後ろ向きな理由でなく、前向きに“働き方”を再考できる本『フリーランス&“複”業で働く!完全ガイド』

もしも5年前にこの本を読んでいたら、自分は会社を辞めていなかったんじゃなかろうか──。本書を読み終えて最初に頭をよぎったのは、そんな考えだった。

日経のムック本『フリーランス&“複”業で働く!完全ガイド』を読みました。自分も一般会員として制度を利用させていただいているフリーランス協会が監修しており、フリーランス・パラレルワーカーとして働くためのノウハウをまとめた内容となっています。

一方で、すでにフリーランスとして活動中の人に向けた本かと思いきや、それだけではない模様。将来的に独立を考えている人のみならず、現職のまま副業・複業に励みたい会社員の参考になるノウハウも。広い意味での「働き方」を考える読み物が数多く掲載されており、幅広い層の人におすすめできる1冊です。

 

 

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ワクワクが止まらない最高の1巻!本好きに贈りたい漫画『図書館の大魔術師』

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泉光著『図書館の大魔術師』(1)P.54より

 これほどまでに完璧な「第1巻」は、なかなかないんじゃなかろうか……!

 理不尽な環境で生きる少年。未知なる世界への情熱と渇望。現実と非現実の入り混じった世界観。運命的な出会い。知識と機転によって獲得される理解と信頼。危機的状況に踏みこむ勇気。張り巡らされた複線。──そして、物語を彩る言葉の数々。

 物語全体から見れば、おそらくは序章や前日譚に過ぎない部分。にもかかわらず、そんなプロローグ的な部分だけで驚くほどに興奮し、心躍らされている自分がいた。緻密な見開きイラストの一枚一枚から、台詞のひとつひとつから、並々ならない熱を感じられたのです。

 それだけではありません。この『図書館の大魔術師』を読み進めるなかで、自身の少年時代の情景と感情が呼び起こされるほどでした。

 昼休みの終わりを告げるチャイムの音が聞こえなくなるほどに、図書室で読書に没頭していたこと。親に連れられて訪れた大型書店で、無限とも思われる物語がこの世にあると知ったときのこと。大好きなシリーズの新刊が待ちきれず、手元の本を何度も何度も読み返し、時には新たな物語を空想していたときのこと。

 知りたい情報はインターネットで調べるようになり、本は電子書籍で読むようになり、紙の書籍を手にする機会は減ったとしても、今なお変わらない胸の内の情動。「物語」に対する滾るような熱意が、本作からは強く感じられたのでした。

 

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【C94】気になる創作・評論・グルメ同人誌まとめ【夏コミ】

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※写真は2015年の夏コミ。

 ──「夏祭」と書いて「コミケ」と読む。

 今年もこの季節がやってまいりました。明日から始まる、2018年夏のコミックマーケット94。ということで今回も、個人的に気になるサークルさんをざっくりとまとめさせていただきました。

 チェックに際しては、アキバBlog@akibablogさんの支援ツイート*1ほか、各サークルさんのリツイートを参考にさせていただいております(いつもお世話になっております)

 また、タイトルでは「創作」「評論」「グルメ」と書いていますが、あくまで「3日目の評論島を中心にピックアップしてみた」くらいの感覚です。サークルチェックの参考になりましたら幸いです*2

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*1:参考:アキバBlogのTwitterでの「コミケ支援ツイート」についてツイート予約システム

*2:サークル名の記載ミスなどありましたら、ご指摘いただけると助かります。

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『わかったつもり』になってない?視野を広げ、読解力を鍛える本

 「文章が下手な人は、そもそも文章を読めない」という指摘がある*1

 ひとまとまりの長い文章を読む習慣がないから。文脈を読み取る力に欠けているから。読めても自分なりに曲解してしまうから。──だから、文章を読むことができない。

 そのように「読めない」人の文章が拙く感じられるのも、当然といえば当然なのかもしれない。だって、他人の文章を「読めない」人が、自分の文章を「読める」はずもないのだから。自分ではいくら「書けた!」と思っても、文中の問題に気がつけない。「読めない」がゆえに客観的に文章を見直すことができず、間違いや煩雑な箇所を修正できない。結果、第三者が読んだときに拙く感じられてしまうのだ。

 だからこそ、「読解力」は大切。

 文章を読み、その内容を理解する力がなければ、人に伝わる文章などそもそも書きようがないのだ。文章力や語彙力よりも重要な、読み書きの大前提となる基礎──それがこの、「読解力」だと言えるだろう。

 しかしこの読解力、実は結構な曲者でもある。というのも、「よし、読解力を鍛えよう!」と思い立ち、書店の文章本コーナーへ足を運んでも、参考になりそうな本が意外と見当たらないのだ。

 目に入るのは、作文技法や語彙力の鍛え方といった「書き方」の本ばかり。「読み方」の本は思いのほか少なく、見つけるには教育書のコーナーまで足を伸ばす必要がある。とくれば当然、小中学生向けの教え方や高校生の小論文対策といった方向性の本ばかりのため、大人には少々手に取りづらい。

 そこで選択肢に挙がるのがこちら。本書『わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~』は、そんな「大人」にも勧められる「読み方」の解説本です。

 普段は本を読まない人でも手に取りやすそうなボリュームで、平易な文体で「読解力」を学ぶことができる新書。「読む」という行為の仕組みを再考する内容ともなっているため、読み書きが好きな人も興味深く読めるのではないかしら。

 誤読はなぜ起こるのか。文脈にはどのような機能があるのか。人によって解釈が異なるのはどうしてか。そして、いかに自分たちが「わかったつもり」になって文章を読んでいるか。──「書く」ことよりも身近な「読む」ことを紐解いた、刺激的かつ新鮮な1冊です。

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文章に苦手意識がある人におすすめ!実践的な“書き方”を学べる『超スピード文章術』

 文章を人に読んでもらえない。
 ひとつの記事を書き上げるスピードが遅い。
 たくさん書いているのに、上達した気がしない。
 同じ時期に始めた人と比べて、なかなか自分のブログの芽が出ない。

 「文章」にまつわる悩みは人それぞれ。でも、このような問題に直面したことのある人は少なくないのではないでしょうか。と同時に、これらの問題を考えるにあたって、僕らはその理由を「文章力がないから」だと決めつけがちです。

 基本的な作文能力に不安があるから、論理的に構成する力がないから、人にわかりやすく伝えるための語彙力に乏しいから、などなど。しかし、その原因は必ずしも「文章力」にあるとは限りません。むしろ考えるべきは、文章を書く際の前提となる部分にあります。

 それが、文章を形づくる「素材」です。

 そもそも、あらゆる文章にはそれぞれに目的があります。メールであれば情報伝達、日報であればその日の出来事の記録、企画書であれば企画内容の説明と上司の説得──といったように。

 しかし、表現力や構成力をはじめとする「文章力」とは、そのような文章を読みやすく整える一要素に過ぎません。それよりも重要なのは、その文章が伝えようとする情報、つまりは「素材」です。

 文中に含まれる事実・データ・体験談といった素材こそが、文章全体の質を左右する。実際、最新の流行や独自性の強いネタ、具体的な事実やデータを取り扱っている文章などを見ると、表現の巧拙に関係なく大勢に読まれやすい傾向があるのではないでしょうか。

 単純な話、「おもしろい(役立つ)話題は、誰が書いてもそれなりにおもしろい(役立つ)内容になる」んですよね。情報それ自体に価値があるのなら、「素材本来の味」のままでも充分なのです。

 ゆえに大切なのは、「どう書くか」ではなく「何を書くか」。抽象的な表現を用いて読者の情感に訴えかけようとせずとも、具体的な事実やエピソードといった素材さえあれば、文章の内容は正確に読者に伝わります。「わかりやすい文章」とは、往々にしてそのようなものなのではないでしょうか。

 本書『超スピード文章術』が取り扱うのは、そのような「素材」に注力した文章の書き方、「素材文章術」です。

 読んで字のごとく「速く書く」ことを目的にしたハウツー本ではあるのですが、それだけではありません。「速さ」重視で効率化を目指すと同時に、「伝わる文章を書く方法」をも紐解く解説書。ブログはもちろん、企画書やメールも含めた、あらゆる「文章」を書くにあたって参考になる1冊です。

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