毎月恒例、「今月のブックマークを振り返ろう」のコーナー、今回は2023年4月編です。2014〜2022年の4月の振り返りも末尾に掲載しているので、お暇な方はどーぞ!
社会・時事
生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について
- ここ1週間くらい話題になっていた、東京大学が学生や教職員に向けて示した生成系AIに対する見解。
- 「人類はこの数ヶ月でもうすでにルビコン川を渡ってしまったのかもしれない」の一言が印象的。
日常会話はなぜ成り立つのか?「究極のフリースタイル」である言語を考える【いとうせいこう×ライムスター宇多丸・対談】
- 書店で気になっていた本について、言葉のプロであるお二人が、おもしろい話をしていらっしゃる……!
- 日本語のみに限らない言語の変化と時代性、「詠嘆」の置き場所の問題。とりあえずこの本は読まなきゃと思った。
『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』編集者・佐渡島庸平に訊く「エンタメ業界・うまい飯といい話」第1回
- プロの編集者でも「売上は2番目に考えること」なのだから、売上を一番に考えているうちはおもしろいものはそうそう作れないよね……。運はあるにせよ。
- 「おかしな使い方でAIを用いる人が出てくることで物語のバリエーションはむしろ増える」という指摘、画像生成AIの流行初期の時点ですでにそんな動きはあったし、(ヒットするかはさておき)表現の幅は広がりそう。
少年ジャンプ+細野編集長「令和の大ヒットは『ライブ感の醸成』で決まる」
- 下火になりつつあると言われつつ、それでも今なおテレビが流行に大きな役割を果たしているのは、この「ライブ感」のおかげ。
- でもライブ感を武器にトレンドを醸成しているのは多くのエンタメ分野がそうだから、苛烈する時間の奪い合いの中でどうアプローチするかも大切。
岡本太郎しか勝たん
- “推し”を布教せんとするアツい文章であり、その目線を通して現代社会に考察を加える批評文であり、そして何よりも“推し”への愛にあふれる、素敵なラブレターだった。
- 「あがめてたんじゃ、超えられない。」
生活
車で訪れないと食べられない味がある! 街道沿いの愛されロードサイドグルメを巡った
- 喫茶るぽ! 心がぴょんぴょんする某作品や“ライダー”の聖地でもあるらしい喫茶るぽじゃないか!!
- たまにチャリで遠出するときも思うけれど、ロードサイドのお店って独特の魅力があるよね……。
関西一の酷道!暗峠にある「峠の茶屋 すえひろ」が最高だった
- 辿り着くまでの道行きもだけれど、お店を営まれているご夫婦へのインタビューが楽しい! めちゃくちゃ素敵な読み物でございました……!
部屋で音漏れを気にせず歌える!?約1万3千円で、大学生に優しい防音室を1日で作ってみた
- 吸音・遮音の仕組みについて専門家の話を聞いたうえで、実際にブース型の簡易防音室を作成。使う前後の家族の反応とあわせて騒音計の測定結果も掲載していて、手の込みようがすごい! 10dB以上減るんだ!?
考え方
「趣味とは、結果を出すものでなく理由もない。けれど、生き方は変わります」
- どんなことでも「趣味」にして楽しめる時代である現代は、それでいて純粋に「趣味」として楽しむには不要なノイズが目に入りやすい時代であるとも言えそう。
- 楽しいはずの趣味を「義務」にしてしまうこともあるノイズを、どのように「楽しい」ものとして駆動させるか。
八年間スランプだった小説家がまた書けるようになるまでの話
- 「壊れたことにも、直ったことにも気づかない、それがスランプ」の一言が、問題を解消する難しさを示しているように感じた。
- 言語化するのが難しいはずの創作者がぶつかる壁を、「個人の問題」だとして切って捨てず、わかりやすく整理されていてすごい……!
優秀な人に共通する「解像度の高さ」とは? 馬田隆明さんと考える
- 解像度を上げるための視点として「型」の重要性に言及しているのが印象的だった。
- 特定の型にこだわると視野狭窄に陥りかねないけれど、ある型について詳しくなること、複数の型を知ることによって、物事を観察する視点を養えるのは間違いなさそう。
日記に「だるい」とは書いても「今日は絶好調!」とは書きにくい→短歌ではタワマンのいい暮らしは詠まないという話につながりそう
- 逆に「タワマンの住人目線ならではの“だるさ”を詠んだ詩歌があったら読んでみたい」と思ったけれど、結局はちょっとした生活の愚痴に落ち着きそうだし、「タワマン」ならではの固有性って多くはないのかも?🤔
- 「リアルが充実している人はSNSにハマらない説」じゃないけれど、あらゆる面で満たされている人はわざわざ何かを発信しようとはあまり思わなそう(“憧れ”が燃料になることはある)。
- ネガティブな感情をガソリンとして注ぎ込んで、それを熱量に変えて突っ走れるのが創作者なのかなー。
インターネット
感想のすゝめ
- 「感想は自由! 己の気持ちをぶちまけろ!」と強めのおすすめから入りつつ、「どうやって自分の感情と向き合えば?」「他の人と違った場合はどうすれば?」などを掘り下げていく「すゝめ」。みんな、感想を書こう。
「私はエグゼに人生を救われたんだァ~ッ!」エグゼ世代ド真ん中人間による感謝の『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』レポ。この世界観と戦闘システムやっぱメチャすごいと思った話
- ページを開いて突然の「黄色いポスト」に「??」と疑問符が浮かんだけれど、めちゃくちゃ共感できる最高の導入だった。
- 買って懐かしみながら遊びたい気持ちはあるのだけれど……積みゲーの山が……。
千葉の実家に7年間ひきこもった30歳男性がルーマニアで小説家に…“異世界転生”の一部始終
- 「インターネットがあれば海外の人ともつながれる」と言われて久しいけれど、「映画きっかけでルーマニアに興味を持ち、Facebookで4,000人ものルーマニア人にフレンド申請する」なんて行動に移せる人、言語を学習できる人はそうそういないのでは……!? 熱量がパない!
「クソゲーオブザイヤー」は、なぜ休止することになったのか?“KOTYベテラン観測者”2人が分析する、一時代が終わる理由
- コミュニティの一生(※よく見るコピペのそれではない)、もとい「衰退期に入ったネットコミュニティがどのように“終わり”を迎えるのか」の事例として、すっごく興味深い対談だった……!
エンタメ
本が読めない32歳が初めて芥川龍之介を読む日
- 新作待ってたーーー!! よかったーーー!! ありがと〜〜〜!!!
- 『走れメロス』の時も思ったけど、これだけ一文一文を、一語一語を噛み締めるように味わうように読めるのって、それがもう一種の才能だと思うんだ……。
- かまどさんが「……お前、もっと読書したら?」ってこぼすところ、めっちゃ好き。それや。
- 「それはもう読書じゃなくてプロファイリングだな」で笑った。
ターン制RPGに未来はあるのか?──JRPGを徹底的に研究した『崩壊:スターレイル』プロデューサーと、日本ファルコム近藤社長が語りあう「RPGの可能性」
- 現代においてはクラシックにも感じる「ターン制RPG」の可能性や、ゲームにおける「世界観」の作り方、良質なものづくりを長く続けるための考え方など、示唆に富む対談でござった……!
- 『零の軌跡』2部作いいよねーーー!!(大声)
- 敵組織のキャラクターもそうだし、街にいるNPCたちにも細かな背景や設定があって、メインストーリーの展開に伴って会話がどんどん更新されていく、人間関係が変化していくのが楽しい。
人気を掴め!俺のサンリオキャラクター選手権
- まさか「キキララ超巨大説に真正面からツッコミを入れるサンリオ(のデザイナー)さん」の構図を見られるとは思わず、めちゃくちゃ笑った。
今描くべきガンダムとして「呪い」をテーマに据えた理由――『水星の魔女』岡本拓也P
- 「ガンダムと付いているだけで壁になる」という感覚、自分が子供の頃の時点ですでにあったから、コアなファンをかかえる長期シリーズほど直面しやすい問題っぽくもあるよね……。
- ぜんぜん意識してなかったけれど、そういえば作中で描かれるのは国家間の闘争じゃなくて、「企業」間での争いなんだ! 若い世代にもイメージのしやすい世界観になるよう、本当に細部まで検討されているんだろうな……。
他の年の「4月」を振り返る
- 2024年:“祈り”としての創作、インプット座談会、テキスト操り力
- 2022年:偽文書研究、継続のコツ、観察力の鍛え方
- 2021年:僕がスカートをはく理由、優秀さについて、ドリキャスがつないだ縁
- 2020年:オンライン読書会、テレワークによる変化、新型コロナと一人暮らし
- 2019年:令和元年、着物を着る理由、魔法のiらんどの今
- 2018年:イラク日報文学、サブカルムカデ委員長、前向きなネガティブ
- 2017年:マストドン普及、けものフレンズとコンテンツ論、ネガコメの行方
- 2016年:理不尽な研修、“ゆとり世代”の疑問
- 2015年:挫けそうな社会人へ贈る言葉、お寿司はおやつ
- 2014年:退職した新入社員への説得、ネット上に数多ある“おすすめ”