『論より詭弁』という本を読んだ。
ロジカルシンキングを扱う本が数多く書店に並んでいる現代において、このタイトルは否が応でも目に入った。序章のタイトルからして「論理的思考批判」であり、「論理なんぞ知ったこっちゃない」と言わんばかりの言葉が並ぶ本書の第一印象は、あまりにも鮮烈だった。
議論に世の中を変える力などありはしない。もし本当に何かを変えたいのなら、議論などせずに、裏の根回しで数工作でもした方がよほど確実であろう。実際に、本物のリアリストは、皆そうしている。世の中は、結局は数の多い方が勝つのである。
(香西秀信著『論より詭弁』Kindle版 位置No.53より)
「あまりにもぶっちゃけすぎでは!?」と驚いてしまうものの、だからといって「論理」を完全に蔑ろにしているわけではない。それどころか、筆者自身は論理的思考の研究と教育に携わってきた立場にある。
『論より詭弁』では、そんな筆者が論理学と修辞学の視点から「議論」を批判し、一般的には「詭弁」と呼ばれ否定されがちな論法について分析と考察を加えていく。おなじみの「ロジカルシンキング」を別の視点から捉え直す内容となっており、とても興味深く読めました。