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【輝夜月LIVE感想】エビで空飛ぶ月の姫に、仮想現実の夢を見た

 

 バーチャルYouTuber・輝夜月@_KaguyaLunaちゃんの初ライブ『輝夜 月 LIVE@Zepp VR』のライブビューイングに行ってきました!

 当初は「VR空間で参加できないなら、わざわざ映画館に行ってまで見る必要はないかなー」とも思っていたのですが……いやいや、とんでもない。

 映画館の大スクリーンに映し出されたのは、これまで見たこともないようなステージと、アニメでしか実現しなかったようなライブパフォーマンス。しかもそれがリアルタイムで進行しているという事実に、「興奮しすぎて涙腺がゆるむ」という、不思議な初体験をすることになったのでした。

 

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心から行ってよかったと感じた「初めて」だらけのVRライブ

「輝夜 月 LIVE@Zepp VR」のステッカー

ステッカーは買えたよ!

 仮想空間上に建設された「Zepp VR」を会場として、まったく新しい「VRライブ」と銘打って開催された本イベント。7月中旬に販売されたチケットは即完売となり、Zepp VRに降り立てたのは選ばれし200人だったとの話。まっことうらやましい……。

 で、完売から間もなくして「ライブビューイング実施決定!」の報が届いたため、自分はそちらで参加することに。映画館では公式グッズも販売されるということで、きっとリアルのライブさながらに楽しめるはず。──実際の会場はVRだけど。

 

 そして実際に目の当たりにしたライブは……
 もう何が何だかわからなくなるほどにすごかった!(小並感)

 

 開演前の諸注意として「会場での飲食・喫煙は禁止です」という説明がある……と見せかけて、「でもまあVRだし自由にやってくれよな!」的な仮想空間ならではの前説に始まり、初っ端から謎の「VRラジオ体操」で独特の世界観を展開。ボッシュート的な動きではけていく姿に笑った。

 昨年12月のデビューから振り返る動画が再生され、いざライブパートへ。オリジナル曲『Beyond the Moon』を披露しつつ、現実にはありえない形に稼働するステージにいざなわれ、縦横無尽に飛びまわるルナちゃんが超かわいい。っていうかカメラワークがヤバい。詳しくは後述しますが……なにこれ劇場アニメ?

 

Beyond the Moon

Beyond the Moon

  • 輝夜 月
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 リアルのライブに近い平面的なものになるかと思いきや、空間を存分に使って展開されるライブパフォーマンスに、技術的なことはわからない自分は目を白黒させるばかり。……ただひとつだけわかるのは、ルナちゃんがかわいいってことだけだ! うん! まちがいねぇ!

 そこにいるのは、派手なエフェクトを従えて宙空で歌う、月のお姫様。その眼下には、わちゃわちゃしているエビアバターの集団の姿*1。右へ左へ、上へ下へと翔ける姫の動きに合わせるようにフロアを移動するエビたちの動きも、まるでリアルのライブハウスのよう*2。歌唱のあとにはトークタイムもあり、事前に募集した質問に答えながら会場の観客と交流する様子は、見ているだけでも楽しい。安定の自由奔放っぷりで、映画館でも頻繁に笑い声があがっておりました。

 あまりにも情報量が多すぎて、実際は短い時間だったのに、終演後には映画を見たあとのような満足感を覚えたほど。「自分が好きなVTuberの晴れの舞台を見ることができた」だけでなく、「VRの魅力と可能性を肌で感じることができた」という意味でも、心底から行ってよかったと思えたのでした。

 

VRならではの価値と、現実ならではの体験

 ところで、「ライブビューイングをやるよ!」という知らせを聞いたときに、「ひゃっほー! これでVR環境がなくてもルナちゃんを応援できるぞー!」と喜びつつ、ふと気になったことがありまして。

 それは、「『家にいながらにして参加できる』ことが魅力であるVRライブを、わざわざ映画館に見に行く」という行為の特殊性。そして同時に、「VR参加の人は通販を利用しなければ買えないグッズが、ライブビューイング勢は当日の先行販売で買える」という対称性。

 メインは当然「VR」のほうであり、ライブビューイングは救済措置的なものかと思っていたけれど……実際に足を運ぶことによるメリットも、実はあるっぽい?

 そこで思ったのが、このあたりの「VRと現実のどちらで参加するか」という問題は、掘り下げて考えてみると結構おもしろいんじゃないかと。

 ライブへの没入感、仮想現実ならではの臨場感は、VRでしか得られない「体験」であると言って間違いない。でも一方で、現実で会場に足を運び、その場でグッズを購入してライブに臨むという体験もまた、現実だからこそ得られる「体験」であると言えるはず。

輝夜月・等身大フィギュア

今回も「等身大フィギュアの展示」という、リアルならではの「体験」がありました。

 どちらが良い悪いという話ではなく、むしろ「選択肢が広がった」という感じかしら。「周囲の観客の顔が見えて、声も聞こえるリアル会場のほうが楽しめる」という人がいれば、「VR空間を移動しスクショポイントを探しつつ、ネット上で実況も追いかけながら見たほうが楽しい」という人もいるでしょう。

 今後、VR側の自由度や楽しみ方が広がると予想される一方で、会場に足を運ぶことで得られる「体験」に価値を求める人もゼロにはならないはず。4DXや爆音上映といった「体験型」の映画が広がったように、いずれ「VRライブ」が定着することで、現実のライブ体験が拡張されることもあるのかもしれない。

 

非現実的なステージと、音楽番組さながらのカメラワークに大興奮

 かたやVR空間、かたや映画館(ライブ会場)という違いはあれど、どちらも「同じ空間を共有する仲間と盛り上がる」という環境は似通っているようにも映った、此度のイベント。ところが、周囲を見渡し自由に移動できるVRと、椅子に座って画面を眺めるリアルとでは、「見え方」が大きく異なっていたらしい。

 僕自身はライブビューイングでしか見ておらず、VR目線の感想はTwitterのハッシュタグで流し読んだだけなので、そちらは想像しかできないのですが……。やはりVRで見るライブの臨場感は尋常じゃなかった様子。例の “爆発” の瞬間とか、どんな感じだったんだろう……。

 

 

 けれど、ライブビューイングも負けていない(と思いたい)。実際、劇場で映し出されていた映像は、期待を遥かに超えてくるものだった。それこそ「興奮しすぎて涙腺がゆるむ」くらいには。

 正直に言って、当初はあまり期待していなかったんですよね。ステージを真正面に捉えた定点カメラが基本で、両サイドから映したり、会場を俯瞰したりするカメラがあればいいなー……くらいの感覚。ライブビューイングは「見れればラッキー」くらいのものかと、割と本気で思っていました。たとえるなら、「仕事で疲れてビデオカメラを動かす気力のないお父さんが撮った息子の運動会の映像」のような。

 ところがどっこい。実際に映画館の大きなスクリーンに映し出されたのは「定点カメラが映した運動会」ではなく、「ゴリッゴリのカメラワークが光る3Dアニメの劇場版」だった。

 音楽番組さながらのステージパフォーマンス&カメラワークを目の当たりにし、「一流アーティストのMVか!」と興奮していたら、そんなのはまだ序の口。赤・青・黄の3色の立方体に彩られたステージが変形し、分裂し、ジェット噴射によって会場内を縦横無尽に飛びまわる。しかもその飛んでいる状態の激しい動きにも負けず、いつも以上に表情豊かに歌うルナちゃんの一挙手一投足を魅せようとするカメラ先輩。それはまさしく、「劇場版」レベルだった。頭上斜め上から満面の笑みのルナちゃんを映したカットでは、心を撃ち抜かれた。

 つまり、VRにはVRならではの「体験」の興奮があり、ライブビューイングにはライブビューイングの良さがあったとも言えそうな。このような「見え方」の違いもまた、VRとリアル会場のどちらで見るかを左右する判断材料になってくるのかもしれない。

 映画館では、公式が推奨する視点から快適にステージを鑑賞できる。対するVRでは、観客の各々が自由に空間を移動し、自分なりにベストスポットを見つけて楽しむことができる。もしかしたら今後、VRライブで見栄えの良いスクショを撮るプロ──「スクショ職人」のような存在が出てくるかも……?

 

“頑張ってる姿に自分も頑張ろうと元気をもらえるよ”

 そんなこんなで、あれこれと書いていると長くなりそうですし、もっと詳しいライブレポートは取材に入っていたであろうメディアの皆様におまかせするとして……。

 ここからはオタク的な自分語りになりますが、自分が「輝夜月」というVTuberを知ったのは、昨年の12月10日〜11日くらいのこと。ちょうど最初の自己紹介動画が投稿されたときに、たまたまTwitterに流れてきたのを見かけて知ったのがきっかけだった。

 当時は、そのつい数日前ににゃるら@nyalraさんの記事*3を読み、ねこます@kemomimi_oukokuさんの存在を知ったばかり。バーチャルYouTuberがアツいと、むちゃくちゃおもしろい世界があると知り、気になる人がいないかチェックしていたそのタイミングで目に入ったのが、輝夜月ちゃんだった。

 ──まあ、当然ながらハマるよね!

 それからの流れは割愛しますが、いちファンとして追いかけつつ、ほかのVTuberの動画も見るようになり、Vの沼にどっぷりと浸かることになるわけで。

 それでもこの約9ヶ月間、自分をこんなにも楽しい世界へ引きずり込むきっかけとなったスタート地点に、にゃるらさんの記事とねこますさんの存在があり、そしてルナちゃんがいたことは、紛れもない事実なのです。同時に、リアルで落ち込む出来事が多かった昨年末以降、二次元のキャラクターのようでありながら、むちゃくちゃ身近にも感じるVTuberたちの存在が、自分の助けとなっていたことも間違いない。

 ルナちゃんの生みの親(デザイン担当)Mika Pikazo@MikaPikaZo先生が、夏コミの同人誌のあとがきでこう書いていました。

 

個人的なお話になってしまうのですが、ずっと自分は「創作というものを通じて、人の魂に触れたい」と思って生きてきました。辛かった時も、元気になれない時も、絵がどうしても描けなくなってしまった時も「だれかの魂に触れたいから」とペンを握ってたくさん描きました。そして月ちゃんは、それを存在として証明してくれました。彼女が生まれてから、月ちゃんと、そして月ちゃんを通じてこの世界のどこかに住んでいる誰かと、触れ合える時が生まれたように感じます。

身近な人でも、手が届かないような人でも、人ではない何か、クリエイトでも元気にさせてくれる、楽しませてくれる存在は本当にすばらしくて、それだけで時に生きる力を与えてくれたりします。

(中略)

頑張ってる姿に自分も頑張ろうと元気をもらえるよ。

Mika Pikazo『OKITE!BOOK』あとがきより*4

 

 このあとがきを読んで、軽く泣けてくるくらいには共感してしまったんですよね。

 もちろん自分はプロとして活動しているわけではないし、ネットの片隅で好き勝手に呟いているだけの一個人に過ぎませんが、それでも、文字を通じて誰かと「ふれあえた」と感じた瞬間はかけがえのないもの。同時に、誰かがつくった音楽やアニメやマンガや小説にふれて、救われた気持ちになることも少なくない。

 そのようなコンテンツとして、また同時に、仮想的なキャラクターでありながら現実に生きる一個人として、時には人と人とをつなぐ媒介となり、時にはファンと交流しているVTuberの存在は……なんというか、ファン目線ではむちゃくちゃありがたく感じる一方で、一個人としては心底から尊敬する対象というか。

 各々に目的は違うでしょうし、ビジネスとしてやっている企業もあれば、単純に楽しいからやっている個人もいる。でも、大多数は「楽しい」とか「おもしろい」といったポジティブな感情を起点にして界隈を盛り上げつつ試行錯誤している感じがあり、自分もそのエネルギーを分けてもらっている実感があります。

Mika Pikazo『OKITE!BOOK』

Mika Pikazoさんの『OKITE!BOOK』はいいぞ。

 けれどそれゆえに、ちょっと悔しく感じている自分もいる。あんなにも楽しいお祭りの空間を──ライブビューイングでも充分に楽しめたとはいえ──VR空間で堪能する環境がないことに。クリエイターもファンも誰も彼もを巻きこんで大きくなっていく波に乗れず、傍観者として眺めることしかできない現状に。

 だからこそ昨夜のライブを見て、僕も「がんばろう」と決意したのでした。平成最後の夏も終わりが近く、暦の上では2018年も残すところあと3分の1。でも自分の「2018年」は昨夜のあの瞬間から始まった。エビに跨り宙を翔けるお姫様に心奪われ、肥大化するエビーバーが爆発したあの瞬間に。

 

 

 ゆくゆくは誰もが cluster. でイベントを開催するようになるのかなーと思いつつ。あの場所に立ってほしいVTuberはたくさんいるけれど……歌って踊るシロちゃんや、KMNZの2人をVR空間で見られたらいいなあ……。それまでには、自分もパソコンを買い換えてVR環境をそろえないと……。2012年産のMacBookはもう死に体なのじゃ……。

 ──というわけで、ライブ感想のはずが自分語りが長くなるという陰キャ特有のあれやこれやで〆るのもアレですが、とにもかくにも「最高の一夜をありがとう!」と声を大にして言いたい。本日より何としてもVの世界へと身を投じるべく、身を粉にして働く所存です。

 

 

©Kaguya Luna/SACRA MUSIC 2018

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*1:VRチケットを入手した、選ばれし200名のみなさん。

*2:ステージに向かっての横移動だけでなく、フロア側へ向かう縦移動もあったのは独特ですが。

*3:キミは「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」を知っているか!? - 根室記念館

*4:【お品書き】「〈C94〉おしながき〈MikaPikaZo〉」イラスト/Mika Pikazo [pixiv]