ぶっちゃけ予告編を見たときはどうかと思ってたけど……むちゃくちゃおもしろかったぞこんちくしょう!
ピカチュウふわふわ! 眉間にシワ! リザードンかっこいい! ギャラドスつよい! バリヤードええやん! フシギダネかわいい! でも、ミュウツーは働きすぎ! 休んで!
──というわけで、ついに本日より封切りとなりました、ポケモン初となる実写長編映画『名探偵ピカチュウ』。
その予告編に映し出されたのは、全体的にモフみのあるデザインと、爬虫類じみた生々しいポケモンたち。その出で立ちに若干の違和感を覚えつつも、他方では「しわしわのピカチュウ」がバズるなど公開前から話題となっておりました。
実際に見てきた感想としては、繰り返すように「むちゃくちゃおもしろかった」の一言。
街中で人間と暮らすポケモンたちはみんな生き生きとしていて、本当に「生きている」ように映ったほど。それぞれのポケモンが持つ個性を活かした描写も多く、また街中に小ネタもちらほらと散見されるなど、並々ならぬポケモン愛を感じる作品となっていました。
知っていても知らなくても楽しめる『名探偵ピカチュウ』
ところで、前提として確認しておきたいのが、本家のポケモンとは別にある「原作」の存在。『名探偵ピカチュウ』という同名のゲームソフトがあり、今回の映画版はこちらを踏襲した内容となっているのです(発売当時「ピカチュウがイケボだ!」って話題になりましたよね)。
僕自身はそちらは未プレイなのですが、Twitterに流れている感想を確認したかぎりでは、映画版はゲーム版のストーリーを踏襲しているそうな。ただしハリウッド風にアレンジされていたり展開が異なっていたりと、まったく同じではない模様。なので、原作プレイ済の人でも楽しめるようです。
一方で、自分のようにゲームの知識がほぼない──それこそ「イケボのピカチュウ」くらいしか知らない──人にとってはどうなのかと言えば。これはもう、冒頭に書いたとおりですね。ほぼまっさらな状態でも充分に楽しめたし、ひとつの「ポケモン映画」として考えてもありありだと思います。
主人公・ティムとピカチュウの関係性をはじめ、そこには紛れもない「人とポケモンとの絆」があった。2018年公開の『みんなの物語』で描かれたような、人とポケモンとが手を取り助け合い、共に暮らしている世界。街中で生き生きと暮らすポケモンの描写は、本家にも負けず劣らずのものでした*1。
交通整理をするカイリキー。道端で爆睡するカビゴン。警察署前に佇むゴルーグ。電線をつたって移動するバチュル。ボイスパーカッションでバトルを盛り上げるドゴーム。などなど。
個人的には、ゲンガーの戦闘描写に「そうくるか!」と唸らされた。ゲームでよく見る固形っぽい姿でなく、ホラー映画に登場するまさしく「ゴースト」のような動き。あまりにも “それ(幽霊)っぽい” ので、劇中で一番(良い意味で)不気味に感じたかもしれない。
逆に、予告編でさんざん「キモい」と言われていたバリヤードは、むしろ愛着がわいてきた。……いや、たしかに見た目はキモい。でも何と言うか、徹底してアニメチックにコミカルに動いているように見えて、親しみやすく思えてきた感じ。あれでも人型ポケモンですしおすし。
あとあと! 自分の中での「ベストオブかわいい」は、フシギダネ!
いやだって、あのキュートっぷりはヤバいっしょ! 全体的にモフかったり生々しかったりするポケモンの中では、かなり原作に近い姿形。それでいてリアルな “生物” っぽくも感じられて、しかも「キューキュー」って感じで鳴くんだよ!? さらにはそれが群れで出てくるんだぜ!? あんなんゲットするしかないっしょ! ひゃっほぅ! キミに決めた!
そこかしこに感じられるポケモン愛
そんなこんなで、多種多彩なポケモンたちの姿を見ているだけでも楽しい本作。街中の看板にもちらほらとポケモンネタが見受けられるなど、情報量盛りだくさんでおもしろく観ることができました。途中、すっごくシンプルなフォントで「きのみカフェ」って書かれていたような……。
あとは言うまでもなく、主人公の1人──もとい1匹である、名探偵ピカチュウ。おなじみの愛くるしい姿でありながら、ニヒルな口調でティムを振りまわし導く、モフモフの毛玉。カフェイン中毒な彼がバーカウンターでおかわりを頼む様は、キマっているようでいてどこか憎めない。かわいい。
彼の言葉がわかるティムの目線で描かれているからか、登場するポケモンの中では特に「表情」がわかりやすいのも印象的。皮肉に笑みを浮かべたり、驚いて目を見開いたり。ただ、その表情があまりにも人間じみているからか、シリアスなシーンで眉間にシワを寄せている顔に笑ってしまった。それ……完全にうちの親父の表情やん……。
個人的にお気に入りの彼のセリフは、「アレ(ボルテッカー)は痛いから嫌なんだよ!」と「このポケモン野郎!」です。どちらもバトルシーンでのものだけど、あんなん笑いますわ。あと、肩に乗るのを拒否されたときに口にした「わかったよ、10万歩めざしてるんだ」は、ポケットなピカチュウのネタ……?
──とまあ、なんやかんやと登場するポケモンの話ばかりになってしまいましたが、ストーリーも想像以上によかったです。……ほんとだよ! だって、ポケモンたちがみんな魅力的すぎるんだもの!
二転三転する展開の中でしっかりと “探偵” していたし、散りばめられた伏線の回収も鮮やか。ラストの展開は完全に予想外だったし、「それも伏線だったのかー!」と驚かされるポイントも2つや3つだけではありませんでした。何か単語を出すだけでもネタバレになりかねないので、詳しくはぜひ劇場で。
そして、すべてが終わった最後の最後は、驚きの連続だった。
エンディング直前で「あーーーー!」と叫びたくなり、赤緑世代ホイホイなエンディングムービーに「うおおおおおお!!」と昂ぶり、さらにはスタッフロール後に流れた(おそらく初公開の)予告編で泣いた。──そう、今夏公開の『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』です。流れていたBGM、歌は入ってなかったけど、アレだよね……。
というわけで長くなりましたが、個人的には大当たりだった『名探偵ピカチュウ』。一応はすべての世代のポケモンが登場するようですが、全体としては赤緑時代が多め……かな? 最近のポケモンがわからない人でも問題なく楽しめるはずなので、気になる人はぜひ映画館でどうぞ!
ところで、吹き替え版を観た人がみんな「西島秀俊のボルテッカーは一見の価値あり」と話しているのが、すっごく気になるのじゃ……。吹き替えで2回目、行くか……?
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*1:とはいえ、『みんなの物語』ではモブも含めた「人とポケモンの関係」をあまりにも緻密に描いていたため、そちらと比べるとさすがに見劣りする気もします。