毎月恒例、「今月のブックマークを振り返ろう」のコーナー、今回は2024年12月編です。2014〜2023年の12月の振り返りも末尾に掲載しているので、お暇な方はどーぞ!
今月のベストワン
本が読めない34歳がはじめて「羅生門」を読む日
- 「使っている言葉は現代人目線だと馴染みがないものの、文章自体は親切で読みやすい(でも同時に独特な技法もおもろい)」ことが、みくのしんさんの目を通して再度実感できて楽し〜〜〜!!
- 読了後のコメントが『羅生門』にとどまらずあれこれ考えさせられちゃうもので、ちょっとドキドキしちゃった。
「誰かが見ててくれる」って、ちっちゃいけどすごい力なんだよ。「止めてくれる」とか「認めてくれる」までいかなくてもいいんです。自分を見てくれる存在がいるだけで……全然違うんです
社会・時事
モラトリアムなき時代の大学生たち
- めちゃくちゃ読みごたえのある、興味深い読み物だった……!
- 現代の就活は「早期化」ではなく「長期化」しているのではないか、という問題提起に始まり、若者の時間が搾取されている現状について考察しつつ、筆者さん自身の大学生活での体験から得た気づきをまとめた文章。
「ブックオフせどり」が生きる希望だった…元ひきこもり・無職の男性(41)が“年商36億円の古書店”を作るまで 社会に入り込めない自分には「これしかない」と思えた
- あちらこちらで名前を耳にするバリューブックスさん!創業までの経緯と、その後生まれた課題感についても書かれていておもしろかった。締めくくりの一文も好き。
映画化もされた介護付きシェアハウス、フェスやオーダーメイドの葬式も開催! ご近所さんも子どもも”ごちゃ混ぜ”に集うカオスさが介護の常識を覆す「はっぴーの家ろっけん」兵庫県神戸市
- 「3割きっちり、7割余白」の考え方、いいなー! ケアや仕事に限らず、どのくらいの割合を「余白」として捉えるかを決めておくことで、その場その場で動きやすくなる一面はあるかもしれない。あと、ブタさんかわいい。
浄土真宗の戒めが「ひのえうま」の男女比の歪みを抑えた
- 「なんとなく聞いたことがある迷信」の1つに過ぎなかった、「ひのえうま」の研究成果。こういうのも統計的に裏付けが取れちゃうんだ、という興味深さもあっておもしろかった。
- 1966年にも目に見えて影響があったという事実にもびっくりだけど、2026年はどうだろう……🤔
砂川市・いわた書店 申し込み殺到「一万円選書」が映す世情
- 一度は利用してみたいと思いつつ、抽選と聞いて諦めていたサービス。来年から常時受け付けしてくれるんだ……! 紹介されている本もどれもおもしろそう。
生活
この本がスゴい!2024
- 毎年恒例「12月」に入ったことを感じさせる書評エントリ。
- いつも参考にさせていただきつつ、ここ数年は積ん読がたまる一方なので……来年こそは……いや、この12月から読み始めるぞ……!
イランで結婚式を挙げることになった話
- 結婚カーとクラクションによる祝福、あったけえ〜〜〜!!
- 「イランということは、やっぱりイスラーム色が強いのかな……?」→「あれ……? 意外とそうでもないか……?」→「と思ったらすげえ異文化〜〜〜!!」と目を白黒させられる内容でめっちゃおもしろかった。
6年間毎日ハンバーガーを食べ続け、2,000店以上の専門店をめぐったマニアに「通いたくなるお店」の条件を聞いた
- SHAKE SHACKがブームのきっかけなんだ!?「具材の並べ方で味がぜんぜん違う」というのは意識したことなかったし、それを「ビルド」と呼んでいるのもなんかいいなー。
【オモコロTOEIC王ブロス!】英語勉強に役立ったモノを教えて!!
- このタイトルの記事で『CLANNAD』が出てくるとか予想できる??
- そして突如始まる岡田さんによる“予備校”のお時間から、めちゃくちゃきれいな結論に着地していて最高。
犬とおばあちゃん助けたら最近かなりいい感じ
- 週末のお昼時にこんなに素敵な読み物と出会えてありがとう……ありがとう……の気持ち。ちょっとした人助け(犬助け)の対価として「日常生活が良い方向に変わる」のは、物品や金銭のお礼よりも嬉しい。
- 「散歩」ってめちゃくちゃおもしろくて、同じ道を同じ時間に歩いたとしても、人によって「どこを見ながら歩くか」ってぜんぜん違うんすよ!(それはそう)
- だから、よく知る街並みも、誰かと一緒に歩くとまた違った発見があって楽しい。自分が目にも留めなかったお店や看板、生き物と出会えるから。
考え方
あなたにとって、わたしにとって、「やさしさ」とは?
- 「やさしくなくてもいい、バスのあの席」のエピソードに始まり、当たり前過ぎるがゆえに普段は意識することのない「やさしさ」という言葉を、複数の断片に切り分けて描き出す。
- 「やさしさ、というのものは、とかくほかの何かに邪魔されやすい」という一文が刺さった。そうかもしれない。
タスク管理が上手い人は「完璧」を求めない。子育てや自分の時間など仕事「以外」も大切にするタスクマネジメント法
- Notionの解説動画でお世話になった方だ!
- やることが多い人こそ「休息」をタスクに組み込んだほうが良さそうだし、タイムラインを見ていると、実際そうしているクリエイターさんも結構いそう。
VRC〈ブイチャ〉で映画を撮る前に…
- これ👇️めちゃくちゃ大事な言語化なのでは……!
- 自分が何をしたいのか。それによって何を得たいのか。周囲からどう見られたいのか。最終的な目的はどこにあるのか。こういった「己の欲の形」が不確かであればあるほど、数字や周囲の声に振り回されやすく、活動が迷走に向かいがちな印象があるので、自身の欲求の言語化は大切だと思ってる。
欲望は形が曖昧であるほど人を狂わせます。叶える手段があいまいになり、叶いづらくなっていくからです。嫉妬はその典型であり、飼いならせなければ自分や周囲の人間をも焼き尽くしてしまいます。嫉妬を飼いならすには、己の欲の本当の形を知るしかありません。
日本のアニメに惚れたイタリア人精神科医が提唱する「アニメ療法」が面白い→「物語療法はカウンセリングの主流だが読書はハードルが高いのでアニメが良い」
- 本屋さんで見かけて気になってた本だ!
- 映画やマンガ、小説もそうだけど、苦悩や問題に満ちた自身の世界を別視点から捉え直す手段として、空想とリアリティが適度に入り混じった別世界の『物語』は効果的だと思ってる。直接的な問題解決には結びつかないとしても、「そういう捉え方もあるんだ」という別視点を知ることで、気持ちが楽になったり、行動を起こすきっかけになったり。
インターネット
SNSでの「炎上」で稼ぐ「レイジベイティング」、なぜもうかるのか
- SNSどころか、出版社が運営しているようなニュースサイトすら、隙あらば「怒り」に誘導するようなコンテンツが定番になってしまった近頃。
- 意識的に距離を取る必要があるくらいありふれていて、いつ取り込まれてもおかしくはないと思っているので(特に一部の「数字」を偏重するコンテンツ業界では)、まったく他人事ではないよね……。
【調査】サンリオとコラボしたキャラ1052人の法則を調べたら気ぃ狂いそうになった
- 「傾向と対策」だ!!こういうの大好き!
- ……と思ったら、『ジャンケットバンク』という言葉が見えて予想外で笑った。自分も筆者さんと同じ予想です。
【長編】サザエさんを無音で視聴してストーリーを当てる
- 1ページ目を読み終えて「ついにここから解答編が!?」と思ったら「ここから20,000字あるよ!」の宣告がなされ、「訓練」と「研究」が始まってひっくり返った。超大作だ……! 物語っておもしれえ〜〜〜!!
エンタメ
「学マス」Pの人生を1本のゲームが変えた。「学園アイドルマスター」小美野日出文氏×「マブラヴ」吉宗鋼紀氏の特別対談
- 『進撃の巨人』が有名だけれど、間接的に『マブラヴ』の影響を受けている作品はかなり多いんじゃないかと思ってる。
- 物語の作り方とか、キャラクターコンセプトとか、個人的には有料級のお話なんじゃないかと感じられるくらいめちゃくちゃおもしろかった……!
- 「人間は自分の問題は直視できないが、他人の問題とは向き合える。だから、作中で分身となる主人公の親子関係は一切描かず、サブヒロインの“他人事”として描くことで受け容れやすい構造にした」という話に唸った。そうかもしれない……!
人を魅惑する『ペルソナ』『メタファー』のキャラ、その根源は「色気」にあり? アトラス副島成記とLAMが語り合う、絵に込める欲<フェティシズム>と、イラストレーターが辿り着く「終点」とは
- LAM先生の言語化力に惚れ惚れする。イラストレーターとしての仕事や考え方の話が中心かと思いきや、「そもそもイラストとはなんぞや」という部分にまで話題が及んでいておもしろかった。
- 最小公約数だけど、印象に残るデザイン。増え続けるソシャゲのキャラにせよ、VTuberにせよ、デザインの中で要素を「盛る」方向に向かいがちにも見えるなかで、諸々の要素を削ぎ落としたキャラクターは、たしかに洗練されているように映るかもしれない。
来場者1万2000人、メイン客層は若者! 20年目の「文学フリマ」が新陳代謝を続ける理由
- 大学時代にサークルでたびたび出展していた文学フリマ、盛り上がっているとは聞いていたけれど、すんげえ規模になってた!
- 「毎回、全体の4割も新規の人が申し込んでいる」ってすごくない!?
「ルーキーなら、これぐらいの画力でも載せていいかなと思って」『ふつうの軽音部』原作・クワハリ先生の【絵が苦手】だからこそ開けた漫画道
- 未経験でもマンガを描ける、描きたくなっちゃう、素敵なインタビュー。
- これまでの展開を通じてなんとなく伝わっていた作品テーマが、「そりゃあ好きになるわ」という表現で言語化されていてしっくりきた。
機能美p「まさにおっしゃる通りで。僕もそれは云いたかった」【ダンダダンは盲点を突いている】
- 第1話を読んで喰らった「なんだこれ」が、現在進行系でまだ積み重なり続けていて本当にすごい。不条理との、折り合いのつかない現実との戦いも続けながら。
他の年の「12月」を振り返る
- 2023年:ポケミク、画像生成AIの進化、何でも擬人化する日本人
- 2022年:今年の新語、画像生成AI、コスパを意識しない人間関係
- 2021年:人生で大事な7つのこと、倍速視聴の理由、ニコ動15年の歴史
- 2020年:Flashの終焉、30代の終活、オタクと老い
- 2019年:ステマ騒動、応援広告、カジュアル着物コーデ
- 2018年:スマブラSPの制作風景、VTuberの1年間、悪魔的メッセージ
- 2017年:バーチャルYouTuber、MeToo、各々の生き方と人生の物語
- 2016年:WELQ問題、“正しさ”の息苦しさ、“逃げる”ことの意味
- 2015年:旅立ったあの人の言葉と、今後のネットとのお付き合い
- 2014年:会社員のメリット、書店の魅力、文体を楽しむ