【2015年ベスト本】本当におすすめしたい30冊をまとめたよ


 本記事では、2015年に自分が読んでおもしろかった本をテーマ別にまとめています。

 主に2014年12月〜2015年12月の期間中に刊行された新刊本を対象としております。よかったら参考にどうぞ。ビジネス書からエッセイ、ラノベまで。マンガもあるよ!

「社会」と「仕事」を考える

『ぼくらの民主主義なんだぜ』高橋源一郎

 「政治? なにそれおいしいの?」という、あんぽんたんでも読めるおすすめの本として紹介されていたのが目に入り、購入しました。常識レベルの知識があれば全く問題なく、途中で突っかかることもなく読了。非常に読み応えのある一冊でした。

 もともとが新聞の連載ということもあり、身近な生活の話から国の問題まで、話題は幅広い。しかし読んでいて目が滑ることはなく、いずれのトピックでも一貫して「自分ごと」として考えさせるような書き口は、どれも腑に落ちました。これまでずっと、“むつかしいもの”として「政治」に関わることを避けてきた人に、ぜひ。

『世界史の極意』佐藤優

 「新・帝国主義」「ナショナリズム」「宗教紛争(イスラム国、EU)」をそれぞれ世界史の視点から読み解き、検討する一冊。世界史を人並みに勉強していた人であれば「ぜんぜんわからん!」ということもなく、むしろ復習がてら読み進めることができると思います。

 個人的には、イギリス教育の話がおもしろかった。「イギリス帝国主義の『失敗の研究』という点に重点が置かれている」という教科書が紹介されており、そこでは植民地を「支配していた側」から、その経緯や失敗を徹底的に考えさせる構成になっているらしい。おもしろそう。

『内定童貞』中川淳一郎

 合同説明会にOB訪問、代わり映えのしないエントリーシート作成に、真剣に考えるのもアホらしくなってくる志望動機……などなど、就職活動における「テンプレ」をぶっ壊すことのできる劇薬。それが本書。

 だからと言って「就活なんてやめちまえ!」と声を大にして主張しているわけでもなく、「明確な『答え』のない就活においては、こうこうこういう考えで取り組んでみたらどうだろう?」という、提案としての印象が強い。あまり意識することのない「就活の本質」についても、採用する側・される側の両面から分析しており、過去に“シューカツ”に苦しまされた社会人が読んでも興味深い内容です。

『声優魂』大塚明夫

 「声優だけはやめておけ」と冒頭に述べ、最後のページまでその主張がブレることのない本書を執筆したのは、声優・大塚明夫さん。ハイリスク・ローリターンである声優は「職業」ではなく「生き方」である、と断言しています。

 声優を目指す若者にとっての必読の書であることは疑いようがない一方で、他のフリーランス業にも共通の考え方が記されているように感じました。語られるのは、一人の大人が経験して得た「人生訓」であり、役者としての「生き様」。働き始めて間もない20代の若者、もしくは働く前の学生に向けた応援本だと言えますね。

『ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!』川上量生

 4Gamer.netの連載記事を書籍化したもの。川上量生さんが、プログラマー、将棋棋士、経営者、ジャーナリストなど各界の「ゲーマー」と好き勝手に対談しまくった企画。川上さんの著作は何冊か出ていますが、いい意味でそれらを網羅した、雑多な内容。

 驚くべきは、何と言ってもそのボリューム。563ページという分厚さだけあって、書店で手に取るとただの鈍器。内容も単なる「懐かしのゲーム話」に留まらず、仕事観、メディア論、マーケティング手法など多岐にわたる充実っぷり。とりあえず買っておいて損はないはずです。

『まんがで身につく 孫子の兵法』長尾一洋、久米礼華

 「わかりやすさ」は「胡散臭さ」と表裏一体だと思う、今日この頃。ビジネス書の分野で数多くの類似本が出ている「マンガでわかる」系の書籍の中でも、本書はとても良い塩梅で書かれているように感じました。

 会社に振りかかる問題が「実際の現場でもありそう」な事例となっており、ビジネスマンの身近な話題として共感できたことによるのではないかと。見覚えのある例から『兵法』を学びつつ、ビジネスの雰囲気を知ることができるという意味では、大学生にもおすすめできますね。

「生活」と「コミュニケーション」を考える

『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』吉田尚記

 世の中に会話術の本は多々あれど、こんな本は読んだことがない。コミュニケーションが苦手な現代の「コミュ障」の視点から、「コミュニケーションとは何ぞや」を徹底解説。コミュ障のそんな自分を許せないと考えている人、どうにかしたいと考えている人に向けた一冊です。

 本書が目指すのは、その場にいる誰もが気持ちよく話すことのできる「非戦のコミュニケーション」。他者とのやり取りを単純なゲームとして捉え、多くの人に寄り添う形でその考え方、方法論を提示しています。コミュニケーションが苦手な自分を許すことのできる、「この人」になるために。今年、特におすすめの新刊本でござる。

『持たない幸福論』pha

 今年は「ミニマリスト」が話題になりましたが、どうも曖昧に感じる「幸せ」の基準でもって生活を説くそちらより、個人的には本書の言説のほうが納得できました。現代の「普通」と「常識」を再検討し、「生きづらさ」を緩和するための考え方。

 phaさんの著作のいずれにも共通するものですが、それこそ「普通」で考えれば真逆のことを言っている場合もあるはずなのに、「自分はこういう風に考えていますよー」くらいの、角の立たない文体が魅力的。既存の価値観を客観的に分析しながら、「それでも辛いなら、逃げ出してもおk」と別の選択肢を示した格好。日々を慌ただしく過ごしているあらゆる世代に読んでほしい、示唆に富んだ“幸福論”です。

『読書で賢く生きる。』中川淳一郎、漆原直行、山本一郎

 三者三様の書き下ろしの読書論と、トークイベント「ビジネス書ぶった斬りナイト」のプレイバックを掲載した内容。ビジネス書や自己啓発書を痛快にぶった斬りながらも、そもそも「本」とは、「読書」とはなんぞや、を自由闊達に論じており、むちゃくちゃおもしろい。

 毎年のように書店に並ぶ「読書本」の中でも、特に的確に2010年代の読書論を突いていると言えそうな一冊。3人の筆者各々のおすすめ本もまとめられており、これから改めて「本」を読もうという人の、ブックガイドとしても最適。連休の読書のお供にどうぞ。

『傷口から人生。』小野美由紀

 “メンヘラ”という表題から、人を遠ざけそうな印象も受ける本。ですが、ひとたび読み始めると、淡々とした書き口と色鮮やかなエピソードに引き込まれる。ネガティブにブレすぎず、全てを鵜呑みにしてしまうような共感をもたらすものでもなく、絶妙なバランス感覚で書かれた文章であるように感じました。

 勧めるならば、タイトルでも言及されている就職活動生、あるいは仕事や働き方に悩んでいる20代若手社員かしら。就活を辞めろと諭すでなく、曖昧模糊とした「夢」を追うよう勧めるでもなく、「こういう選択肢もあるんだよ?」と語りかけるような論調。日々の生活を再考するきっかけに。

「表現」と「文章」を考える

『新しい文章力の教室』唐木元

 創作、論文、ビジネス文書、ネットなど、一口に「文章」と言っても多岐にわたる今、「文章力」を一冊のビジネス書で取り扱うには無理がある。そんな諦観を見事にぶち壊してくれた本。冒頭で「良い文章とは完読される文章である」と断言し、それを共通の目標として、あらゆる文章に応用可能な「書き方」を提案しています。

 全体の書き口としても、「上手な文章を書くようにはこのようにする」と特定の方法に限定するのではなく、「完読される文章を書くためにはこういった書き方をしない」という「やってはいけないこと」を示した形。自分で試行錯誤しながら、文章力を伸ばしたい人におすすめ。 

『シカゴ・スタイルに学ぶ論理的に考え、書く技術』吉岡友治

 こちらは「論文」の視点から、論理的な文章を書くための方法論を説いたハウツー本。 デカルトが採用した論理、“明晰かつ判明”を前提として、論理的な文章の作り方を学んでいくことができます。順を追ったパズルの如き説明が、明瞭でわかりやすい。

 ただし内容としては「論文」に終止しているというわけでもなく、比較対象として「随筆」についても言及。その具体例としてブログ記事を持ってきて分析している点は、読んでいて非常に興味深い。自分もついやってしまいがちですが、“説明がいい加減だと陳腐で常識的理解に陥りやすい”という指摘は、論文に限らず多くのブログに当てはまる指摘であるように感じました。

『高校生のための文章読本』

 “高校生のための〜”と銘打っているが、大人にも充分に勧められる一冊。古今東西・多種多彩な文章を抜粋&解説している文章読本であり、「国語の教科書」ような懐かしさを覚えながら、改めて「ことば」を学ぶことのできる至高のアンソロジー。

 編者による解説も含めると、そのページ数は驚きの500ページ超。モーパッサン、プルースト、モーツァルト、武満徹、高橋源一郎、坂口安吾、夏目漱石、村上春樹、谷川俊太郎、丸山真男などなど、国も時代もさまざまな文人の「文章」と「文体」を一挙に味わうことができる。前述のハウツー本とは別の切り口から「文章」を学ぶのに最適。

『面白ければなんでもあり』三木一馬

 『とある魔術の禁書目録』『灼眼のシャナ』『ソードアート・オンライン』『撲殺天使ドクロちゃん』『電波女と青春男』などなど、数々の大人気ライトノベルを送り出してきた、電撃文庫の敏腕編集者による初の著書。“御坂美琴はなぜ短パンを穿いているのか”の目次を見たら、買わざるを得なかった。

 ……え? でも実際はオタク向けの本でしかなく、ビジネス書としては勧められるもんじゃないんだろう、って? ──その幻想をぶち殺す!! 物語の作り方を記した創作論あり、メディアミックス・マーケティング手法あり、イラストの立ち位置と選定基準ありと、話題は盛りだくさん。編集者だろうが、メディア人だろうが、作家志望だろうが、イラストレーターだろうが、ただのラノベファンだろうが、誰にでも勧められる一冊です。

『「メジャー」を生み出す』堀田純司

 こちらも編集者が書いたマーケティング論ですが、先ほどとは全く向きが異なっていておもしろい。40代の「オトナ」である筆者には、「若者」を夢中にさせているコンテンツがいまいちよくわからない。そこで、そのコンテンツの創り手たちにインタビューし、若者たちの間で共有されているカルチャーを紐解いていこうという内容。

 そのためどちらかと言えば、「世代論」として読み取れるようになっているのもポイント。インタビューで語られるのは、現代の若者に寄り添ったコンテンツを創り出し続けている、クリエイターの思想と信念。登場するクリエイターも、浅野いにお、咲坂伊緒、谷口悟朗、支倉凍砂、辻友貴など、幅広いジャンルのコンテンツメーカーとなっています。

『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。』鷹野凌

 一口に言えば、「著作権を基本の『き』の字から再確認できる」本。おそらくは中学・高校生でもスイスイ読むことのできる書き口で、「初歩中の初歩すぎて、恥ずかしくて聞けない!」という部分から非常にわかりやすく説明されています。

 他方では、つい最近インターネットで話題となったばかりの、著作権に関連する最新の情報についても取り上げられているため、普段からネットで情報発信をしている人は今のうちに読んでおくといいかも。これから著作権を学ぶ人のための、最初の、最善の入門書が、ここに爆誕。

『Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話』きんどう

 いつもお世話になっております、電子書籍情報サイト「きんどう」の管理人による、メディア運営虎の巻。筆者の血の通った運営記録と経験談が収録されているので、これから新たにウェブメディアを立ち上げようとする人におすすめ。

 メディアを運営するにあたっての心構えや方法論など、既存の本ではあまり表立って言及されていない部分も含めて、広く論じされているように読めた。情報メディアに限らず、個人のブログ運営にも通じるように感じる内容だったので、気になる方は試し読みをしてみてはいかが?

『書評記事の書き方』倉下忠憲

 ブログで始める、「書評記事」の第一歩。「書評を書きたいけれど、取っ掛かりが見つからない」という人に対して書き方の視点を提供するものであり、平易でわかりやすい内容となっています。

 後半には、筆者が2009〜2014年にかけてブログで書いてきた書評を10本掲載して、その変化を比較検討するという内容も。そこから学べるのは、「書評記事の形はひとつではない」という当たり前の事実と、「長く試行錯誤を続けることで表現は広がり最適化されていく」という積み重ねゆえの気付き。これもまた、ブログならではですね。

『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム from 1989』

 今年夏、国立新美術館で開催された企画展『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展』を記念して発売された図版。展示されたアニメ、ゲーム、コミックの解説はあらかたカバーしているほか、展示はされなかったものの本企画の主旨には欠かせない作品も盛り込まれた、保存版です。

 改めて開いてみると、幼い頃に惚れた作品と現在ハマっている作品が並べて語られていることにドキドキし、同時に、「自分の知らない作品がまだまだこんなにもあるのか……!」という、未知へのワクワク感もわいてくる。1989年から2015年までのポップカルチャーを(端的ではあるが)まとめ上げた資料集として、これからもお世話になります。

小説・ライトノベル

『ちょっと今から仕事やめてくる』北川恵海

 昨今のブラック企業問題の重大さと対策を切り取った、著者のデビュー作。青臭く無我夢中だった“社会人一年目あるある”をおもしろく読むことができる一方で、一人の若者が追い込まれていく過程がほどほどの現実味と共に書かれているため、胃が痛くなる。

 人間、余裕がなくなれば自ずと選べる選択肢は限られてくる。その最悪にして最終形に至らないようにするための視点として、本書が提案しているのは「ヤマモト」という第三者。ちょっとしたミステリー要素も挟みつつ描かれる物語は、「働くこと」に悩む若者の処方箋となりうるものだと思います。

『下読み男子と投稿女子』野村美月

 徹頭徹尾、きれいにまとまった王道の青春モノ。会話文が多めの文章に、徐々に縮められていく2人の関係性、恋愛感情へと至る前のもどかしさ、導き手としての魅力的なサブキャラクターに、悪者のいない優しい世界。見せ方はどちらかと言えば少女マンガっぽくはあるものの、程よく「ライトノベルしている作品」という印象でした。

 しかし一方では、とにかく「物語」と楽しく向き合うキャラクターたちから我が身を省み、考えさせられる部分も。楽しいもの、好きなものを素直にそうだと言える、そんな大人に、僕はなりたい。“「他人の作品が、いかにつまらなかったかをドヤ顔で長弁舌するようになったらおしまいさ。あれは最高に醜悪だ。自分がああなったらと思うと、ぞっとする」”

『文句の付けようがないラブコメ』鈴木大輔

 “神鳴沢セカイ”という「神」であるヒロインを核に展開される、世界の終わりの物語。いわゆる「セカイ系」と呼ばれる作品の設定を真正面から汲んでいるという印象。最小限の登場人物で描かれるループものとして、なぜだか妙に新鮮な気持ちで読めました。

 劇中の台詞を借りると、“とんでもなく低いレベルのままうっかりラスボスまでたどり着いて、とてもじゃないけど倒すことなんてできそうにないけど、セーブデータはラスボスと対決している途中のものしかないので絶対にゲームクリアできない”という状況から始まる第1巻。そこそこ刊行ペースも早く、これからどうなっていくか楽しみ。

『たまらん!』比嘉智康

 「余命一週間」から始まるドタバタラブコメ。型通りのハーレム展開かと思いきや、蓋を開けてみれば男3・女3のゴチャゴチャ多角関係でござった。相関図を書こうとすると矢印があっちゃこっちゃに伸びており、それをほぼ把握しているのは主人公のみ。

 今後の波乱を想像させる終わり方になっており、設定に終始した1巻ながら最高の──まさしく“たまらん”作品です。言葉遊びと会話のやり取りもおもしろく、早く続きが読みたい期待作。もっと評価されるべき。これだけの舞台を用意して打ち切りとかマジ勘弁なので、なにとぞー!

『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』枯野瑛

 一口に言えば、「バッドエンドを迎えた物語」のアフターストーリー。主人公一人を残して人類が死滅した世界で、後悔と懺悔と孤独を抱えながらも、降って湧いた新たな「日常」を過ごす物語。

 ガツンと印象強く残るでもなく、ススーッと自然に読み流すでもなく、後でジワジワ効いてくる「毒」のような読後感。おなじみのフラグ「俺、帰ってきたら〜」の台詞をプロローグでは「言う側」だった主人公が、本書の後半では「言われる側」になっているのが趣深いですね。

『文中の(  )にあてはまる文字を入れなさい』弍杏

 語り部はとある大学生の「少女」。さあさあバンドだ! ボーカルだ! どんな青春模様が始まるんだ! ……と思いきや、続く章で挿入されるのは、まったく無関係と思しき漫画家志望の「少年」視点。そして次の瞬間、気づいたら「少女」が摩訶不思議空間に──。

 いったいぜんたい、どのような結末となるのか想像もできないままに読み進めていたところ、最後の最後であらすじの「ボーイミーツガーらない」の意味がわかってすっきり。小気味良い文体とリズム感が癖になる、疾走感あふれる2つの物語。広く「物語好き」な人におすすめできる一冊です。

コミックほか

『亜人ちゃんは語りたい』ペトス

 なんだ この かわいい いきものは。「亜人」という言葉からダークな世界観を想像したにも関わらず、そこは社会的にも「亜人」の存在が認められている優しい世界。登場する亜人こと「デミちゃん」たちも非常にかわいらしく、あたたかみのある絵柄が自分好みです。

 バンパイア、デュラハン、サキュバス、雪女など、個性豊かなデミちゃんとの交流の様子が独特でおもしろい。少数派ゆえの問題点などのテーマ性が見え隠れしつつも、「多感な時期を過ごしている女子高生の悩み」と考えれば、一般的な学園モノと変わりないものかと。安心して読むことのできる、注目作です。

『ヲタクに恋は難しい』ふじた

 『このマンガがすごい!2016』オンナ編の第1位。めでてえ! pixivにて閲覧数130万を超え、一迅社から書籍化されたオリジナルマンガ。劇中のテンションとノリを見ると、人を選ぶ作品であるのは間違いないとも思う。僕は大好きです。声に出して笑った。

 本作の魅力は、猫っかぶり腐女子OLとイケメンゲーマーリーマンという組み合わせも去ることながら、劇中でかなりの割合を占める「ヲタトーク」にあるんじゃないかと思ってる。ゲームあるある、オタクあるあるといった「ネタ」の盛り込み方が尋常じゃない。ぶっちゃけ、この中に混ざりたい。退社後に家に集まって缶ビール飲みながらマリカーとか最高か! ちくしょう!

『ダンジョン飯』九井諒子

 2015年のコミック界はダンジョン飯イヤーだったと言っても過言ではないのかもしれない。そのくらい各所で紹介されていたような気がする。実際、おもしろかったですしおすし。『このマンガがすごい!2016』オトコ編の第1位。2巻の駄エルフかわいい。

 RPGなどで登場しそうな「モンスター」の設定を掘り下げ、調理可能なレベルにまで落とし込んだ一冊……と書くと何が何やら状態だけど。「少年時代にRPGの世界を夢想していた人」はむちゃくちゃ楽しみながら読めると思います。あと見た目はいかにもおいしそうだけれど、「騙されるな! 元はゲテモノだぞ!」をしっかりと思い出させてくれる「うへ〜」だの「あぁ〜」だのといった効果音が好きです。

『メイドインアビス』つくしあきひと

 1巻が出たのは前になりますが、最新刊が発売し、話題になった印象もあるので。ファンタジー系の絵本に見えなくもない緻密かつかわいらしい絵柄が特徴的である一方、練りに練られた世界設定がとにかくすごい。エグい、つらい、重い──の3拍子が揃った3巻がやべえ。

 特に「上昇負荷」の設定が非常に絶妙なものとなっており、舌を巻いた。一筋縄ではいかないアビス探窟。3巻のエピソードのような展開が続くと考えると胃が痛くもなりそうだけれど、それだけ真に迫っているとも感じられる。ますますもって、先が楽しみな作品です。レグかわいい。

『スプラトゥーン イカすアートブック』

 今年はイカ年でしたね。最高の設定資料集でした。

 

過去の年間おすすめ本まとめ

*1:Business Comic Series