4話、見ました!?*1
――あ、急にすみません。のっけから何をこいつは大文字で書いているのかといえば、アレです。アニメ『PUI PUI モルカー』の話です。
ちょうど2週間前にもこんな記事を書きましたが……いやー、いまだにハマっておりまして。飽きるような気配もなく、このまま最終回までモルカー熱を保ったまま楽しめそうな予感があります。ぷいぷい!
しかもそうやってドハマリしているのは、どうやら僕だけではない様子。
Twitterのタイムラインもいまだにモルカーネタで賑わっているあたり、本格的に流行しつつあるように感じる今日この頃。YouTubeで公開された4話は1日半で150万再生に届きそうな勢いで、公式Twitterも30万フォロワー達成間近。数々の人気シリーズの続編が放映中の今期アニメの中でも、めちゃくちゃ注目される作品となっています。ヤバい。すごい。
そんなわけで今回は、そんなアニメ『PUI PUI モルカー』の魅力について、改めて整理してみようと思いまして。個人的に好きなポイントを3つ挙げて、さっくりまとめてみました。
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① モルカーがかわいい!
まずは何と言っても、登場するモルカーがかわいい!
本作の1話は「渋滞」がテーマなのですが……その渋滞の様子が、まあかわいい! 羊毛フェルトで作られたふわふわのモルカーがいーっぱい並んで、ぷいぷいぷいぷい言っているその光景だけで、もう思わずにっこりしちゃいます。リアルに置き換えたらイライラしそうですけどね! なんたって、渋滞ですし。
1話で中心的な役割を果たすのが「ポテト」という名前のモルカーなのですが。この子がこれまたかわいい! 見た目の愛らしさは言わずもがな、短い時間でいろいろな表情を見せてくれます。
ちなみに、モルカーの声はすべて本物のモルモットの声を使っているらしく、Twitterでは「モルモットが声優を勤めるアニメ」としても話題になっていました。なんでも、監督さんが家で飼っているモルモットの声なのだとか。
あと、モルカーの中にはちゃんとリアルの「人間」が乗車……というか、乗モル? 乗モルカー? していて、劇中で運転する描写もあります。ただしモルカーはれっきとした生物であり、意思もあるので、たまに運転手の意図に反して勝手に動き出すこともあるようです。
さて、そんなモルカー世界において、渋滞の最後尾についたポテト。すると、その後ろから救急車……もとい“救急モルカー”が走ってきました。しかし、サイレンをぷいぷい鳴らしていた救急モルカーは、渋滞を見て途方に暮れてしまいます。
――早く患者さんを病院に送らなくちゃいけないのに、渋滞で先に進めない! どうしよう、どうしよう、と困り果ててしまったのか、ぷいぷい泣き出してしまう救急モルカー。その様子を見たポテトが救急モルカーの車内を覗き込むと、そこには目を閉じて横たわる患者さんと、心配そうに寄り添う人の姿がありました。
それを見たポテトは「こいつはてぇへんだ!どうにかしないと!」と決意したのか、自分の意思で動き出します。
救急モルカーを自分の上に乗せたかと思いきや、そのまま勢いよく渋滞の列にダッシュ! 前にずらーっと並んでいるモルカーたちの「上」を走らせる形で、渋滞をスキップして救急モルカーを病院へ送り出そうというわけです。天才か!? ポテトえらい! すごい! かわいい!
そんなモルカーの魅力と世界観が垣間見える1話ですが、こちらはバンダイチャンネルで常に無料公開中。気になった人は、ぜひ見てみてくださいな!
② モルモットの特徴と魅力を生かした作品作り
1話のテーマとなっている「渋滞」ですが、ただ単に「車」を「モルカー」に置き換えているわけではありません。そこには、モルモットの習性がモチーフとして取り入れられているそうなのです。
というのも、モルモットには列をつくって移動する習性があり、自分の前を走るモルモットがいると、その個体のおしりの臭いを頼りにして進むのだとか*2。ネットでもたびたび「モルモット渋滞」の動画が話題になっているので、見たことがある人も多いのではないでしょうか。
渋滞発生のメカニズム🚗🚙🚚🚕
— 市川市動植物園(公式) (@ichikawa_zoo) December 31, 2018
けっして前を行く者を煽ってはいけません🙅♂️年末年始、時間と気持ちに余裕をもってお出かけください🐹😅#市川市動植物園 #モルモット #渋滞 #煽り運転 pic.twitter.com/vdOihVxP5E
そんなモルモットの特徴は、2話でも生かされていたとの話。本作がSNSでじわじわと話題になった後、さらに大きくバズるきっかけとなったのが、この2話でした。
2話のタイトルは、「銀行強盗をつかまえろ!」。主人公は「シロモ」という臆病な性格のモルカーです。
運転手さんが買い物に行っているあいだに現れた銀行強盗に脅され、乗っ取られてしまったシロモ。銃を突きつけられて怯えるシロモが本当にかわいそうなんですよね……見ていて「泣かないで……」って声をかけたくなりました。
銀行強盗の逃走に使われ、自分の意思に反して街中を走らされるシロモ。駆けつけたパトカー、もとい“モルパトカー”もしくは“パトモルカー”とカーチェイスを繰り広げるも、強盗たちは狡猾でした。
追われていることに気づいた強盗は、シロモの窓からにんじんを投下! 後を追うモルパトカーの目の前に落ちるにんじん! そして案の定つられるモルパトカー! 食欲旺盛なモルパトカーがにんじんをもしゃもしゃしているあいだに、シロモに乗った強盗たちは見事に逃げおおせてしまいます。おのれ強盗……! なんて狡猾な……!
しかし次の瞬間、にんじんを食べ終えたモルパトカーたちは気づきます。強盗とシロモが走り去った道路の上に、何かが残されていることに。そこに落ちていたのは、バナナのような形になって固まった、札束でした。
そう、それは強盗たちが銀行で盗んで、シロモの後部座席に乗せたもの。強盗に乗っ取られてよっぽど怖かったのか、シロモは走りながら「うんち」をしてしまっていたのです! その札束うんちが手がかりとなったことで強盗たちはお縄となり、シロモは警察から勲章をもらうことになりました。
めでたしめでたし!
――とまあ、2話のあらすじをまるまる書いてしまいましたが、この「うんち」もモルモットの習性なのだとか。調べてみると、バナナ型のうんちをするのはオスらしいです*3。つまり、シロモは男の子……ってことですかね? 怖かっただろうに、よくがんばったね……えらいねぇ……無事に運転手さんのもとへ帰った後、勲章に気づいた運転手さんからいっぱいレタスをもらえていますように……。
そんなシロモの活躍は、バンダイチャンネルで配信中の『PUI PUI モルカー』第2話で見ることができます! ぜひチェックしてくれよな!
③ 魅力的な世界観と、広がる想像
3つめの魅力は、一口に言えば「世界観」。『PUI PUI モルカー』という作品の構造というか、根っことなるアイデアは非常にシンプルです。
それは、「車がモルモットだったら」という、もしもの世界。そもそも“モルカー”とは、言ってしまえば「車」と「モルモット」という2つの要素の掛け合わせに過ぎません。アイデア自体は非常にシンプルです。
また、既存の作品を探してみても、「意思を持った乗り物」が登場する作品自体はまったく珍しくありません。『きかんしゃトーマス』とか、ピクサーの『カーズ』とか。日本だと『超特急ヒカリアン』なんてのもありましたし、実在の生物との組み合わせでも、おなじみ『となりのトトロ』の猫バスがいます。
じゃあ、どうして“モルカー”がここまで注目されているのかといえば……多分、理由はいくつかあると思うんですよね。
「羊毛フェルトを使ったビジュアルがかわいいから」とか、「ハムスターほど身近ではないけれど、モルモット自体が魅力的な動物だから」とか。あとは先ほどもふれたように、「モルモットの習性を取り入れた作品づくりがおもしろいから」とか。
でも個人的に一番大きいと思っているのは、「もしも車がモルモットだったら」という根っこのアイデアです。この「もしも」自体がすごく魅力的というか、視聴者に対する問いかけのようになっていて、自然とあれこれ想像させられてしまうんですよね。
渋滞や割り込み、煽り運転など、イライラする車の出来事が数多く存在する世の中。
「もしも車がモルモットだったら…」
癒し系の車「モルカー」ならそんなストレス社会を打破することができるのではないかと思いました。
そしてもう一点、その「あれこれ想像させる」のに一役買っているポイントとして、実写の人間が「運転手」として登場する、という特徴も挙げられるんじゃないかなーと思います。
人間が出てくるとやっぱりリアルというか、通常のアニメーションとは違った生々しさを感じさせられるというか。ただし登場シーンはふわふわなモルカーの車内だけなので、極端に「生々しさ」を感じるほどではありません。でもそれでいて、「乗ってみたいなー」と思わせられる感覚もあります。
そのような実写の「人間」が劇中に登場することの影響は、他にもあります。それが、「子供向けアニメを見る際にはスルーしがちな『世界観』や『生態系』といった要素ついて、自然とあれこれ想像してしまう」という点。
免許制度はどうなっているんだろう、とか、ヒトとの関係性は基本的に良好なのかな、とか、モルカーの寿命はどの程度なんだろう、とか。実際、ネット上ではそのような『モルカー』の世界観を想像しながら書いた二次創作がかなり大盛りあがりしている現状があります。レーシングモルカーとか、霊柩車モルカーとか。
あとは二次創作といえば、「他の作品と組み合わせたパロディがしやすい」というのも無視できないポイント。
だって、「車」が登場する作品なんて、星の数ほどあるじゃないですか! 「あの作品世界の車がモルカーだったら」という一点だけで、見るからにかわいかったり、おかしかったりする絵面が想像できてしまうわけです。キャラクターをモルカー化してもいいし、戦車やロボをモルカー化してもいい。
はたらくモルカー pic.twitter.com/TiLL8SFYtN
— かみぞの (@kamizono144) 2021年1月11日
豆腐屋のモルカー pic.twitter.com/nTI5omJbTR
— 𝐴𝑣𝑒𝑛𝑡𝑎𝑑𝑜𝑟 (@aventador_770_4) 2021年1月11日
さらに、話の内容が結構リアルというか、現実の問題に即している点も、本作の「余白」としてあれこれ想像させる一因になっている。そんながします。
1話が渋滞で、2話は強盗。3話では「車内に置き去りにされた猫を助けなきゃ!」という話が繰り広げられて、4話はドライバーのポイ捨て。……これだけ聞くと、めちゃくちゃ社会派アニメっぽいですよね……。しかも基本的には人間が問題を起こして、モルカーたちが頑張って解決する展開。そりゃあTwitterでも、「これだから人間は……」「愚かなり人類……」なんてツッコまれるわけです。
いずれにせよ、大人も子供も関係なく、「この部分はどうなっているんだろう?」と視聴者にいろいろと想像させる「余白」がある。魅力的な世界観があり、見た人はその背景や物語に思いを馳せずにはいられない――。そのような点もまた、本作の魅力と言えるのではないでしょうか。
まとめ
そんなこんなで、改めて「アニメ『PUI PUI モルカー』はいいぞ」という話でした。
今や自分から検索しなくても、自然とタイムラインに二次創作が流れてくるくらいには本作が広まっている近頃。最近は「モルカー」に登場する個々のキャラクターにスポットを当てたファンアートやマンガも増えているようで、いろいろな人が描くモルカーの世界を楽しませてもらっております。
いやー、やっぱりシロモは人気ですよね……! 心優しい運転手さんとのやり取りを描いたマンガが多くて、シロモ好きとしてはニッコニコにならざるを得ない。先日も歯医者さんに行って、キュウイイイインチュイイイイインのあの音にガクガク震えつつも、「シロモもがんばってたもんな……」と心にモルカーを宿して耐え忍んでました。助かる。日々の癒しになってます。
あと、最後にネタばらしというか、この記事について。
本記事の内容は、『モルカー』についてPodcastで話す際に「台本」として準備した文章を、一部調整したものとなります。まったく同じ内容を話しているだけなのでアレですが……よかったら聞いてみてくださいな!
© 見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ
関連ページ
- 公式サイト:PUI PUI モルカー
- Twitter:@molcar_anime
- PUI PUI モルカー | バンダイチャンネル
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*1:第4話はこちらから見ましょう → https://www.youtube.com/watch?v=iBslS_SROww