家に帰ってきたら、知らない女子大生(!)の名前が書かれた封筒が届いていた。「ラブレターかな?」と思って開いてみたら、「就職活動……貴社の仕事……お話を伺いたく……」――あ、これ、OB訪問だ!
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2015, 2月 5
まさかまさかの想定外。よもやこの身にOB訪問の依頼が来ようとは。
自分が就職活動をしていたときは、「え? OB訪問? うん! ダルい!」と一蹴していたのに、いざご指名がかかるとドッキドキだよ! そう、こちらもドッキドキだから、学生さんは遠慮なく、ばしばしOB訪問すれば良いと思う。
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手紙からメール、そしてOB訪問
見知らぬ大学生から手書きの手紙が配達されてきて、最初は面食らったものの、開いてみれば単なるOB訪問の依頼。「貴社への応募を検討しており〜」との文面で、よろしい、ならば訪問されてやろうじゃないか!
……と普通ならそんな場面なのでしょうが。
ごめんよ……もうその会社はとっくに退職してしまっているのだよ……。 というかこれ、もしかして、ちゃんと大学に現在の勤め先(※自宅)を知らせておいた方が良いのかしら。
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2015, 2月 5
そう、僕は早期退職者。
入社後ちょうど1年半で退職し、それからちょうど1年半が経った現在。アイムソーリーヒゲソーリー。私はきっと、あなたの役に立つことはできないの……。
手紙には「メールでご連絡いただければ〜」と書かれていたので、下記のような文面でざっくりと返信することにしました。
さて、OB訪問の件なのですが、実は私、1年半ほど前に、
前職である株式会社◯◯の営業職を退職しております。在籍期間も1年半程度という短さなので、お話できる内容としましては、
「早期退職者」の視点からのものになってしまうかと思います。(中略)
OB名簿からのご連絡、とのことなので、「仕事内容の詳細」や
「会社の雰囲気」に関して知りたい、ということでしたら、
勤務年数の長い、他の卒業生からお話を聞いた方が良いかもしれません。(正直に申しまして、ほとんどを「営業所」という狭い空間で
過ごしていたので、会社全体のお話はあまりできないかと……)ただ、もし「早期退職者」という変わり者の視点からも
◯◯という会社のことを知りたいのでしたら、喜んでお話いたします。
するとすぐに返信がかえってきて、「あんたと顔合わせてどつきあいたいんや!(※意訳)」とのこと。おう、マジか。やる気満々ですごい。こわい。見習いたい。
こちらとしても、現在お仕事をいただいているメディアのターゲット層と「女子大学生」が重なっていることもあり、実はありがたいお話だったり。サークルの後輩ちゃんとはたびたび会っているけれど、いつも固定されたメンバーだと真新しい情報は得にくいから……。
というわけで、大学近くの喫茶店にてお話してきました。いくつかお店の候補を示したうえで、「スタバでいっすよー」とのことだったので、そちらで。ちょうどクーポン券があったので、それを使ってご馳走することができました。ありがとうスターバックス。
自分が「何を知りたいのかを知る」のは難しい
会ってきた学生さんは、第一印象からも、話しぶりからしても、とても真面目で誠実そうなイメージを持つことのできる方でした。しっかりスーツで来るとは……やりおる! ――と思ったら、「この後バイトなんですよー」とのこと。おうふ。
とても話しやすい雰囲気で、聞かれたことにはだいたい答えられるあたり、しっかりと準備をしてきたことが窺えます。自分からは、おそらく合同説明会やセミナーでは取り上げないような別視点の話として、それっぽいアドバイスもできたと思う。
話の中で感じたのは、「就職活動開始前は志望企業が決めづらく、方向性があやふやになりがち」ということ。
メディアや大学は「就活はじまっぞ! 準備しろ! おらおら!」と急かしてくるけれど、急にそんなことを言われましても……ねぇ? そりゃあ学生からしたら「お、おう……」「何をすればええのん?」となってもおかしくないと思うのです。
今回連絡をくださった学生さんの場合、
- 大学の先輩や兄弟から話を聞く
- 説明会に行く
- ざっくりと志望業界を決める
- OB訪問で実際の仕事の話を聞く
- 3月からのエントリーに挑む
という流れで準備を進めているようでした。正直に言って、就活をしていた当時の自分と比べれば明らかに能力的にもバイタリティ的にも優れております。絶対に勝てない。……なので、自分は偉そうなことを言える立場にはないのですが。
それでもやはり、まだ就職活動が本格的に始まる前ということもあってか、なんとなく決めかねているような印象も強く受けました。方向性はなんとなく見えているんだけど、それも正しいかわからず、ともすれば「何を知りたいのかわからない」状態。逆に、既に志望業界も企業研究も何もかも決まって終わっていて、「あとは選考だけだ!」だったら怖いけど。
どうしてその業界を志望するのか。なぜその企業に心惹かれるのか。将来的にはどのようにキャリアを進めていきたいのか。――そもそも、何のために就職活動をするのか。
それを全部考えるなんて無理だし、学生時代から意識することが難しいものだってある。それらの「どうして」や「知りたいこと」は、きっと、就職活動を続ける中で見えてくるものなんじゃないかと。実際、僕も就活の過程で知ることのできた自分の興味関心があったり、その中で徐々に方向性を形にしていったような記憶があるので。
……でもそう考えると、少なくとも「新卒一括採用」の形態による就活をどんどん前倒しにしている現状は、かえって学生の「選択肢」を狭めているようにも見えなくないんじゃ……なんてことも考えたけれど、その辺は今が変化期なのかにゃー。
彼女の話によれば、早い企業は既に少人数制のインターンシップを募集・実施して、優秀な学生を先に選抜し、内定を与えているらしい。現時点ではある種の「囲い込み」にも見えるけれど、その形の「就活」が広まれば、新卒一括採用とはまた別の流れになるのかもしれない。企業と学生のマッチングという面では、そちらの方が親和性は高そう。うーむ?
お互いの「言葉」を引き出したい間柄
OB訪問をする側の学生と、される側のOBの関係性を考えると、お互いに考えるべきは相手の「言葉」を引き出すことなんじゃないかと、今回、話をして思いました。
学生側からすれば、ネットや口コミからでは得られない、その企業のナマの情報や体験談を聞き出したい。けれど、具体的に深いところまでツッコんで聞くには、自分の「知りたいこと」がまだよくわかっていない。特に、就活本番開始前には。
OB側からすれば、自分の企業の良いところを知って欲しい。学生がイメージしやすくなるような情報をわかりやすく提示することで、願わくば自分たちの企業に応募して欲しい。……「うち やばいから やめとけ」なんて人もいるかもしれませんが。
今回、OB訪問をされて感じたのは、「目的を持って来ているにも関わらず、その『知りたいこと』が不明確な人を相手に話すのって、難しい」ということ。相手が何かを知りたそうにしているのはわかるんだけど、本人もそれをうまく言葉にできないような状態。下手をすれば、こちらが話すだけ話して終わり、ということにもなりかねない。それでは、もったいない。
そう考えると、OB訪問される側の、OBの役割としては、自分の企業の魅力を存分に語るというよりは、「学生の知りたいことを引き出す」ことに重きを置いた方が良いんじゃないかと、今回思った。OBが訪問の依頼を了承するのは、大学の後輩の就職活動を応援してのことだろうし、それならやっぱり、相手には話の中で何かを得て、持ち帰って欲しい。
自分は既に退職した身であることから、「企業の情報」に関しては、中立的に話すことができたと思う。酷い部分も知ってしまったけれど、在職中の楽しさや仕事の魅力はまだ覚えているので、その両面から。
ただ、「就活生の応援」という視点で考えると、もうちょっと身のある話ができたんじゃないか、学生さんの「知りたいこと」を引き出せたんじゃないかと、軽く後悔。自分は就活を経験しているから、と軽い気持ちで話しに行ったは良いけれど、立場が変われば視点も変わる。適切なアドバイスをすることの難しさを思い知りました。
何はともあれ、来月からの就職活動、がんばってください!
あと関係ないけど、数年ぶりに「便箋の手紙」をもらって嬉しくなった。やっぱり手書きは良いものだ。
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2015, 2月 5