きっかけは、平成最後の夏に開催されたVRライブ──のライブビューイング。
そこで目にしたのは、エビフライにまたがり仮想空間を飛びまわる、月のお姫様。宙に浮かぶステージ、とてつもないカメラワーク、空飛ぶエビフライ、巨大化するエビフライ、爆発するエビフライ──って、改めて文字にしてみるとまるで意味がわからんぞこれ……。
ともかく。映画館のスクリーン越しではあったものの、現実のライブではあり得ないパフォーマンスに度肝を抜かれたんですよね。画面越しでも「何かすげえことが行われている」とわかるVR空間を舞台にしたライブに、強く心惹かれたわけです。
そんなVRの魅力を垣間見てしまったら……そりゃあ、飛び込まずにはいられないわけですよ!
──ということで、年末年始にかけてゲーミング`PCとHMDを購入。貧乏人の預金残高を生贄に捧げてでも味わいたい体験が、手にしたい未来が、そこにはあった。そうしてすぐにVRChatの沼にズブズブと浸かっていくわけですが……それはまた、別の話。
そして迎えた、5月1日。
令和が始まるメモリアルデーに、待望のセカンドライブ『輝夜 月LIVE@ZeppVR 2』が開催されました。そう、僕はこの日のためにつよつよPCとHMDを手に入れ、『Beat Saber』で素振りを繰り返してきたのだ──最近はすっかりVRChatの住民として暮らしているけれど──。
というわけで以下、#カグヤルナライブのざっくり感想となります。
平成最後の夏、画面越しに恋した月のお姫様に、令和初日に会いに行く
チャンネル登録者数95万人を誇る人気バーチャルYouTuber・輝夜月(@_KaguyaLuna)ちゃんのセカンドライブとなる、『輝夜 月LIVE@ZeppVR 2』。
なかなかにぶっ飛んだコラボレーションCM*1も記憶に新しい日清焼そばU.F.O.がスポンサーとして全面的に協力しているらしく、VR空間の会場に入場した途端に、例のCMが目に飛び込んできました。何度見てもヤバいっすね、これ(褒め言葉)。
さて、周囲を見渡すと、開演を今か今かと待ち構えるエビフライアバターの月famたちの姿が。目が覚めたら、月面でエビフライになっていた──ってなにそれ怖い。
その背後には、人工衛星にもロケットにも見える電飾マシマシなタワーがそびえ立っている。近くには、1stライブの最後に爆発して瓦礫の山と化した「ZeppVR」が転がっていたので、どうやらこのライブは前回と地続きにあるらしい。
開演時間になると、月ちゃんの動画ではおなじみの「エビーバー」と「パブロッコリー」が登場。さらには、ライブのティザームービーで登場していた「LOWGUYS」たちがどこからともなく現れ、観衆たちを追い立てるように接近してきた。──今回は最初っからストーリー仕立てなんですね! これは楽しい。
物々しいBGMに合わせて襲いくるLOWGUYSに対して、「みんなー! タワーの中まで走れー!」と観衆を誘導するエビーバーたち。これで一安心……かと思いきや、そこはなんと、LOWGUYSの住処だった!
「「たすけてーー!!」」と叫ぶエビとブロッコリー。なんだなんだと戸惑いつつキョロキョロする、エビアバターな観衆たち。そんな絶体絶命(?)の状況下、今度は突如、タワー内を突っ込んで飛来してくるロケットが! そのまま画面がホワイトアウトし……親の声よりも聞いた彼女の声が、高らかに響き渡った。
「おはよーーーーーー!!」
輝夜月ちゃんその人がステージに降り立ち、そのまま『Beyond the Moon』を披露。──さあ、ライブの開幕でございます。
派手なエフェクト、多彩な舞台、響く「令和」コール
元気いっぱいに1曲目を歌い上げた月ちゃんを見て、すでに大盛り上がりのエビアバターたち。よくよく見たら──衣装が! キービジュアルと同じだ!
今回のライブは「タワーの内部を登っていく」という演出になっているらしく、楽曲ごとに異なるステージで、VRならではのパフォーマンスを見せてくれました。素人目線なので何がどうなっているのかはわからないけれど、派手だったりエモかったりおしゃれだったりでテンション上がった。すごい(小並感)。
曲と曲のあいだのMCも安定の楽しさ。月ちゃんからはライブビューイング会場の様子も見えているらしく、ちょくちょく「見てるよーーー!」と声をかけていたのも印象的でした。
VR参加しているエビアバターに対してはアイコン画像を見てあれこれと声をかけつつ、エモーション機能をうまく使って積極的に交流していました。たびたび巻き起こる「令和」コールには竹。新元号に変わった1日目にして、もう半年分くらいの「令和」を聞いた気がする……。レイワッ。レイワッ。レイワッ。レイワッ。レイワッ。レイワッ。
「仮想空間に来れば、推しに会える」という感動
最初からクライマックスにして、最後までノンストップで盛り上がり、最高に楽しかった、此度のライブ。
そんななか、1曲目の時点で「目の前に月ちゃんがあぁぁぁあああぁああばばばばば!!!」と大興奮していた僕氏。「VRはいいぞ」と布教する際にはいつもウザいほどに話していることですが、やはりこのVRの「同じ空間にいる」感覚は尋常じゃないんですよね……。なんだあの美少女は……。
VRライブに参加するのは2回目ですが、「大好きなVTuberと、同じ空間で、リアルタイムで交流できる」ことの感動は筆舌に尽くしがたい。仮想空間での交流はVRChatのおかげで慣れつつあるものの(それも半月ほどは興奮の連続だった)、相手が「推しのVTuber」となると、また違った高揚が感じられるんですよね。
だってそれは、言うなれば「大好きなキャラクターと直に交流している」ようなものだから。
SNSや生配信で交流することができるとは言え、基本的には画面越しに、映像として接することの多いVTuberたち。そんな存在と「間近で接する」ことのできるVRイベントは、並々ならぬ臨場感と実在感を感じられる貴重な場であるのではないかしら。
とはいえ今回は「ライブ」なので、ステージとフロアとで隔てられており、直に一対一で話せるわけではないのだけれど。……と思っていたら、「そっち行っていい〜?」「ハグしよーーー!!」とこちら側に下りてきて、至近距離でふれあう時間もあったんじゃが! 殺到したエビアバターにもみくちゃにされていて竹。
最近はスクリーン越しにVTuberと会話できるリアルイベントも増えつつあるものの、この「画面」の壁って思いのほか大きいようにも思うんですよね。リアルタイムで互いを認識し、言葉を交わすことはできる。それでもなお、液晶画面によって隔てられている感覚は取っ払えないと言いますか。
ぶっちゃけ、VRのHMDで見ているものも「映像」であることに変わりはありません。ただ、それを「平面」として見るか「空間」として捉えられるかどうかの差は、とてつもなく大きいんじゃないかと。
推しにYouTube動画でガチ恋距離に迫られたときの感覚が「あっ……近い……///」という照れだとしたら、VR空間で至近距離に迫られたときの感覚は「アッアッ……ちょ待ってやめてそれ以上近くはヤバいから本気で何かに堕ちるからやめて耳元で喋らないでア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」と発狂するレベル(※個人の感想です)。でも、周囲のVR勢の話をちらほらと聞くかぎりでも、割とそのくらいの差はあるんじゃないかしら。しゅごい(ヤバい)。
だからと言って「VRこそが至高!」というわけでもなく、リアルイベントにはリアルならではの魅力もあります。
昨夜の感想ツイートの中にも「盛り上がりを物理的に感じられない」*2という指摘があり、たしかにそのとおりだなーと。そういえば自分が月ちゃんの1stライブを映画館で見たときも、客席がやたらと賑やかで楽しめた覚えがあります*3。
しかも今回の2ndライブでは、Zepp DiverCityにて爆音&応援上映の形でのライブビューイングも開催されていたという話。あとでツイートを追うだけでも、現地の盛り上がりが伝わってきます。その場にいる大勢で共有できる「一体感」のようなものは、やっぱりまだまだリアルには敵わないのかなと。
何はともあれ、さいっっっこうに楽しかった2ndライブ。
冒頭にも書いたように、無理をしてまでVR環境をそろえてよかったと思ったし、これからもこの手のイベントには積極的に参加していきたいと感じました。──ってかVRライブって、考えてみればまだ割と新しい試みなんですよね……? これで発展途上にあるとか、今後はどうなっちゃうんです……?
今回のライブだけでも、きっと大勢のスタッフさんとクリエイターさんが関わっていらっしゃるはず。いち観客がこういうことを書くのは変かもですが、素敵な空間を作り上げてくれて、本当にありがとうございます。そして、楽しいひとときをくれた月ちゃんにもありがとう。あなたの声と動画に、いつも救われています。
他方で、全国の映画館でライブビューイング上映されたということもあり、「今回が初めてのVRライブだった」という人も相当数いるのではないかと思います。もし今回むちゃくちゃ楽しめたという人がいらっしゃいましたら、そんな人にこそ「ぜひ次はVRで!」とおすすめしたい。きっと後悔しないはず。
それではまたいつか。
月面かどこかでお会いしましょう。
© KAGUYA LUNA