――とかくオタクの部屋は物が多くなりがち。
普段からBlu-rayやグッズを買っているアニメオタクは言うに及ばず、年2回のコミックマーケットに行くタイプのオタクならば尚更。薄い本が積み上がり、CDは棚に詰め込まれ、部屋のスペースは日に日に減っていく一方。
そうやって部屋が圧迫され、やがて自分の空間がいっぱいの「好き」で満たされていく様子を見て、僕らは満足げな笑みを浮かべるのです。
とはいえ、自在に空間を拡張できるVRならばいざ知らず、リアルワールドには物理的な制約がある。
しかもそこは、ただでさえ世界的にも「狭い」と言われる日本の賃貸。限りある空間に隙間なく積み上げられた「夢」の数々が、もしも地震で崩れ落ちてきたら――。「それで逝くなら本望だ」と語るオタクもいるかもしれませんが、割とシャレにならないのではなかろうか。
だって僕らは、フィクションの主人公じゃない。
彼ら彼女らのように、異世界転生できるとは限らないのだから。