切なさと温かさが込み上げる、アンドロイドの少女の許されざる恋物語『甘えたい日はそばにいて。』

 ふと気になり、手に取ったマンガ『甘えたい日はそばにいて。』

 『まんがタイムきらら』で連載中の4コママンガであり、作者は『幸腹グラフィティ』の川井マコト@kwimkt05先生──という前情報しか知らなかったので、完全に油断していた。

 だって『きらら』と言えば、「ゆるふわ日常もの」の作風を持つマンガを多く掲載するコミック誌*1。しかも、おいしいごはんとあたたかな交流を描いた『幸腹グラフィティ』の作者さんの新作とくれば、同様の日常ものを想像してしまっても不思議じゃないように思う。

 ところがどっこい。
 いざ読みはじめてみると、思いのほかシリアス要素マシマシだったので驚いた。

 たしかに序盤は日常もの、ほんわか系お姉さんアンドロイドと無表情系男子高校生の生活を描く、ラブコメマンガではある……のだけれど。物語が進むにつれて高まる不安感は、想像すらしていなかったもの。「4コマでもこんな物語が描けるのか!」とドキドキさせられ、すっかり惹きこまれていたのでした。

 

 

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*1:『まんがタイムきららフォワード』掲載の一部作品などを除く。

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死後に“ロスタイム”があったら?死者に寄り添う少年少女の青春小説『時給三〇〇円の死神』

 死にゆく人の未練を晴らすべく奮闘する、少年少女のハートフルストーリー。
 ──そう聞くと、フィクションとしては別に珍しい設定でも何でもないように思う。

 その手の物語において主人公が関わるのは、何らかの未練や無念を残した幽霊=死者たち。ある人は家族や恋人を慮り、ある人は遣り残したことが気掛かりで、あの世へ旅立てずにいる。

 そして幸か不幸か、そんな幽霊の姿を見ることができてしまう主人公は、その未練を晴らすために奮闘する。たくさんの後悔や別れと向き合い、辛く悲しい思いを重ねながら、それでも最後には笑顔で旅立つ人々を見送り、自分も日常へと戻っていく──というのが、その手の作品でよく見るストーリー展開かしら。

 しかし、本作『時給三〇〇円の死神』で描かれるそれは、 “ハートフル” とは程遠いところにある。

 家族と仲違いしたまま、不慮の事故で死んだ学生。定職に就けず、家族も壊し、己の不甲斐なさと社会の理不尽を呪いながら死んだ中年男性。虐待を受け続け、殺されてなお母親を求める子供。夫から愛されず、産むことだけを求められ、使い捨てられたも同然の新婚生活を送る女性。

 思わず「救いはないんですか!?」と叫びたくなるほどにやるせない、絶望のただ中で亡くなった《死者》たち。死にゆくだけのそんな彼ら彼女らと向き合うのは、彼自身もまた、絶望と諦観を抱えて生きている高校生。金に困っていた彼がスカウトされたのは、 “死神” のアルバイトだった。

 時給300円という絶望的にブラックなアルバイトを始めることになった彼と、その同僚であり、クラスメイトでもある少女。少年少女を中心に据えたこの小説は、決して心温まるとは言えない《死者》との交流を通して、2人がひとつの「答え」にたどり着くまでの物語だ。

「この世にはね、死んだはずなのに死ななかったことにされた人たちがいるの」

(藤まる著『時給三〇〇円の死神』Kindle版 位置No.495より)

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大切な言葉は、いつも自分の中にある『あなたは「言葉」でできている』

 「名は体を表す」ではないけれど、「言葉遣いは人格を表す」と思っている*1

 言葉遣い=人格という、イコール関係にあるとまでは言いません。けれど、ある人が日常的に話す言葉、あるいはSNSなどで好んで使う表現は、その人の性格や価値観とそれなりに関係があるのではないかと思う。言葉遣いを見聞きすれば、その「人となり」がなんとなくわかる程度には。

 どのような相手に対して敬語を使うか。他人を褒めるときや批判するとき、どういった表現を用いるか。難解な表現で煙に巻こうとしていないか。意味の曖昧なマジックワードを多用していないか。流行語やスラングを好んで使っているか──。

 もっとわかりやすいところで言えば、口に出して感謝や謝罪をしているかどうか。ちょっとしたことにも「ありがとう」とお礼を言ったり、自分の非を認めて素直に「ごめんなさい」と謝ったり。些細なことではあるけれど、それを口にするかどうかで周りの心証が変わる、大切な一言だと言えるのではないかしら。

 

 

 今回読んだのは、そんな「言葉」の大切さについて取り上げた本。ひきたよしあき著『あなたは「言葉」でできている』。タイトルに惹かれてポチったのですが、想像以上に興味深く読めました。

 本書が紐解くのは、誰もが持っている「言葉の木」の育て方。日本語特有の曖昧さの説明に始まり、相手に興味を抱かせる言葉遣いや、文章の見せ方と作り方、そして相手に伝わる表現を身につける方法を紹介しています。以下、ざっくりと感想をまとめました。

 

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*1:参考:人格は書き言葉で変わる。 | 隠居系男子(ちょうど本書を読んでいるときに目に入ったので)

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【日記】ライブ後にお台場で夜景を眺めていたら右目が死んだ

 どもどもー。
 5日ほどインターネットから離れていた──もとい、離れざるを得なかった僕です。

 いやー、熱で寝込んでいてもTwitterはチェックできたのに、それすらできないとは我ながらびっくりじゃよー。それでも何とか生きていられるんだから、人間ってすごい。……そう、24時間以上にわたってネットを見なくても、意外と人は生きられるのだ!すっごーい!(目ぐるぐる)

 

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