※この記事は、映画『君たちはどう生きるか』のネタバレをすっごく含む、箇条書き感想です。
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あれ!?「ファンタジー冒険活劇」はどこ!?
- 本編開始と同時に耳に入った音を聞いて、「空襲警報……?」と『火垂るの墓』を思い出して身構える。空襲ではなかったものの、「戦時下」という時代背景がすぐに汲み取れたことで、「冒険活劇じゃなかったの〜〜〜!?」と軽く混乱。
- その冒頭、約5分間のアニメーションがもうすごい。急勾配の階段を手を使って駆け上がる動き、慌てつつもテキパキと着替える動作、群衆をかき分けながら走るシーンの疾走感と、心情を表すかのようなゆらめき。それが燃え上がる炎の描写ともあわさり、「なんかすっげえものを見せられてるぞ……!?」と。
- 序盤はそんな感じで、「アニメーション」的な部分で興奮しまくっていた。人力車の揺れと、車を降りたときのちょっとしたよろめきとかもすごいよね。細かっ!
- あと、背景美術がきれいすぎて、まじまじと眺めたくなった。
- 背景美術といえば、エンドクレジットで存在感を発揮する「でぼギャラリー」の文字よ。アートブックを買いそびれていたことを思い出した。買わねば。
スーパージブリババア大戦が始まるかと
- 疎開先の細かな描写やら時代背景やらを見ていて、「もしかしてこれって、宮崎駿監督の少年時代の……?」と、別にジブリオタクでもなんでもない自分ですら思い至る。
- 冒頭の火事のアニメーションで圧倒され、その後も写実的な町並みと田舎の風景が描かれていたので、おばあちゃんズの登場シーンはドキッとした。最初は「廊下の奥でうねうね動く謎の生き物たち」にしか見えず、「妖怪か!?」と思ったら「ババアじゃねーか!!」と。
- 一瞬、過去のジブリ作品に登場したおばあちゃんキャラをモチーフにしているのかと思って、「スーパージブリババア大戦か!?」と興奮するなど。そんなことはなかった。
- 実際、当初のおばあちゃんズは割と「奇妙な存在」として描かれているようにも見えて、でもそれは、眞人くん目線で不安と緊張を抱え続けていたがゆえの描き方なのかな、とも思ったり。
- しばらくするとおばあちゃんズの一人ひとりに個性と愛嬌があることがわかるし、愛らしく見えてくるから不思議。ババアかわいいよババア。
君生きバードくん! おまえ、そっち系か!!
- そういえば、ここまで、まったく「ファンタジー冒険活劇」の要素が感じらねえ!!(不可思議なおばあちゃんズの存在はあったものの)
- 主人公が抱える喪失と、新しい生活への変遷を、結構な時間をかけて描いていたこともあって、「ずっとこういう感じなのかしら……?」と、そろそろ怪訝に思い始めていた頃。
- そのタイミングで、“君生きバード”ことアオサギの異質さがどんどん明らかになっていくことで、徐々に「非現実」へと物語が転がっていく流れ、最高では??
- もちろん「時間かけすぎ〜〜〜!!」という声にも大きく頷くけれど、ここまで丁寧に描くことで、その後のキャラクター同時のやり取りや関係性に説得力が生まれていたような気もする。
- あとシンプルに、アオサギの変貌っぷりに笑った。最初は「ただの鳥じゃないな……?」くらいの温度感だったのが、魚を丸呑みにしたところで、「あっ、こいつ、妖怪とか“そっち系”だ!」とようやく気づく感じ。
- 段階を踏んでキャラクター造形が明かされていくことで、最初は「怪しい」とか「不気味」とか感じていたのに、その後のやり取りのギャップで「コミカル」なイメージによって上書きされ、最終的には「愛すべき相棒」になっているという。関係性オタクが嬉しくなっちゃうやつ〜〜〜!!!
ときめきジブリババアメモリアル
- アオサギの存在によって徐々に徐々に非現実へといざなわれ、洋館のシーンから異世界編に突入したところで、「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」とニヤニヤしながらテンションも急上昇。ジブリ、始まったな。
- アオサギといいペリカンといい、初見では「気味が悪いよ〜〜〜!!」と感じる存在(鳥類)が多かったため、ワラワラたちの癒やしキャラっぷりがすごい。
- 「白いマックロクロスケ」的な存在かと思ったら……思いのほか愛嬌ありますね君たちィ!!😊
- 異世界に迷い込んでからの展開は、それこそ『千と千尋の神隠し』と重ね合わせられそうではあるけれど、個人的には『星を追う子ども』を思い出していた。
- 「墓」というキーワードもあったし、黄泉の国に潜っていくような展開だったし、「ワラワラはこれから生まれる命」なんて話もあったし。
- パワフル姉御系ジブリヒロイン、キリコさんが何者なのか、言われるまで気づかなかった……!
- そしてそれを理解した次の瞬間、「ということはまさか、この世界で次々に出会う若かりし頃のおばあちゃんズを攻略していく展開になる……ってコト!?」と想像するも、そんなことはなかったぜ!! ときめきジブリババアメモリアル。
- ヒミちゃんの演技……! これはちょっと気になっちゃうタイプ……なのだけれど、終盤では「まあアリかもしれない」「ヒミちゃんかわいい」になっていました。これは正ヒロイン。
- そういえば、あいみょんの1stメジャーシングルは『生きていたんだよな』なんだよな……。
真打ち気味悪鳥類・セキセイインコ🦜
- 君生きバードくんが「相棒」としての存在感を増しつつあり、「ペリカンも大変なんだな……」と理解したタイミングで現れる、真打ち気味悪鳥類・セキセイインコ。こわっ!!!!!
- 後ろ手に包丁を持ってついてくるのは完全にホラーなんよ……。たすけてヒミさまーーー!! 今夜は焼き鳥よ〜〜〜!!
- セキセイインコたちがのさばり始めたあたりから、「全体の構造としては『千と千尋の神隠し』に近い作品なのかな」と思うようになる。「コミカルだけれど不気味」な感じもそうだし、わちゃわちゃしているコミカル描写が『千と千尋』のそれっぽかったので。そう、セキセイインコくんも含め、不気味だけどかわいいのだ。
- そして突如として現れる、インコ大王。
- なるほど……インコ大王……なんてたくましい鳩胸……。
- いや、インコ大王って何??
- 割と終盤まで「気味悪い」「怖い」の局地にいたインコ軍団が、大王とのやり取りによって「こいつらも愛嬌あるな?」になり、ご先祖様の姿を見て涙ながらに喋る姿を見て「インコかわいいな??」になる流れ……もしかして、恋……?(チュンク
- というか、大王に付き添っていたインコいいな〜〜〜!! あのインコ役で出演したいだけの人生だった……。
- インコ大王って何なの??
ハヤオーーーーーッ!!!!
- 終盤、大叔父様が語る「世界」と、それを主人公に「継がせたい」という語る展開を目の当たりにして、「これって……!?」と気づく。
- おい……ハヤオ……?
- からの、ダメ押しの「積み木」である。
- ハヤオ……おい! ハヤオォ!!!
- しかもそれが最終的には崩れちゃうのに(ってか、インコ大王が崩しちゃうんだ!?)、最後には感謝の言葉を述べながらフェードアウトするって……
- ハヤオーーーーーッッッ!!!!!
- あと、ラストのアオサギとの会話にもあったと思うけれど、「この世界での出来事は忘れてしまう」「全部覚えている必要はないんだ」「それでも何か残るものがあれば」みたいなメッセージもあって……ワイは……ワイはもう……
- ハヤオーーーーーッッッ!!!!!
- こんなん、後世に遺すメッセージじゃないですかやだーーーーーーー!!!!!
- ――とまあ、異世界を旅するファンタジー冒険活劇であり、紛れもないジブリ作品であり、喪失と再生を描いた王道の物語であり、さらには、ものづくりに励む人たちに向けたクリエイター讃歌でもあったのかなと。多分、何年後かに観たらまた別の感想を持ちそう。
- 本作を観て、何らかの「石」を持ち帰った人は多いんじゃないかしら。
- ありがとう……スタジオジブリ……ありがとう……宮崎駿……。
- ところで、次回作はいつになりますか??
追伸
- 作中のマイベスト台詞は「眞人がセキセイインコになっちまった〜〜〜!!(CV.木村拓哉)」です。