ぐるりみち。

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映画『すみっコぐらし』を見に行ったオタク、優しい世界に包まれて泣く

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アツいツイートに導かれ、映画『すみっコぐらし』と出会う

映画『すみっコぐらし』PV

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』劇場予告 - YouTubeより

 映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』を観てきました。

 ──はい、そうです。いつものパターンです。ネットで話題になり、目に入った感想のいくつかが自分に刺さり、ノリと勢いで映画館へと向かった格好です。ミーハーですまない。

 でも仕方ないじゃん! あんなにも熱量の高い感想ツイート群を読んだら、観に行きたくもなるってもんですよ! 過去には「ガルパンはいいぞ」の一言で足を運んじゃったくらいですし。

 そう、オタクはちょろいのだ。でもちょろいがゆえに感極まりやすく、周囲におすすめしたくなるのです。だから、もし誇大表現っぽく感想を書いていたとしても、許してほしい。感極まったオタクは最大瞬間風速的に感情がぶっ壊れ、無駄に語彙能力が高まったり死んだりしやすいので。ガルパンはいいぞ。

 ぶっちゃけ僕自身も、此度のバズを目にした当初は、「オタク特有の大げさな比喩でしょ~?」なんて思っておりました。

 実際、ネタでなく本気で他の作品と比較しようとすれば、「それは言いすぎ」と真顔で答えることになるでしょう。でも、そもそもTwitterの呟きは一個人の感想。当人がそう感じたのならば、その実感は間違っていないと思うのです。僕個人の感想としても、「子供向け奈須きのこ……は言いすぎかな?」と思う一方、「実質『Fate/EXTRA』はだいたい合ってた」と感じたので。

映画『すみっコぐらし』新宿ピカデリー

 で、それはさておき、まずは事実だけを述べておきましょう。

 ネットの評判だけを見て、『すみっコぐらし』の知識はほとんどゼロの状態で映画館へと向かったアラサー男性こと僕は、この映画『すみっコぐらし』を劇場で観た結果、次のような反応を示しました。

  1. 愛らしいすみっコに癒やされ、
  2. 優しい世界で繰り広げられる冒険を楽しみ、
  3. 周りのお客さんと一緒に声に出して笑い、
  4. 思いもよらない展開の気配に心がざわついた後、
  5. やがてグランドエスケープの幻聴を耳にして、
  6. 最終的にはガチ泣きしてしまった

以上です。対戦ありがとうございました。

愛らしくも個性的な“すみっコ”たち

 ──という感じで終わりにしてしまってもいいのですが、まだまだ書き足りないのでもっと書くぞオラァ!

 すでにいくつかの記事でも書かれているように、「逆詐欺映画」や「泣ける作品」として話題になっている映画『すみっコぐらし』。恥ずかしながら僕は「どこかで見たことのある、子供向けのキャラクター」程度の認識しかなかったのですが、本作には独特な背景を持つキャラクターが多いんですよね。

 たとえば、寒がりの「しろくま」や、恥ずかしがり屋な「ねこ」はわかりやすい。実在する動物をゆるっとデフォルメした姿が愛らしく、その性格に共感する人も少なくない。彼ら(?)を含め、登場するキャラクターたちは等しく “すみっこ” が好きという共通点もあり、それを愛おしく感じる人も多いとか。

 ──わかるわ。僕も好き。

 しかし一方で、他の3匹はちょっと独特。緑色の体できゅうり好き、昔は頭に皿が乗っていたような気がする「ぺんぎん?」に、恐竜の生き残りであることを隠している「とかげ」。そして、切られたとんかつの一番端の一切れであり、油っぽいため食べ残された「とんかつ」。以上の5匹がメインキャラとなるそうな。

 ……え? なぜにとんかつ??(初見で二度見した)

映画『すみっコぐらし』とんかつ

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』劇場予告 - YouTubeより

 他にも「ふろしき」「えびふらいのしっぽ」「ざっそう」「にせつむり」などの “みにっコ” たちもいるのだけれど……そちらは割愛。とにかく、ただかわいいだけじゃない個性的なキャラクターがそろっているのが、この『すみっコぐらし』という作品の魅力のひとつと言えそうです。

 ちなみに映画では冒頭にキャラ紹介があるので、自分のように「ほとんど何も知らない」という人でも安心。「どういうキャラなんだw」と心の中で笑いつつ、かわいらしいキャラクターに自然と心惹かれ……気づいた頃には、すみっコワールドにすっかり馴染んでしまっているはずです。

“おはなし”が大好きだった、過去の少年少女にも

 さて、そんなすみっコたちが登場する映画の舞台となるのは、タイトルにもあるとおり「絵本」の世界

 ひょんなことから絵本の世界を訪れたすみっコたちは、物語の登場人物になってしまいます。その中で出会ったのが、迷子で記憶喪失の「ひよこ?」。すみっコたちはひよこ? のおうちを探すべく、『桃太郎』『人魚姫』『赤ずきん』『マッチ売りの少女』『アラビアンナイト』などの世界をめぐります。

映画『すみっコぐらし』ひよこ?

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』劇場予告 - YouTubeより

 絵本といえば、子供にとっては最も身近な “おはなし” 。見知った “おはなし” の世界を大好きなすみっコたちが冒険する姿は、『すみっコぐらし』が好きな少年少女にとって、とてもワクワクさせられるものなのではないかしら。

 そしてそれは、大人にとっても同じ。

 昔は少年少女だった大人にとっても、やっぱり絵本は身近な存在。それは、懐かしく、楽しく、何よりも優しかった、よく知る “おはなし” の世界。その世界をまるまる&ほんわかとしたすみっコたちが駆け抜けていく様子は、見ていてまっっっこと癒やされるものなんですよね。ついさっき出会ったばかりなのにね。

 絵本が必ずしも子供向けではないように、本作の “おはなし” は大人だって楽しめる。ネットの評判でハードルが上がってしまっている印象もあるものの、まずは純粋な気持ちですみっコたちの優しい世界に浸ってほしい。実際に映画を観てきた今は、そう思います。

でもやっぱり、全力で泣いた

映画『すみっコぐらし』ぺんぎん?とひよこ?

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』劇場予告 - YouTubeより

 それはそれとして、本作を観て何よりも心に響いたのは、やっぱり終盤の展開。それまではしばしば笑い声も響いていた館内が、一転して、すすり泣きで満たされることになったのです。

 ──いや、マジで。みんな泣いてた。
 おとなも、こどもも、おねーさんも。
 それと、オタク(僕)も。

 エンドロール後に客席を確認してみたかぎりでも、本当に幅広い世代の人が涙していた様子でした。

 親子連れはもちろん、若いカップルや老夫婦、仕事の合間に覗きに来たっぽいスーツ姿のおじさまに、自分と同じくネットの評判にホイホイされたらしい20代の男女も。中でも、「待って待って待ってそれは泣く」と小声で感情を爆発させていたお姉さんと、上映後のトイレで目を真っ赤にさせて顔を洗っていたおじさまの姿が印象的でした。

 ──どうして泣いたのかって? そりゃもう、感情移入しすぎて、ちょっとだけ苦しくなって……でも、すぐに優しさにふれて、すっごくあったかくなったから。BGMもよかったし。それとラスト、ナレーションをしていたイノッチの、やわらかな声色で発せられた最後の一言が、涙腺を完全に破壊した。ずるい。

映画『すみっコぐらし』スタッフ

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』劇場予告 - YouTubeより

 これ以上はネタバレになるので書きませんが、「観に行ってよかった!」と心の底から思える、本当に素敵な映画でした。観に行ってよかったし、映画をきっかけに『すみっコぐらし』という作品と出会えたことも嬉しい。絵本買います。グッズも欲しい。ぬいぐるみ……は、さすがに沼りそうなのと周囲の目が怖いのでやめておきます、はい。

 大きな話題になったことで、上映館の拡大も検討されているらしい映画『すみっコぐらし』。人気作品として客入りも多く、1人で足を運んでも浮くことはないと思うので、気になる人はぜひ観に行ってみてくださいな。

 ぼくも、すみっコ!

© 2019日本すみっコぐらし協会映画部 / 公式サイト

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