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後ろ向きな理由でなく、前向きに“働き方”を再考できる本『フリーランス&“複”業で働く!完全ガイド』

 もしも5年前にこの本を読んでいたら、自分は会社を辞めていなかったんじゃなかろうか──。本書を読み終えて最初に頭をよぎったのは、そんな考えだった。

 

 

 日経のムック本『フリーランス&“複”業で働く!完全ガイド』を読みました。自分も一般会員として制度を利用させていただいているフリーランス協会が監修しており、フリーランス・パラレルワーカーとして働くためのノウハウをまとめた内容となっています。

 一方で、すでにフリーランスとして活動中の人に向けた本かと思いきや、それだけではない模様。将来的に独立を考えている人のみならず、現職のまま副業・複業に励みたい会社員の参考になるノウハウも。広い意味での「働き方」を考える読み物が数多く掲載されており、幅広い層の人におすすめできる1冊です。

 

 

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前向きに「働き方」を再考できる本

 本書の内容を一言で表すなら、「後ろ向きな理由でなく、前向きに『働き方』を再考できる本」

 旧態依然とした労働観を並べ立てるでなく、必要以上に将来への不安を煽るでもなく、「今の仕事が嫌だから」という、後ろ向きな理由から独立を考えている人の背中を押すというわけでもない。

 2018年現在の日本における「働き方」の最新事情を示しつつ、一人ひとりが今後のキャリアプランをどのように考えればいいかを整理。そのうえで、多種多様な働き方のなかから、「フリーランス」や「パラレルワーカー」という選択肢を提示するような内容になっています。

 

掲載コンテンツ(一部)*1

  • プロフェッショナル・フリーランス&パラレルワーカーになるためには?
  • 仕事を円滑に進めるスキルを磨く方法
  • 快適な働く場所を確保する方法
  • 「フリーランス×企業」でイノベーションを生む方法
  • フリーランスのリスクに備える方法
  • 知っておきたい公的支援、税金・法律の知識

 

 特に印象的なのが、さまざまな業種で活躍するフリーランスへのインタビュー。コピーライター、エンジニア、編集者、家政婦など、業種も肩書きも異なる人たちに「働き方」を聞いたインタビューは、どれもこれも読みごたえがある。

 「23人のお仕事図鑑」と題したミニコラムからも、十人十色の仕事観が垣間見えておもしろい。世の中にはこんなにもいろいろな仕事があり、働き方があり、それぞれの分野で活躍している人がいるのか……! と実感できる。二足も三足も草鞋を履いている人も珍しくなく、きっと興味深く読めるはず。

 独立するつもりのない人でも楽しめる、多様な働き方を紹介した読み物がある一方で、現役フリーランス向けのノウハウも充実。長く楽しく働くためのキャリアプランの考え方や、自分を高く売るための営業術、仕事獲得の方法に、フリーランスに必要なスキルの解説などを掲載している。

 さらには、企業との雇用関係を持たない独立系フリーランスだけでなく、雇用関係を持ちながら別の仕事も抱えている副業系フリーランス、そして複数の仕事を並行してこなす複業ワーカー向けのコンテンツも。フリーランスと共にプロジェクトに取り組む「企業」の担当者目線での話も複数あり、どれも示唆に富んだインタビューとなっていた。

 現役のフリーランスにとっては、「仕事に役立つノウハウ本」
 副業・複業を検討している人にとっては、「指針を示してくれる参考書」
 企業勤めの会社員にとっては、「多様な働き方を垣間見れるインタビュー集」

 「フリーランス」という、労働形態のひとつに過ぎないテーマを取り扱った内容でありながら、読者の立場によって異なる読後感を得られるだろう本。広い意味での「働き方」を、今後の社会的な展望も含めて考えることができる、まっこと読みごたえのある1冊です。

 

「パラレルワーカー」という選択肢

 ただし、本書は「フリーランスのためのガイド」を謳っているものの、それはあくまでも「前向きに『働く』ことを考えている人」に向けたもの。後ろ向きな理由で仕事をしている人、やむを得ず独立することになってしまった人のための本ではない、とも感じられました。

 というのも、「自分はきっと、この本に書かれているような『フリーランス』にはなれない」と思えてしまったので。一応はフリーライターとして活動している身ではあるものの、本書の内容はまるで異世界の話であるかのよう。自分にはまったく「フリーランス」の適性がないのだと、再認識させられた。

 たとえば、本書に掲載されている「フリーランスに必要な能力・資質」を見てみると、自分には半分も備わっていないことがわかる。「自分を売る力」と言われても、営業活動をしたことはない。「専門性」はなくはないが、専門家には敵わない。当然「人脈」も、営業しないのでほぼ皆無──といったように。

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『フリーランス&“複”業で働く!完全ガイド』(日本経済新聞出版社)より

 「フリーランスとして名前を売り、今以上に活躍することを目指す」内容であるがために、なし崩し的に独立した自分のような人間からすると……なかなかに辛い。もちろん理解はできるし、共感もできる。具体的な考え方やノウハウが書かれており、がんばろうという気持ちにもなれる。それは間違いありません。

 ただ、あまりにも具体的かつ実践的すぎるがために、「やっぱり向いてないよなあ……」と、改めて実感せずにはいられないのです。

 多くのフリーランスにとって「王道」とされる方法論は参考にしづらく、結局は自分なりの考え方と方法で戦うしかないと再確認した格好。そもそも「登場人物が全員実名である(っぽい)」ところからして、自分を含めた身近な「フリーランス」とは、住んでいる世界が違うような印象を受けた。

 それゆえに、もしも5年前にこの本を読んでいたら、自分は会社を辞めていなかったんじゃなかろうか──と思ったわけです。おそらくは、どうにかして会社員のまま副業に励む道を選んでいたんじゃないかと。

 企業の末端として従事するなかで「成果」の実感を得にくく、やりたいことをできず、燻っていた当時の自分にとって、本書が示す「パラレルワーカー」の考え方は魅力的に映ったはず。「変化も望めないし、あと数年もすれば身体が壊れるのが目に見えているから」と辞めることもなく、課外活動や人脈作りに取り組むなど、在職したまま「粘る」道を選んでいたように思う。

 もし本書を読んでいたら、フリーランスではなく「パラレルワーカー」という選択をしていたかもしれない──。そのように考えると、本書は単に「働き方」を再考するのみならず、読者の一人ひとりに適した選択肢を示す役割を果たしてくれる本とも言えるのではないかしら。

 何はともあれ、意識の低い自分にとっては、強い動機づけとなってくれそうなムック本。特にモリジュンヤさんのインタビュー記事には読んでいて感化される部分も多く、少しは意識を高めてがんばっていきたいところ。「フリーランス」の認識を広げてくれる本として、今後もたまに読み返していこうと思います。

 

 

 

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