フリーランスにとって、「ポートフォリオ」は大切。
自分のことを知らない、でも何かのきっかけで興味を持ってくれた人に対して、自身の実績を簡潔に示すことのできるツール。クリエイターにとっては名刺代わりの存在であり、依頼につながるかもしれないページ。それゆえ、SNSとは別に専用のページを設けている人も少なくないのではないかしら。
ところがどっこい。
デザイナーやイラストレーターやプログラマーなどと異なり、僕らのようなライターにとって、ポートフォリオを作るのは少しハードルが高い。
なぜなら、成果物をポートフォリオにまとめるにしても、最低限のデザインスキルが必要になってくるから。文章は書ける、写真も撮れる、取材だってできる──でも「デザインはちょっと無理ぽ……」というライターさんも、結構いるんじゃないかと思うんですよね。
そこで、『foriio』でございます。
「すべてのクリエイターにポートフォリオを」と謳う『foriio』は、無料でポートフォリオを作れるサービス。
見やすいシンプルデザインと、誰でも簡単に使える点が魅力。そのお手軽さと言ったら、僕のようなデザインスキルが皆無の人間でも、あっという間にポートフォリオを作れてしまうほどでした。
というわけで、『foriio』を利用してみた感想を簡単にまとめました。
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「ポートフォリオ制作」の選択肢
そもそも、ポートフォリオ制作に使えるウェブサービスはいくつかあります。
Adobe Creative Cloudの加入者が利用できる『Adobe Portfolio』をはじめ、ホームページ作成ツールの『Wix』、イベントの告知ページとして見かける『Strikingly』に、もちろんおなじみの『WordPress』で構築してもOK。思いのほか選択肢は多い。
僕自身も『Tumblr』でポートフォリオを作っており、少し前からプロフィールページに掲載しておりました。
ただ、パッと見で「どのような実績があるか」がわかりにくいためか、あまり閲覧されていなかった様子。デザインの問題もあるとは思うものの、そもそもイラストや動画と違って、成果物としての「記事」は一覧として見てもらうのが難しい気もするんですよね……。
加えて、純粋に「更新が面倒」という問題も。
SNSに投稿するように、ただリンクを載せて終わり──というわけにはいきません。ポートフォリオ用のサムネイル画像を改めて選定し、内容を簡潔に説明する文章を考え、かつそれらを見やすく配置する──という作業が必要になってくる。それを毎度やるのは面倒で、自然と更新が滞ってしまっていた格好です。
簡単かつ痒いところに手が届く『foriio』
その点、じゃあ『foriio』はどうなのか。
実際にポートフォリオを作るべく触ってみると、これが想像以上に使いやすくて驚きました。
まず嬉しいのが、画像や動画以外に「ウェブページ」単位で作品を追加できること。
URLを入力すると、自動でサムネイル画像とページ情報を取得。自分で新しく説明を入力せずとも、10秒とかからず作品を追加することができます。これは、まっことありがたい。ちなみに画像については、pdf・psd・aiといったファイルにも対応しています。
もちろん、追加時に自分で編集することも可能です。
「ポートフォリオ」として一覧表示されることを考慮して、タイトルは端的に内容を示したものに変更したほうがいいかもしれませんね。「○○の取材」とか「××への寄稿」とか。あるいは実績を強調するべく、PV数やシェア数を記載するのもありかと。
そうしてできたポートフォリオが、こちらになります。
追加した「作品」はドラッグ&ドロップで自由に並び替えることができる点も、地味ながらありがたいポイント。時系列順に並べるも良し、特に見てもらいたい作品を上に並べるも良し、それとなくジャンル別に順番を考えるも良し。見せ方は自由です。
作品の個別ページはこんな感じ。
説明文はもっと詳しく書くこともできますし、同じ作品に携わった人を一緒にクレジットすることも可能。また「制作ノート」として、作品に込めた思いや制作過程を記載するスペースもあります。ほかの人のページを見ると、このノートを「インタビュー記事」として利用しているケースもありました。
多方面で活躍するクリエイターにおすすめ
『foriio』を利用している人をTwitterで検索してみると、近頃はVR方面での利用者が増えつつある模様。
と同時に、特定の分野に限定されない、マルチに活躍している人も多いようにも感じられました。「作曲のほかに記事も書く」「シナリオを書けば3DCGも作る」「同人CDを作るしデザインもする」といったクリエイターさんが見受けられますね。
foriioっちゅー自分のポートフォリオを作れるサイトでサクッと自分が今まで関わってきた案件やらをまとめてみたんだけど、この1年間の頑張りが視覚化されて号泣してしまったhttps://t.co/shY2g3qC4A pic.twitter.com/GX1MKG5tEO
— じーえふ (@grapefruit_uhr) 2018年10月10日
ポートフォリオを作ってみました。思い出し次第追記していく予定。 https://t.co/WVGuEOo6IG @foriio_officialさんから pic.twitter.com/EjCGuwp5bZ
— 届木ウカ (@todoki_uka) 2018年10月11日
foriio早速登録してみた。
— クレウス@VRChat (@kleus_balut) 2018年10月10日
これは自分も携わった案件やプロジェクトが可視化出来て良い。https://t.co/BY1ZAId9i2 pic.twitter.com/jVzh0uwbVs
そのような複数ジャンルの作品・案件を一括して(簡単に)まとめられる点も、『foriio』の魅力のひとつと言えそう。それこそ、寄稿・出版・取材・イベント企画など、多方面に活動しているブロガーさんなどにもおすすめできそうです。
周囲に示せる「作品」は信頼につながる
話は逸れますが、「実績が不明瞭なまま講師業(サロン)で稼いでいるライター(ブロガー)増えすぎ問題」が顕在化しつつあるように感じられる今日この頃。
自分の観測範囲に限った話かもしれませんし、実際にはそんな人ばかりではないと思います。ただ、具体的な記事やサイトも示さずに「方法」を売っている人は少なからず見受けられますし、なかには胡散臭く感じる人もいるんですよね……。
知識や技術を持っている人が、それを共有してくれるのはありがたい。けれど、「数字」を声高に叫ぶばかりで具体的な「成果物」を示していない人については、疑ってかかる必要があるのではないかと。「○円稼いだ」「○PV達成した」と話していても、それが真っ当な手段で得たものであるかは怪しい。
もちろん、「実績」としての「数字」は評価されて然るべきです。ただ、そこで実体のある「成果物」=「作品」が一緒に示されていなければ、数字の多寡は何の意味も持ちません。「サイト運営でこれだけ稼いだ!」と話していても、それが悪質な広告・手法を用いたものである可能性は否定できないので。
そういった “胡散臭さ” と距離を置くという意味でも、「自分は何をやっている人なのか」を示せるポートフォリオの存在は有用です。自分のようなライターはもちろん、フォトグラファーさんやイラストレーターさんにもおすすめできるかと思いますので、よかったら試しに使ってみてくださいな。
関連ページ
- foriio ポートフォリオ作成サービス (@foriio_official) | Twitter
- デザイナー以外のクリエイター向けポートフォリオサービス「foriio」を作りました。 – Hirohito Yamada – Medium