やテレビは未知の知識と「意味」を教えてくれる。
でも同時に、過剰すぎる「意味」はしばしば僕らの心を疲弊させる。
そんな「意味」に対抗する手段として、本書は「無意味」の価値を明らかにしていく。曰く、「意味と意味のあいだに生まれる『無意味』には、慌ただしい日々における余白として、人の心を休める効果がある」と。
ルーチンワークを楽だと感じることもあるけれど、同じことばかり続けていても、精神的に「消耗している」と感じることがある。そんなとき、代わり映えのない生活に「無意味」を混入させてやると、何でもない景色や行動が色づいて感じられる。その瞬間、「無意味」は「意味」へと昇華され、また新たな「無意味」が顔を覗かせる。
情報や意味から逃れ、リラックスしたいときに読みたい。僕自身、もう何度か繰り返し読んでいる1冊です。
読書感想『無意味のススメ〜〈意味〉に疲れたら、〈無意味〉で休もう。』
『没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術』吉田尚記
本書が目指すのは、「『なんかつまらない』を解決する」こと。
即物的な快楽ではなく、成功や承認でもなく、自己完結的な「没頭」によって、毎日を楽しく過ごす方法を紐解いています。
書かれているのは、多くのビジネス書で重視される「お金」や「成功」は二の次の、意識の低い「幸せ」の探し方。しかし、それゆえに実践しやすく、「没頭には不安が不可欠」という指摘に救われる人も多いのではないでしょうか。
なんとなくモヤモヤや違和感を抱えている人、物事に集中して取り組めない人、自分の「好き」が見つけられない人──。幅広い層に勧められる1冊です。
「なんかつまらん」を打破し「好き」を見つけるための技術『没頭力』
『内向型を強みにする』マーティ・O・レイニー
心理療法士の筆者による、内向型人間がうまく生きるためのアドバイス本。
行動力だコミュ力だと活発な人が中心になっている社会で、内向きな人間はどのように立ち回れば良いのか。多くの自己啓発本のように無理に「外向型」になることを目指すのではなく、「内向型」ならではの強みを活かした考え方をまとめています。
自分を「内向型」だと感じている人は、本書を読んできっと励まされるはず。
人見知りで、外出では疲れやすく、無駄に考えすぎて自分の意見をうまく言えない。そんな自分も、本書を読むことによって、その気質を前向きに認めることができました。
人見知り、疲れやすい、考えすぎる……内向型人間がこの先生きのこるには『内向型を強みにする』
『天才たちの日課』メイソン・カリー
文字どおり、古今東西の「天才」の習慣をまとめた1冊。小説家、詩人、芸術家、哲学者、研究者、作曲家、映画監督など、161人の日課をまとめています。
読んでいて興味深かったのが、生きた国・時代・環境などが異なっても、習慣にはそれとなく共通点があるということ。
特に「午前中の3時間は集中して仕事する」「毎日の散歩は欠かさない」といった点は共感できたので、自分も意識的に実践したいところ。
主に作品を通してしか見ることがなかった「天才」たちの素顔を、窓からこっそりと覗き見るような読後感も得られる、魅力的な日課の記録。最後まで楽しく読むことができました。
161人の習慣から“継続は力なり”を実感する『天才たちの日課』
『ファクトフルネス』ハンス・ロスリングほか
ビル・ゲイツ氏曰く「世界を正しく見るために欠かせない1冊」。
──いや、さすがに言いすぎでしょう……と思いきや、冒頭の13問のクイズに答える頃には、そんな印象は吹き飛んでいました。
そこで明らかになるのは、「世界は良くなっている」という紛れもない事実。本書では、その事実を歪めてしまう人間の「本能」について紐解いていく。
「ファクトフルネス」が示すのは、データの大切さは言うまでもなく、視野狭窄を回避する複眼的なモノの見方や、思い込みを排除するための考え方など。約20年間で大きく様変わりした世界の姿を再確認しながら、今後は誤った真実に踊らされないようにするための「世界の見方」を知ることができます。
正しい世界の見方って?日常生活でも使える複眼思考『ファクトフルネス』
『世界を変えた10冊の本』池上彰
池上彰さんによる、「世界を変えた10冊」のブックガイド。
経済・社会・宗教など、いずれも現代の「常識」を整理・再考するような10冊を選び、それぞれの概要と推薦する理由を説明しています。
たとえば、キリスト教とイスラム教の衝突や、今も世界情勢を大きく動かし続けている思想体系なども、本文では概説。現在の世界を取り巻く動きと関連を持たせて論じていることから、「2010年代に読むべき10冊」とも言い換えられるかもしれません。
まったく関係がないように見えて、実は明確につながっている「世界」の問題。それらを俯瞰していく内容には、否が応でも知的好奇心を刺激されます。
しかし、そのように幅広いトピックを扱っている割には、文章は平易で読みやすい印象を受けました。中学生くらいからでも読めそうな、敷居の低いブックガイドと言えます。おすすめ。
池上彰さん厳選!世界の経済・社会・宗教を学ぶブックガイド『世界を変えた10冊の本』
『「分かりやすい表現」の技術』藤沢晃治
ジャンルに関係なく、時代も問わず、あらゆる情報発信において当てはまり活用できる、「分かりやすい表現」のルールブック。
そもそも「分かりやすい」とはどのような状態なのかの説明に始まり、街中に溢れる「分かりにくい表現」の実例を紹介。個々の問題と共通点を分析したうえで、具体的な改善策を示していく内容となっています。
当初は「さすがにどんな分野にも当てはまるなんてことは……」と疑っていたものの、読み終えた今となっては、「普遍的な“ルール”として参考になるのでは?」と感じています。年齢を問わず、幅広い層に勧めたい。
「分かりやすい説明」には何が必要?文章にもプレゼンにも使えるルールブック『「分かりやすい表現」の技術』感想
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*1:過去のまとめ記事からの抜粋なので、普段からブログを読んでくださってる方には見覚えのあるラインナップだと思います。