新入社員の皆様、いかがお過ごしでしょうか。
おそらくは入社してから日が浅いということもあり、まだあまり仕事や会社、その人間関係の「嫌な面」は見えていない人も多いかと思われます。たとえ嫌だと感じることがあったとしても、きっとそれは想定の範囲内のものなのではないでしょうか。
他方では、ニュースサイトで「仕事」の話題を見てみると、季節を問わず前向きな記事で溢れかえっている印象があります。仕事に対する心構えや考え方、上司との付き合い方、どのようにモチベーションを維持するかなど、意識高く「成功」を語ったページは少なくありません。
ですが、ここではあえて、「辞める」ことについての考え方を書いています。もちろん、入社してまだ数ヶ月という新入社員さんが考えるには、まだ早すぎる話題だとも思います。……余程のブラック企業に入ってしまったとか、とんでもないギャップを感じてしまった人以外は。
ですので、本記事では、すぐに「辞める」ことを勧めているわけではありません。日々の業務のなかで、仕事や企業に対して抱いた「違和感」についてどのように考え、処理していけばいいのか。そういった問題にについて、まとめた内容となっています。
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会社・仕事に抱く「疑問」と、その解消法
4月に入社。研修をこなし、仕事を覚えて、慣れてきた頃――半年後、年末くらいのタイミングで、おそらく最初の葛藤が生まれる人が多いんじゃないかと思います。
仕事に慣れてくると、自分の中に「気付き」あるいは「疑問」が浮かび上がってくる。それは、日常の業務の中での気付きだったり、そもそも働くことについての疑問だったり。
それらは最初は些細な「違和感」に過ぎないけれど、これが極限まで大きくなりすぎた結果に至るのが、退職という決断です。考えに考え抜いた先で、その結論にたどり着くのならばいいですが、一時の感情や思い込みで行動してしまうと、後で悔やむことになるかもしれません。
そんなことにならないためにも、会社や仕事に対して抱いた「違和感」には、慎重に対処することが必要となってくる。そうしたときの考え方について、自分なりに考えてみました。
違和感①:業務内容に関する疑問
「これはこうすればもっとうまくいくんじゃないか」とか、「どう考えても不効率なのに、どうしてこんな手法が続いているんだろう」とか。仕事に慣れてくると、結構、いろいろな考えが頭に浮かんでくるものです。
その思いが強くなりすぎると、「どうしてうちの上司は話を聞かないんだ」とか、「時代遅れすぎるだろ」などと、反抗的な感情も高まってくる。飲み会で語られる愚痴のひとつに過ぎない、という見方もありますが。
それらの多くには、何らかの理由がある。費用対効果を考えるとそれが最善だとか、それ以上に効果の見込める対案が存在しないだとか。新入社員の疑問なぞはありきたりなものに過ぎず、質問・提案したところで、それが真剣に考慮されることは少ないでしょう。
もし、その会社が若いベンチャー企業だったり、社員数が少ない職場でなら、話は別かもしれません。しかし、相応の規模を誇る企業においては、現状で「一応は」安定している手法や技術について、問題点や改善策を提起し、再度問い直すようなことは難しい。
新しい手法を試すには時間と費用が必要ですし、最終的にはそれを全社に適用することも考えれば、莫大なコストが不可欠。だから、コストカットをするのなら、まずは目先に見える人件費・販売管理費などの削減にかかる。少なくとも、自分の勤めていた企業はそうでした。
これらの疑問については、上司の説明で全く印象が異なってくると思います。「昔から続いている手法で、今までにいろいろ試してはみたけど、結局これに落ち着いたんだよー」と、そこそこスジの通った説明がいただければ、まだ納得できる。
最悪なのは、「余計な疑問は挟むんじゃねえ!考える暇があったら働け!結果を出してこい!」と押さえつけてくる上司です。彼にもいろいろと事情はあるんでしょうが、そんな強い口調で言われてしまっては、こちらも反感しか持てない。違和感は大きくなるばかり。危ない兆候ですね。
なので、そこはもう自分で自分を納得させるしかない。「みんなそうやっているのだから、きっとそういうものなんだろう」と。疑問は疑問のまま持っていつつも、とりあえずは周囲に従い、合わせる。
あるいは、自分なりにちょいと試してみるのもいいかもしれません。あまり逸脱し過ぎると、「また余計なこt(ry」と怒られるので注意が必要ですが。
ちなみに、最も簡単で確実なのは、「疑問」を持たないこと。会社の全てが正しいと信じて、歯車のひとつとして何も考えず、言われるがままに働くこと。つまり、「社畜」として立ち振る舞うこと、ですね。
違和感②:職場の人間関係についての疑問
慣れてくるとまた、目に見えてくるのが、職場の雰囲気と人間関係です。月末は全体的に殺気立って不機嫌な人が多いとか、極端に仲の良い間柄、仲の悪い関係性が自然と分かるようになってくるのではないでしょうか。
営業職などでは、月末や繁忙期に雰囲気が悪くなるのは仕方ないとも思います。だって、そういうものだから(諦め)。上司と部下、組織の上と下の板挟みになる中間管理職の辛さが外側からでもなんとなく分かってしまい、下っ端ながら軽く同情しておりました。
ただ、日頃の仕事の進捗状況や、個人のテンションとは別に、嫌な上司や先輩、人間関係は、どうしても生まれてきてしまうもので。あまり話さない関係ならばいいですが、直接的に関わりのある間柄だと、毎日ストレスが溜まる一方で大変です。辛い。
けれど、そういう場合でも、頻繁に入れ替わりのあるような部署であれば、短くて半年、1年などと、少し耐えればおさらば、ということもあるのではないでしょうか。自ら出した転属願いが通りやすい環境ならば、なお良いですね。
問題なのは、職場全体の空気が非常によろしくなかったり、職場そのものの空気が自分自身とは合わない職場だったりした場合。
そこそこ人数のいるコミュニティの空気を変えるなんて、そんじょそこらの人間には難しいし、「どう考えても無理!合わないし、合わせられない!」と感じてしまえば、そこはもう居心地の悪い空間でしかありません。冷静沈着真面目寡黙な人間が、「うぇーいwww」なんて言っている軽い集団に馴染むなぞ無理なのです。不可能とまでは言いませんが、難易度が高過ぎる。
そんな環境に置かれてしまった場合、選択肢は限られてきます。「こんな場所に居られるかい!」とすたこらさっさと逃げるか、ぎりぎりまで耐えて逃げるか、ひたすら耐え忍ぶか。
下っ端平社員一人の力で、職場の空気と環境を抜本的に変えるのは無理ゲーに近い。生まれ持った勇者の如くステータスを有していなければ、環境に潰されて終わりです。それが何とか耐えられるものであるのならいいとも思いますが――どうか、無理はなさらぬよう。
違和感③:「働くこと」に関する疑問
会社員として「働くこと」、その根幹について疑問を抱いてしまった場合。これは要注意です。自分が「働く」理由、その仕事を選んだ理由、そこで働き続けることの意味について悶々と考えるようになってしまったら、赤信号。
「あれ? どうして僕はこの仕事をしているんだっけ?」となったら、終わりが近いと言えるかもしれません。マジで退職する5秒前。……事実、僕自身がそうでした(筆者個人の経験については、こちらの記事からどうぞ→平成生まれの僕が新卒で入社してから辞めるまでの1年半)。
もし、その会社で働き続けること、その職種であり続けること、その意味や疑問、違和感を考えるようになってしまったら。そんな時は、その仕事を続けた先、5年後のことを想像し、「どこまで妥協できるか」を考えることをおすすめします。
例えば、以前の記事で「金・人・やりがいという3つの働く要素があり、働くに当たっては、どれかが満たされている必要がある」という旨の引用をしましたが、これはひとつの基準になると思います(参考リンク:仕事を辞めたいが「やりたいことのない」人に退職を勧めていいのか)。
すべてを満たす職場なんてのは、それこそ夢のようなもの。欲張りすぎるのも考えものなので、自分にとって重要な要素はどれで、重視しない要素はどれかを考える。それが現在の職場で満たされているのなら働き続ける理由になりますし、欠けているのなら、それが辞める理由になります。
それと、当たり前のことですが、未来を意識すること。その職場で働き続けた5年後、10年後を考えた上で、その未来に満足できるか否か。僕の場合は、これが退職を決断する決め手となりました。
もし、今の職場や職種には満足していなくとも、数年間続けることによって、希望の職場・職種に異動できる可能性があり、その未来がはっきりと見えるのならば、今は耐え忍ぶべきだと思います。逆に、明確な先の姿が見えないのなら、辞めてしまってもいいのではないでしょうか。
自身の現状と、仕事・会社に求めるものを整理、把握し、それに妥協できるか、できないか。未来の展望を想像し、自分の目指す場所に辿り着ける可能性があるか否か。
それらと、その職場で働き続けることのリスクを天秤にかけた上で、続けることに意義があると判断できるならば。たとえ今が辛くとも、耐えて突き進むべきだと、僕は思います。
思考停止は、社畜への第一歩
現代日本では、会社に我が身を捧げ、残業ばっちこーい! で馬車馬のように働き続ける人、もしくはそんな自分を「社畜」と呼んで、揶揄・自虐することがあります。が、そんな人たち全てが憐れむべき「社畜」であり、間違っているとは思いません。
「あかんこれ」と思うのは、先程も書いたように、会社にも仕事にも疑問を抱かず、言われるがままにケージの中の滑車で走り続けるような、文字通りの「社畜」。擦り切れるまで使い倒されて、心身を病んでぶっ倒れてしまっては、元も子もありません。
なので、大切なのは「思考停止」しないこと。自分なりの価値観と判断基準、視点を持って、疑問は疑問として考えようとする気概。ただし、その会社に属している以上は、その理念や考え方を共有し、協調することも、やはり重要なことだと思います。
何事もバランス、と言いますか、「考える社畜」であること。会社は会社、仕事は仕事。ある点については、「そういうもんなんだろう」と納得しつつも、「でもそれは本当に正しいんだろうか」と考え続けられる精神性。
そんな立ち回りがうまくできる人が、いい具合に職場に馴染み、自分を見失うことなく続けられることができるのではないかしら。
もちろん、無理は禁物です。たとえ体力的に大丈夫だという自覚があっても、気づかないうちに精神を病んでしまい、病院通いになってしまうようなケースも今や少なくありません。そうなってしまえば、結局は退職することになるでしょうし、求職活動と同時に病気も治さなければいけないという、あまり余裕のない状況に陥ってしまうこともありえます。
なればこそ、「あ、ちょっとヤバそう」と少しでも感じたのでしたら、自覚があるうちに辞めることを個人的にはおすすめしたく思います。……とはいえ、見ず知らずの僕の意見が正しいとも思えませんし、まずは身近な人に相談してみてはいかがでしょうか?
そうして、もし退職を決意したのでしたら――あとはもう、迷うことはありません。上司からどれだけ引き止められようが、何をされようが、ちゃっちゃと辞める準備を勧めましょう。
具体的な退職のタイミングとしては、一例として自分の考えを次の記事でまとめておりますので、よかったら参考にしてみてください(参考リンク:仕事を辞めるタイミングと、辞めた後を考える)。
自分の「強み」を知るために
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