初音ミク×鼓童スペシャルライブ2018で号泣した


初音ミク×鼓童スペシャルライブ2018・NHKホール前

 電子の歌姫と伝統芸能の、夢のコラボレーション。『初音ミク×鼓童スペシャルライブ2018』*1に、昨年に続いて参戦してきました!(6/2の夜公演)

 その名のとおり、バーチャルシンガー・初音ミクと、プロの和太鼓集団・鼓童がコラボレーションした、スペシャルライブ。2017年3月の開催から1年が経ち、再びあの興奮を味わえると聞いたら……そりゃあ行かないわけにはいかないでしょう。

 そう、黎明期から大好きで聴いていたボカロと、自分も学生時代に経験がある和太鼓との組み合わせは、どうしたって外せない。全力でS席を確保し、今年も参戦してきました。

 それにしてもまさか、号泣することになるとは思わなかったぜよ……。

※昨年の感想はこちら↓

 

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音響がパワーアップ?和太鼓の重低音が、ボカロ曲をより魅力的に!

初音ミク×鼓童スペシャルライブ2018の特典サイリウム

 昨年のライブでも想像以上にしっくりくるように感じられた、和太鼓×ボーカロイドのコラボ。「千本桜」や「紅一葉」といった和風の曲はもちろん、それ以外の楽曲でも、和太鼓の重低音が自然に溶け込んでいたんですよね。「違和感がない」どころか、「和太鼓が曲を引き立てている」印象すら覚えるほどに。

 加えて、「裏表ラバーズ」や「初音ミクの消失」といったBPM速めの楽曲にも問題なく対応する鼓童のみなさんの技量と、舞い踊るようなパフォーマンスも魅力的。肩にかけて叩く桶太鼓や、飛び跳ねながら叩く鳴り物も登場し、耳だけでなく目でも楽しめるステージとなっていました。通常のボカロライブでは映像演出がメインになりがちなので、ステージ上で舞い踊る姿は新鮮。血湧き肉躍る。

 そんな昨年、特に観客を魅了していたのが、ジャンガラ(小さなシンバルのような楽器)を奏でながら、スクリーンに映し出されたレンと一緒に側転を決めた、鼓童のお兄さんの「リモコン」でのパフォーマンス。今年は違う方が担当されていたようですが*2、やっぱりむちゃくちゃ盛り上がっておりました。

 そういった「和太鼓」と「ボーカロイド」の組み合わせならではの魅力は、2018年も変わらず。──いや、むしろパワーアップしていたというか、2017年よりも自然に聴き取りやすくなっていたような気がする。

 ボカロの歌唱、バンドの演奏、そして鼓童の演奏の3つの音量が、昨年以上にバランス良く噛み合っていた印象。 和太鼓の音がほかを掻き消すことなく、また逆にバンド演奏が和太鼓の音を遮るようなこともなく、ちょうどいい塩梅。自分の座席がちょうど良い距離にあったという可能性もありますが(2階席最前列)

 バンドはバンドでもちろんドラマーさんがいるので、ステージ上は打楽器マシマシ状態。必然、刻まれるリズムは大きく、強く、重く、響きわたるため、身体の芯から揺さぶられる感じがたまらないのです……! 特にビートが特徴的な曲は、通常の演奏が物足りなく感じるほど癖になる。「ワールドイズマイン」のサビ直前とか。

 あと、バンドメンバーのみなさんもノリノリで、見ているこっちも楽しかった! 自分たちが演奏していないときも和太鼓の音色に身体を揺らし、演奏中はたびたび鼓童のみなさんとアイコンタクトをしていたり。和太鼓を叩く真似をしている姿が目に入ったときは、思わず笑った。ベーシストさんだったかな?

 

僕にとっての、ハジメテノオト

和太鼓とバチとダンボーと

 ミクさんをはじめとするボカロ勢の楽曲のみならず、鼓童の楽曲も存分に堪能できる点も、このライブの魅力のひとつ。鼓童オリジナルの楽曲のほか、郷土芸能のアレンジも取り入れていて、なんとなく懐かしさを感じるリズムに浸ることができます。

 今年のセットリストで言えば、三宅島発祥の「三宅」とか。地面に近い位置、横向きに置かれた和太鼓の隣に立ち、腰を落とした低姿勢で叩くスタイル。僕自身も学生時代に習ったのですが……これ、シンプルなリズムながら妙に中毒性があるというか、聴くのも叩くのも気持ちいいんですよね。グルーヴ感があると。

 そんな三宅が今回のライブで叩かれているのを聴いていたら、思わず学生時代の記憶がフラッシュバック。ほぼ毎日のように和太鼓の練習に明け暮れていた高校の夏休み、そういえば、ひたすらこのリズムを繰り返していたことがあったなー、と。

 練習の休憩中、手持ち無沙汰なのか、誰かが三宅のリズムを叩きはじめる。すると、釣られてまた誰かが叩き出す。休憩時間にもかかわらず、気づけば大勢で太鼓に向かっている。そうして徐々にテンポを上げながら、体力のかぎり叩き続け、誰が最後まで残るかを競っていた思い出。お遊びのような、セッションのような何か。ドンツク、ドンツク、ドンドンツク。ドンツク、ドンツク、ドンドンツク。ドドンコドンドン、スッテテコドンドン──。

 結局、休憩が終わるまで叩き続け、「休憩できてねーじゃねーか!」とツッコみ、ツッコまれていた思い出があります。

 そう、振り返ってみれば、自分が自信を持って奏でられる唯一の「音楽」が和太鼓であり、今なお身体に染みついている音が、この三宅のリズムだった。それをこうしてライブで聴くのは、なんだか感慨深い──などと、ノスタルジーに浸る方向へ感情が動くのを感じながら、ライブを楽しんでいる自分がいました。

Tell Your World

livetune feat. 初音ミク 『Tell Your World』Music Video - YouTubeより

 そして迎えた、ライブ終盤。

 お約束と言わんばかりに流れた「Tell Your World」に涙腺を刺激されつつ、それでもまだ、その段階では耐えていた自分。──説明しよう! インターネットの普及と共に育った、ネットカルチャーに救われた世代でもある僕は、 “インターネット讃歌” とも呼べるこの曲には問答無用で涙腺をツンツンされてしまうのだ!

 しかし、続くアンコール前ラストに流れた「ハジメテノオト」では、さすがに耐えきれなかった。……いや、そりゃあまあ名曲ですし? 初音ミク黎明期から、ずっと聴き続けてきた初期の曲ということで、古参ホイホイであることは間違いなし。涙腺が緩むのも、必然と言えば必然ではありました。

 でもそれ以上に、「『 “初音ミク” と “鼓童” のスペシャルライブ』というあの空間で、この曲が流れた」ことが決定打となりました。先ほど書いたようなノスタルジーに個人的に浸っていたなか、「初めての音は なんでしたか?」なんて問われたら……ね……。

 

 だって、僕にとっての「ハジメテノオト」は、「和太鼓」だったから

 

ハジメテノオト

初音ミクオリジナル曲 「ハジメテノオト(Fullバージョン)」 - ニコニコ動画より

 ピアノも弾けず、歌も歌えず……でも聴くことは好きで、ずっと聴くだけだった「音楽」を、初めて自分で奏でられた、自信を持ってこれが僕の音だと言える唯一の楽器が、「和太鼓」だったから。

 しかも、その最高峰である鼓童のみなさんが演奏をするなかで、これまで10年も歌声を聴き続けてきた大好きなミクさんが、「初めての音は なんでしたか?」なんて問いかけてきたら……そりゃあ、感極まらずにはいられないわけで。

 その結果が、マジ泣きである。

 ライブやコンサートの場で感動して涙ぐんだことは過去にもあったけれど、嗚咽が漏れそうなレベルでマジ泣きしたのは初めて。10年も離れていた和太鼓の音と、10年ずっと近くにいてくれたミクさんの歌声とが合わさって奏でられる、「ハジメテノオト」。そのメロディと歌詞が耳に入った瞬間──僕は死んだ。

 あと、泣かされて改めて実感したんだけど、この曲の歌詞、畳み掛けがパない。「初めての音は なんでしたか?」はもちろん、「知らない曲とか 街の音に ワクワクしてますか?」「言えずにしまったり 言わなかった 言葉は 少しさみしそう」あたりの歌詞が地味に沁みる。そして「あなたが かわっても 失くしたくないものは ワタシに あずけてね」の部分で死ぬ。ミクしゃん……(´;ω;`)

初音ミクCD

ライブ後、居ても立っても居られずCDを引っ張り出してきた

 ──などとまあ、ライブの感想というか、至極個人的な自分語りになってしまって誰得なんだって話ですが……やっぱり、ライブは最高でした! 間違いねえ!

 昨年、「これっきりで終わらせるにはもったいない!」なんて書きましたが、 “これっきり” にならなくて本当によかった! 願わくば、来年も再来年も開催されたら嬉しいな……と思いつつ。次があるなら、また全力で参戦させていただきます。この際、東京五輪で盛大にぶちかましてくれてもいいのよ……?

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