2019年に買ってよかったものベスト1


2019年に買ってよかったものベスト1

 「改元」という一大イベント(?)をはじめ、いろいろと慌ただしかったような気もする2019年も、間もなく終了。

 やれ忘年会だ、やれボーナスだ、やれ冬コミの進捗ダメですなどと、Twitterのタイムラインもすっかり年の瀬の雰囲気に包まれている今日この頃。忘年会にもボーナスにも縁のない(ただし冬コミは行きたい)僕とっての年の瀬とは、すなわち1年間のまとめ記事を書く時期でございます。

──ってなわけで、年末恒例のアレです。
「今年買ってよかったもの」のコーナーです。

 例年であれば、それっぽいガジェットやら生活用品やらをズラッと並べるところですが、今年はコンパクトにまとめてみました。

 というのも、たしかに「買ってよかった」と感じるものは結構あったのですが、そのトップに位置する物の「よかった!!!」レベルがあまりにも高すぎて、他が若干霞んでしまっているんですよね……。あまり他人の参考になる内容ではないと思いますので、気楽に読み流してくださいな。

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VR HMDをかぶった結果、文字通り「世界」が変わった

HTC VIVE

 今年最高に「買ってよかった!!!」と感じた商品。2019年のベストバイであるのは当然として、ここ数年間で一番の買い物と言っても過言ではない。

 それが、VRのヘッドマウントディスプレイ『HTC VIVE』です。

 これまでの常識やら日常やら価値観やらを見事に粉砕してくれた、最高のおもちゃ。「生活を便利にするガジェット」とか、「仕事の効率を高めるツール」とか、「心を動かされるコンテンツ」とは一線を画する、文字通り「世界を変えてくれる」存在。VR HMDは、僕にそんな衝撃をもたらしてくれました。

 ところで少し話は逸れますが、この手の「買ってよかったもの」の記事を読んでいると、何らかの「体験」を挙げている人をしばしば見かけます。わかりやすいものだと「海外旅行」という体験それ自体だったり、体験へと導いてくれる「青春18きっぷ」などのチケットだったり。

「旅行」のイメージ写真

 僕自身も旅行は好きだし、遠出していれば今年の「買ってよかったもの」に挙げていたんじゃないかと思う。「旅」という非日常体験はそれだけで最高に楽しいし、記憶にも残りやすい。物理的に残るのは写真やお土産だけだとしても、その「体験」が「買ってよかったもの」であることは間違いありません。

 では、そのような「体験」としての「旅行」に対して、「VR」はどうだろう。

 多分、「VRにそこまでの刺激や価値があるの?」と、疑問に思う人は少なくないはず。ここ数年でVR関連の話題を見る機会が増えたとはいえ、つまるところは「ちょっと豪華な動画やゲーム」に過ぎないんじゃないかと。そう考えている人も多いんじゃないかしら。

 ところがどっこい。
 VRの世界は、想像以上にすごかった。

現実ではできない体験と、現実さながらの実在感

VRの世界

 仮想現実の世界における体験は、驚くほどに新鮮で、刺激的で、心躍らされるようななものばかり。だって、そのどれもこれもが、現実ではできないことばかりなんだもの!

 たとえば、以下のような。

  • 家に居ながらにしてライブに参戦する*1
  • ライブ会場で推しとガチ恋距離でふれあう
  • 軌道エレベーターに乗って宇宙に行く
  • ロボットの姿になる
  • ケモミミ娘の姿になる
  • 身長を変えて、他の人を見上げたり見下ろしたりする
  • スカートや燕尾服など、好みの服に着替える
  • アクセサリーショップで髪飾りを選んで買う
  • 家族や恋人のような距離感で他人と接する
  • 日常的に「かわいい」と言われる
  • 褒められるのが嬉しくてkawaii動きを会得しようとする
  • リアルではやらない「自撮り」の楽しさを知る*2
  • 外国人と英語や日本語でオタクトークを繰り広げる
  • 韓国人に日本語を教える/逆に韓国語を教わる

 ──などなど。

 これまでの四半世紀あまりの自分の人生において、まったく味わったことのない「体験」の数々。それが、VRの世界にはあったのです。言ってしまえば、だいたいは『VRChat』という特定のサービスにおける「体験」なのですが……それはそれとして。

 そこに広がっていたのは、現実世界ともインターネットとも似て非なる世界。

 リアルでは再現困難な仮想世界やライブ体験があり、文字や音声を情報伝達手段としているSNSでは伝えきれない「空間」を介したコミュニケーションがあり、言語の壁もぶっ壊して、誰もが思い思いの姿で、自由気ままに過ごしている。それはまるで、夢に見た「異世界」のようでもございました。

 でも同時に、そこにはリアルでもネットでも避けては通れない「人間関係」がある。そう考えると、結局は現実世界と地続きであることに変わりはないのだけれど……それでもやっぱり、VR世界を巡ったり、誰かと交流したりするのは楽しい。だってそれは、以前の生活では得られなかった、かけがえのない「体験」だから。

バーチャルマーケット3が楽しみすぎてそろそろハゲそう - ぐるりみち。より)

 『VRは脳をどう変えるか?』という本に書かれていたのですが、VRの世界で得られる体験のすべては、文字通り「経験」なんですよね。ただテレビを見たり、音楽を聞いたりするのとはわけが違う。

 仮想世界の風景がたとえゲームのような見た目であり、作り物だとわかっていても、僕らの脳はそれを「現実」のものとして認識してしまう。VR世界の高層ビルの屋上に行けば足がすくむし、目の前にボールが飛んでくれば避けようと体が動くし、かわいい生き物がいれば撫で回したくなる。

 だって、本当にそこに “ある” ように感じられるから。
 だって、本当にそこに “いる” ように感じられるから。

 実際問題として、そこに “いる” のは間違いないのです。自分自身がその世界に “いる” のは言うまでもなく、VR空間には、言葉を交わし、交流する相手が “いる” 。NPCや録画データではない、生身の人間が。ただしその姿は、ケモミミ娘だったり巨大ロボだったりモンスターだったりラーメンだったりするけれど。

VRChatで乾杯!

 そりゃあもちろん、オンラインゲームだってSNSだって、普段から他人と交流していることに変わりはない。けれど、VRの場合は……何と言うか、「実在感」をより強く感じられるんですよね。

 声だけではなく、アバターの姿で、身振り手振りを交えながら行われる、VRでのコミュニケーション。それはビデオチャットのような画面越しのやり取りではなく、紛れもない「同じ空間」で行われるもの。離れれば相手の声が遠くなるし、至近距離なら耳元で話しているように聞こえる。相手が手を振って挨拶しているのを見れば、こちらも自然と手を振り返したくなるし、相手がこちらの頭を撫でるようなモーションをしてきたら、本当に触られているかのような感覚を覚えることすらある。

 そのくらい、VRの実在感と没入感はとてつもない

 実のところはヘッドマウントディスプレイをかぶっているだけなので、 “画面” を見ていることに変わりはないのだけれど……。それでも、平面では味わえない “そこにいる” という実感が、VRでは並外れて感じられました。

アバターを通して初めて知る、様々な価値観と楽しさ

今日はどこへ行こうかな?

 また、自らの姿を変えて仮想世界で過ごしていると、現実では知り得なかった価値観や楽しみに気づくこともあります。

 たとえば、身長の低いアバターに着替えると、ガタイのいい人に接近されたときの圧迫感がわかる。複数の巨漢に囲まれたときは軽く恐怖を感じたし、目線を合わせようとしゃがんでくれる人からは、ちょっとした優しさを感じられる。もちろん、リアルでも一時的になら目線は変えられる。けれど、身長を変えて、他人の目線を体感するのは難しい。これは、VRならではの体験と言えるのではないかしら。

 一方で、「自撮り」の楽しさや、アクセサリーを身にまとうことの楽しさに気づいたのも、VRで過ごすようになってから。

 冴えないアラサー男子たる自分に、現実世界での自撮りはハードルが高い。というか、そもそも自撮りの楽しさもよくわかっていなかった。カメラを固定して、謎ポーズを取るなど撮影するならまだしも、自分の顔やバストアップを撮って残すことの何が楽しいのかと。そう考えていた時期が僕にもありました。

 ところがどっこい。

 もしも自撮りをしたときに映るのが「冴えないおっさん」ではなく、「自分好みのキャラクター」だったらどうだろう? かわいい女の子に限らず、ケモミミを生やした男の子とか、高身長のイケメン執事とか、変形合体するタイプのロボとかだったら。

 それなら、自撮りも楽しくなるのでは──?

VRChatで自撮り1
VRChatで自撮り2

 うん! むちゃくちゃ楽しい!!

 表情を変え、ボーズを変え、背景を変え、数え切れないほど素敵なワールドが存在するVR世界で自撮りをするのは、最高に楽しい。自分ひとりだけでも十分に楽しいけれど、先々で出会った十人十色の魅力を持つ人たちと一緒に記念撮影をすると、もっともっと楽しい。

 自撮りって、こんなにも心躍るものだったんだね……。

自撮りした僕かわいい

 そうやって自撮りの楽しさを知ると、次は写真に映る「自分」の姿も変えたくなってくる。お借りしているアバターのデフォルトの姿も最高にかわいいけれど*3、アクセサリーを付けたり髪型を変えたりして、自分なりに少しアレンジしてみたくなる。その試行錯誤もまた、むちゃくちゃ楽しい。

 残念ながら自分にはモデリングの知識がないため、見様見真似でちょっとした「お着替え」しかできないのだけれど……。それでも、モデラーさんたちが販売している素敵な服やアクセサリーを眺めながら、どれを買おうかなーと悩む時間もまた刺激的。リアルの洋服選びよりも楽しいかもしれない。

 というか、冷静になって振り返ってみると、今年の自分が「服」に使った金額……リアル洋服よりも、バーチャルのほうが多いのでは……?

世界を変えたい人は、VR HMDを買おう

バーチャルマーケット

 全体的にVRChat関係の話が多めだった気もするものの、ついに手に入れたVR HMDは、間違いない今年一番の「買ってよかったもの」だと断言できます

 それは、魅力的な世界を見せてくれるのみならず、それまで知り得なかった価値観を教えてくれた、最高のおもちゃ。VRがなければ会えなかった人がいて、知れなかったVTuberがいる。そして、VRがあったからこそ知り得た素敵なコンテンツがあり、気づくことのできた “自分” の姿や思いもありました。

輝夜月VRライブ2
VRすきま朗読会
VRイベント空間『cluster』で開催されるライブ&イベントも楽しい(左:日清焼そばU.F.O. presents「輝夜 月 LIVE@ZeppVR 2」/右:VRすきま朗読会

 そんなこんなで、前々から抱いていた仮想現実への憧れが、ついに叶った今年。2019年という年は、自分にとってはとてつもなく刺激的な1年間となりました。

 まだまだ万人に勧められるものではないけれど、少しでも興味のある人には、「ぜひ一度体験してみて!」と声を大にして言いたい。僕自身、1年ちょっと前にライブビューイングで見たVRライブと、とあるVR体験会で大好きなVTuberと話せた体験が、HMDの購入につながっているので。

 こんなにも楽しい “現実” が、ここにある。
 この年末年始に、あなたも覗いてみませんか?

 

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