本書のメッセージを一言で要約すれば、「これからの社会には、あなたの〈ポジ出し〉が不可欠だ」、ということです。
(荻上チキ著『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』P.3より)
このような序文から始まる本、荻上チキ著『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』を読みました。
いつでもどこでも、誰かが何かにダメ出しをしていて、生きにくく感じることもある今日この頃。ネット上の過激な発言は言うに及ばず、駅前でもあれこれと声高に叫ぶ人がいる。いや、もちろんデモやスピーチは自由ですし必要な場合もあるとは思いますが、どうも言葉が強すぎて、聞くに耐えないんですよね……。
特に政治的な問題については、どこもかしこもセンセーショナルな発言ばかりが目立って、ダルい(って書くと、これも “ダメ出し” なのかもしれないけれど)。
「冷静に考えている人もいるよ!」「あんなのは一部だよ!」という指摘もわかるのだけれど、冷静で客観的で有益な情報にアクセスするには、過激で極端な主張を掻き分けて探さなければいけない現状がある。わざわざ不快な思いをしてまでそうしようという気持ちには、どうしてもなれないのです。
そんな自分にとって、本書の論調はしっくりくるものでした。
政治への関心が薄い自分でもすらすら読めるほどにわかりやすく、かつ知らなかった話が盛りだくさん。メディアの報道では興味を持てなかった政治の話も、俯瞰的な「システム」の側面から眺めてみると思いのほかおもしろい──。そう感じられたのは、大きな収穫だったように思います。