最近、とんかつを食べていない──。
ある日のお昼どき、ふとそう思い至った。
いや、正確に言えば、「とんかつ」自体はたびたび食べている。安く早くお昼ごはんを済ませたいときに、出先の駅前のチェーン店で。『かつや』は鉄板。『松のや』もいいぞ。どちらのお店も、カツ丼なら500円程度で食べられるし、牛丼と比べて腹持ちがいい(気がする)ので、割と利用する機会は多い。
でも、そうじゃあないのだ。
注文すれば速攻で出てきて、短時間でちゃちゃっと食べ終えられるカツ丼/とんかつではなく、定食屋/とんかつ屋のそれが食べたいのだ。注文を聞いてから調理を始め、そこそこ待たされてから配膳される、揚げたてのボリューミーなとんかつ。もちろん衣はサクサクで、チェーン店のように遠慮がちにではなく、これでもかと言わんばかりに千切りキャベツが盛られた定食。
そんな「とんかつ」を食べたくなることが、たまにある。
そこで今回、とどまるところを知らない「とんかつ欲」に突き動かされるまま訪れたのが、池袋の『とんかつ 清水屋』さんでございます。いざ、とんかつタイム。
どこか落ち着く雰囲気の店内で、とんかつを存分に頬張る
『とんかつ 清水屋』さんがあるのは、池袋駅東口から徒歩4分の距離にある交差点の一角。同じビルの1階には『富士そば』が、交差点の反対側には『松のや』が店を構える、ちょっとした “とんかつゾーン” である。
その『富士そば』の入り口の脇にある階段を上がった先にあるのが、『清水屋』さん。遠目には入り口がわかりにくく、しかも細い階段を登る必要があり、初見で入店するには少し勇気が必要かもしれない。ただ、階段を上がって扉さえ開けてしまえば、そこはいたって普通の定食屋さん。何も怖くはございません。
カウンター席に、いくつかのテーブル席。狭くもなく広くもなく、どこか落ち着く内装は、昔ながらの定食屋さんの趣がある。決して古臭かったり汚かったりするということはなく、一口に言えば「味のある」雰囲気。平日のお昼どきには、近隣のサラリーマンがランチに訪れていそう。
厨房で調理をしているのは、壮年の男性。そして配膳のために店内を行き来しているのは──なんと、腰の曲がったおばあちゃん。
えっ、ちょっと、大丈夫ですか、手伝いましょうか……なんて思わず動きそうになったけれど、配膳の様子は手慣れたもの。余計なお節介でしたね。厨房とのやり取りを見るに、調理をしているのは……息子さんかしら? それにしても、ますますもって「昔ながらの定食屋さん」っぽさが感じられるお店だ……!
この日は日曜日。「休日出勤なんだよー」とおばあちゃんに向かって苦笑いしながらお会計をするサラリーマンのほか、カップルや家族連れでも賑わうお昼過ぎ。
そんな店内の様子を眺めつつ、待つことしばし。運ばれてきた定食は、まさに僕が焦がれていた「とんかつ」そのものでした。
サクサクの衣に、包まれた肉はやわらか。誰が見ても「山盛り」と表現できる千切りキャベツに、お漬物と豚汁。もちろん、ご飯は大盛り無料。お腹いっぱい食べたい学生やサラリーマンの需要を満たしてくれる、パーフェクトとんかつ。そう、これだよ……これが食べたかったんですよ……!
衣と肉は言うに及ばず、そこはかとなく甘みのある脂が食欲をそそる。かと言って、しつこすぎるということはなく、とんかつ自体は最後までおいしく食べることができました。ソースをかけなくても、ご飯がどんどん進む味わい。実際、半分ほどはソースなしでいただきました。
ただ、とにかく全体的にボリューミーなこともあって、僕にはちょっと多かったかもしれない。ご飯の「大盛り」が想像以上に盛られていたこともあって──おかずとの配分はちょうど良かったものの──最後には少しがんばってかっ込む必要がありました。ギリギリ苦しく感じない程度の満腹感ですね。
──お腹いっぱい、ごちそうさまでした!
後で調べてみたら結構な人気店らしく、常連さんのレビューによれば「上ロース定食」がおすすめらしい。それに、カツカレーも気になるし、今回の満足感もかなりのもの──とくれば、これは再訪必至でございましょう。何度か通えば間違いなく、池袋のお気に入り店リストに入りそうな。助かる。
ちなみに、すぐ近くには牛カツの人気店『いろは』さんもあり、そちらもおすすめですぞ!
店舗情報
- 営業時間(月〜金):11:00~22:00
- 営業時間(土日祝):11:00~15:00 / 18:00~22:00
- 席数:25席
- アクセス:東京メトロ丸ノ内線『池袋』駅29番口 徒歩2分
- 周辺のお店:ぐるなび池袋×とんかつ(トンカツ)