『弟子・藤井聡太の学び方』1人の棋士の“学び”の視点と、師匠のあたたかな視線

 最近、将棋の本をちょくちょく読んでいる。きっかけとなったのは、昨今の藤井フィーバー……ではなく、『りゅうおうのおしごと!』との出会い。アニメの放送をきっかけに、ずっと積ん読状態だった原作を読んだところ、何度も泣かされ、その熱に浮かされてしまったのでした。

 その流れでしばしば将棋中継を見るようになり、2月17日の朝日杯*1準決勝&決勝では大興奮。すっかり将棋に魅了され、以来『将棋ウォーズ』で毎日欠かさず指すようになりました。同時に将棋本を何冊か買い、近頃は時間のあるときに読んでいます。少し前に読んだ『不屈の棋士』がおもしろかった。

 そんななかで今回読んだのは、書店でも数多く並んでいるのを見かける「藤井聡太本」のなかから、彼の師匠である杉本昌隆七段による著作『弟子・藤井聡太の学び方』

 これが、想像以上におもしろかった! 「電子書籍が出るまで待とうかなー、でも、電子化されるかわからないしなー」なんて思って一瞬だけ躊躇いましたが、すぐに買って読んで大正解。読み終えたあともパラパラめくって読み返したくなる、魅力にあふれる1冊でした。

 

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初音ミク×鼓童スペシャルライブ2018で号泣した

初音ミク×鼓童スペシャルライブ2018・NHKホール前

 電子の歌姫と伝統芸能の、夢のコラボレーション。『初音ミク×鼓童スペシャルライブ2018』*1に、昨年に続いて参戦してきました!(6/2の夜公演)

 その名のとおり、バーチャルシンガー・初音ミクと、プロの和太鼓集団・鼓童がコラボレーションした、スペシャルライブ。2017年3月の開催から1年が経ち、再びあの興奮を味わえると聞いたら……そりゃあ行かないわけにはいかないでしょう。

 そう、黎明期から大好きで聴いていたボカロと、自分も学生時代に経験がある和太鼓との組み合わせは、どうしたって外せない。全力でS席を確保し、今年も参戦してきました。

 それにしてもまさか、号泣することになるとは思わなかったぜよ……。

※昨年の感想はこちら↓

 

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2018年5月の話題〜生産性と幸福度、“○○離れ”の元祖、リアルとバーチャルの狭間

月末の挨拶:バーチャル受肉したい。

 

──はい、こちらからは以上です。

というわけで、毎月末恒例「今月のブックマークを振り返ろう」のコーナーです。末尾に2014〜2017年の「5月」のまとめ記事へのリンクも貼っているので、「暇だし少し前の記事でも読んでみっかー」という方は、よかったらどぞー。

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働く大人の学習法!3つの原理と7つの方法をまとめた『働く大人のための「学び」の教科書』

 学生時代にぬるま湯に浸かってきた人が、いざ入社してしばらくすると「勉強しなくちゃ……!」と学習意欲に目覚めるのは、一種の「社会人あるある」だと思っている。僕がそうでした。

 業務に関係のあることのみならず、それ以外の分野でも。特にここ数年、歴史や数学を「学び直す」たぐいの本を書店でよく見かけるのは、その手の需要が高まりつつあるからなのではないかしら。仕事が楽しくなってきた若手社員の学習意欲に答えるための、学び直し本。

 そんな欲求に目覚めた人が、就活生──俗に「意識高い系」と呼ばれる──と異なるのは、「ある程度は『学び』の方向性がはっきりしている」点にあると思う。

 と言うのも、漠然とした指針を頼りに進めるしかなかった就活に対して、実務の伴う会社員生活は、良くも悪くも自分を丸裸にしてくれる。力不足を嘆き、教養のなさに恥ずかしさを覚え、自分に「足りないもの」が自然と見えてくる。なかには「思ってたのと違う……」と違和感を抱き、退職してしまう人もいるかもしれないけれど。僕もそうでした。

 いずれにせよ、そうした力不足の実感は、「勉強しなくちゃ……!」という学習意欲につながりやすい。降って湧いた欲求に突き動かされるように、教養を身につけるためにビジネス書を読み、見聞を広げるべくセミナーに参加し、資格を取るために勉強する。ある程度は目指すべき方向がわかっているため、就活のような焦燥感もなく、楽しみながら学べているという人も多いのではないかと思う。

 ところが、そう簡単には事が運ばない場合もある。資格の勉強など、目標が明確ならばともかく、それ以外の分野では、「学び」のゴールや目的がはっきりとしていないことも珍しくないからだ。

 マナー、会話術、文章の書き方、営業のノウハウ──など幅広く手を付け、知識は身につけることができた。しかし、必ずしもそれが実務で役立つとは限らない。学校の勉強のように試験があるわけでもなし、学んだことが実力に結びついてるのかも不明瞭だ。

 成長が実感できなければ、やがて「自分が勉強していることに意味はあるのかな……?」などと疑念を抱くようになっても不思議ではない。学習それ自体を楽しめているうちはいいけれど、なんだかんだで、目標設定がないと勉強を続けるのは難しいようにも思う。僕はそうでした。

 そのような問題と向き合い、大人の「学び」の方向性を示してくれるのが、本書『働く大人のための「学び」の教科書』です。

 想定読者は「30代以上のホワイトカラーのビジネスパーソン」とのことだけれど、もっと幅広い層に勧められそう。なんたって、「20代の自営業(元ブルーカラーっぽい営業職)」という、まるでかすりもしない自分が読んでも役に立つ内容だったので。と同時に、「新入社員時代に読みたかった!」とも強く感じました。

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7つの比喩の型を知り、言語感覚を活性化させてくれる名著『レトリック感覚』

 誰もが当たり前に使っているのに、実はすっごい曖昧なもの。
 定義がしっかりしているようでいて、実は簡単に変化する適当なもの。

 そして言うまでもなく、魅力的でおもしろいもの。そんな「ことば」の多様性と再会できる1冊、佐藤信夫著『レトリック感覚』を読みました。

 

 

 振り返ってみればここ数年、「言葉の使い方」や「文章の書き方」を紐解いた本を何冊も読んできた自分。でも、そんななかでスルーしていたのが、この「レトリック」でした。

 ……だって、これ、なんとなく小難しいイメージがありません? なんだか、文芸部に所属する理屈系文系男子が、眼鏡をクイッと上げながら説明してくれそうな感じ。基本的な作文技法や論文の書き方とは異なる範疇にある、専門的な言語表現という印象が強かったんですよね。

 それこそ、「小説家志望の人や文章を生業とする人が学ぶ技術」のような。自分には無縁の分野であると考えて、これまではスルーしてしていた格好です。しかし最近、普段から読んでいる書評ブログで、しかも複数の人がおすすめしているのが目に入り、気になって読んでみることにしたのでした。

 

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