ぐるりみち。

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映画『若おかみは小学生!』を観た結果、トイレの個室で号泣した

ここ数年、特に「映画」については、人のおすすめを素直に聞くようにしている。

 

「ガルパンはいいぞ」と聞いて劇場へ足を運び、3回観た。
「王を称えよ」と囁かれて映画館へと赴き、絶叫上映で燃え尽きた。
「カメ止めがヤバい」と小耳に挟んで行列に並び、抱腹絶倒した。

 

もともと映画を観る習慣のなかった自分が、今や映画館の有料会員。多くても年2回程度だった映画鑑賞が、気づけば月2回くらいのペースになっていた。

それもこれも全部、立川シネマシティのせいだ。きっかけは、2015年上映の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。その極上爆音上映に魅了されて以来、すっかりシネマシティで映画を観るのが習慣になってしまったのです。

そんなシネマシティでは現在、『リズと青い鳥』の極上音響上映が上映中。ほぼ間違いなく今年のマイベストになるであろう作品、その待ちに待った「極音」版ということで、今週はそれを観に行こうか──3回くらい──と思っていたのだけれど。

 

──そんな折に、また聞こえてきたわけです。
先週くらいから徐々に声が大きくなりつつあった、 “人のおすすめ” が。

 

 

プリキュアブログのkasumiさんと、今井先生が言うなら間違いあるまいと。それも「テレビシリーズを観ていなくてもOK」とくれば、もはや迷う理由はございませぬ。

というわけで、公式サイトであらすじを確認することもなく、ほかにもレビューを読んで事前知識を仕入れるでもなく、ノリと勢いでもって映画館へと足を伸ばしてきました。シネマシティは満席だったので、T・ジョイSEIBU大泉へ。ファーストデイでよかった。

そして、上映終了直後のツイートがこちらとなります。

 

 

……やべえな、こいつ(あとで我に返った)

でも大丈夫。「泣いていいのは、おトイレか、パパの胸の中」だって早苗さんも言ってたから、きっと許してもらえるはず*1。泣いていたのがアラサーのオッサンでも。たぶん。

 

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「原作は児童文学」のファミリー映画

今年4月からはアニメも放送されており、たびたび小耳には挟んでいた本作。

とはいえ、自分は「原作は子供向けの小説」程度の知識しか持っておらず、テレビシリーズも観ていなかった。なんとなく「NHKで放送してそう」だと思っていたら、実際にはテレビ東京系列、しかも制作がマッドハウスと聞いて、「イメージと違った……!」と驚いたくらい。マジで何も知らなかった。

それゆえに、本作の原作が講談社・青い鳥文庫の人気シリーズであることを知ったのは、上映中のこと。言われてみると、表紙を書店で見たことがあるような……ないような……。

青い鳥文庫と言えば、個人的には『パソコン通信探偵団事件ノート』(『パスワード』シリーズ)が大好きで、何度も読み返していた記憶がある。なので、書店の同じ棚にあるはずの本作も知らないはずはないのだけれど……と思って帰宅後に調べてみたら、『若おかみは小学生!』の刊行は2003年から。アラサーの自分とは微妙に世代が違うっぽい。納得。

そんな子供向けの作品であり、ファミリー映画としての劇場版だけあって、ファーストデイの映画館は親子連ればかり。

四方八方をちびっ子&パパママに囲まれている状態に居心地の悪さを感じる……かと思えば、意外とそうでもなかった。1人で観に来ている “大人” の姿はほかにも散見されたし、上映が始まってしまえば、どこか懐かしい映像とストーリー展開を楽しんでいる自分がいた。時折入るちびっ子のツッコミにもにっこり。

ところがどっこい。

その一方では、思いのほか直接的な交通事故のシーンやトラウマの描写があって、びっくり。個性的なキャラクターがいて、幽霊もいて、全体としては笑って楽しめる「お仕事コメディ」な雰囲気ではあるものの、それゆえに際立つ「現実」があった。

はっきりと分かれた明暗が作中で印象付けられ、そんななかでも明るくひたむきに頑張る主人公・おっこに感情移入させられ、気がつけば、想像していた以上に映画に夢中になっている自分がいた。──その結果、柄にもなく号泣してしまった格好です。

いやー、ほんまのマジ泣き、我ながらドン引きするくらいの泣きっぷりでござった。だって、時間が経って落ち着いた今ですら、予告編の泣き顔を見るだけで泣けてくるもん。おっこちゃん……なかないで……僕が代わりに泣くから……おじさんが泣くところ見てて……。

 

「感動の涙」よりも強度のある「過度な感情移入による号泣」

終盤はもういろいろ耐えられなくなって、堰を切ったようにだばーっと涙を垂れ流していたわけですが(嗚咽は漏らさない。大人だから。頑張って耐えた僕を褒めてほしい)。後になって考えてみると、自分としては珍しい「泣き方」をしていた気もするんですよね。

たとえば『CLANNAD』の家族愛に泣かされるような純粋な「感動」ではなく、『リズと青い鳥』の冒頭&ラスト5分間の「関係性」や「演出」に泣かされるものでもない。ネガティブ──とも言い切れないけれど、ポジティブな感情の高ぶりとしての「泣き」とは違ったものだった気がする。

もちろん『若おかみは小学生!』も、ラストはポジティブな意味で泣いた。悲しい別れでもあるけれど、未来への第一歩でもある、眩しくきらびやかなシーン。エンドロールでも涙だばばばーっ状態だったし、それは間違いなく「よかった……よかった……」という感動の涙だった。

映画『若おかみは小学生!』場面画像・日常シーン

日常シーンはとにかく楽しい(『若おかみは小学生!』本予告 - YouTubeより)

でも一方で、その少し前の涙は、ただただ「苦しい」ものだった。

突如として襲いかかる現実の生々しさと、その理不尽さ。それを支えようとする周囲の人が力になってあげられないもどかしさと、その問題をどう足掻いても解決できないというやるせなさ。

それまでのエピソードの積み重ねもあり、すっかりおっこに感情移入しきっていた自分はそのシーンを痛く感じるほどに胸を打たれ、かろうじて俯瞰的に観ることができていた部分でも「小学生にはつらすぎる……」という点で共感しきってしまい──なんかもう、どうしようもなく感情が高ぶって泣いてしまった。

映画を観てあんなにも辛く、苦しく、理不尽に感じられたことはそうそうないし、それによって「泣く」レベルまでいったのは、もしかしたら初めてだったかもしれない。

映画『若おかみは小学生!』場面画像・おっこ

『若おかみは小学生!』本予告 - YouTubeより

そう、一口に言えば、とにもかくにも「理不尽」なんですよね。

プリキュアブログのkasumiさんも書いておられるように、本作には「悪人」がいない。絶対的で明確な「悪」はおらず、そこにあるのは「現実」だけ。たまたま不幸な出来事が積み重なっただけで、誰が悪いというわけでもない。でも、それによって生まれた悲しみや苦しみがあり、それが「現実」である以上は向き合わなければならない。それが、殊更につらい。

しかも、そんな残酷な現実と向かい合うには、小学生は幼すぎる。これが “大人” の物語であればうまく落とし所を見つけて丸く収めるのでしょうが、本作で理不尽に直面するのは、年端もいかない女の子。そんなん、悲しすぎるやん……つらすぎるやん……と強く強く共感してしまった結果、おっこちゃんに釣られるように号泣してしまったわけです。

映画『若おかみは小学生!』場面画像・感動

『若おかみは小学生!』本予告 - YouTubeより

それでも……いや、そんな経緯があったからこそ、最後には晴れ晴れとした「感動」で終わることができて、心底からホッとした。

ホッとして、エンドロールでまた泣いて、劇場内が明るくなるまでになんとか涙を引っ込めて、でも充血した目のままトイレに駆け込んで、個室でしばらく存分に泣いた。泣いていいのは、おトイレ……。うん……そうだ……ぼくもいっぱいないたら、あしたからがんばろう……。

 

アニメーションの楽しさと、子供あるある

──とまあそんなこんなで、「事前知識なしで映画『若おかみは小学生!』を観に行ったら号泣した」という、いち観客の感想でした。

「アニメーションがすごい!」という部分については数多くのレビュー記事で触れられていますし、知識のない僕があれこれ書くのは野暮ってもんでしょう。ただ、それでも観ていて「楽しい!」と感じられたのは間違いなく、細かな表情の変化からキャラクターの心中を想像するような場面もありました。それで余計に共感したのかも。

映画『若おかみは小学生!』場面画像・雑巾がけ

『若おかみは小学生!』TVCM② - YouTubeより

同時におもしろかったのが、そういった個々の動作に対する “子供” 目線のツッコミ

オッサン目線では、学校帰りに巾着袋を上に投げているのを見て「あー、やってたわー」などと懐かしく見ていた自分。しかし、近くの席でスクリーンを見上げる少年少女たちの声を聞いていると、彼ら彼女らの琴線に触れたのは違うシーンだった様子。

たとえば、オッサン目線では当たり前──というかアニメやマンガではありがちな「雑巾がけ」のシーンで、隣の女の子がしきりに「すっごい……!」と歓声を上げていたのが印象的でした。そうか……アレは「すっごい」動きなのか……! という気づきを得た。でもたしかに、学校の掃除の時間、途中で面倒になって足で雑巾をかける男子が多かったなかで、両手ですばやく何度も行き来できる子は羨望の眼差しを浴びていたような記憶もあるようなないような……。

何はともあれ、上映中の今こそ推しておきたい映画『若おかみは小学生!』

(一応は)子供向けのファミリー映画ということで、もしかしたら人を選ぶ部分はあるかもしれません。ですが、老若男女を問わず楽しめる作品であるように感じました。

実際に「家族」以外で席に座っていた人を見ても、自分のような20〜30代くらいの男女もいれば、もう少し上の40〜50代くらいの世代でも、1人で来ている人がちらほらと見受けられたくらいなので。さほど居心地の悪さは感じないかと思いますので、気になっている方はぜひぜひ。

 

© 令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会

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