本記事では、2014年発売のおすすめ本をまとめてご紹介しています。
ジャンルは無関係に10冊。ビジネス書、エッセイ、ライトノベル、漫画など、いろいろと交ざっています。残念ながら、一般文芸は読めていないので……。
また、あらすじの引用と自分が読んだ感想の他に、本のボリュームを【長】【中】【短】の3段階で分けてみました。自分なりの勝手な基準ですが、よかったら参考にしてください。
※2018年版はこちら!
“ありのまま”の自分に気づく【長】
他者からの「承認」 に一喜一憂せず、善でも悪でもなければ何者でもない、ただの自分、“ありのまま”の自分を受容しようという内容です。
常に中立的な立ち位置に自分を据えて、「良い」も「悪い」も、「こうなりたい」も「ああするべき」も全部、その感情があることに気づき、受け止め、見届けるだけ。辛い時、苦しい時の、「考え方」の処方箋として。
安らかな気持ちで過ごすことが、なぜこんなに難しくなったのでしょうか。なぜこんなに不安にさせるのでしょうか。それは、周囲からの「承認」を求めすぎるからなのです。自分の弱さを素直に受け入れられないために、孤独感や渇愛が増してくるのです。いちばん大切なのは「ありのままを受容すること」。心に余裕を持って生きるには、どうすればいいのか。仏教の経典や他の諸分野の書物をもとに、現代を生きる私たちが陥りがちな様々な心の問題を克服していく術を伝えていきます。
究極の自己肯定は肯定も否定もせず『“ありのまま”の自分に気づく』こと
初音ミクはなぜ世界を変えたのか?【長】
「サード・サマー・オブ・ラブ」「遊び場」の2つをキーワードに、音楽史における「初音ミク」の存在と、単なるブームで終わらず、新世代のひとつのカルチャーとして存在感を高めるにまで至った理由を紐解いた内容。
初音ミクの「これまで」を整理し、そして「これから」を考えるにあたって、本書は大きな力となるものだと思います。 彼女のファンの1人として、その現象の最中、わくわくさせられてきた受け手として、これからも、ボーカロイド文化を追いかけて行こうと、そうしたいと思える一冊でした。
新しい文化が生まれる場所の真ん中には、インターネットと音楽があった。2007年、初音ミクの誕生と共に始まった三度目の「サマー・オブ・ラブ」とは。
『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』“ハジメテノオト”はまだ奏でられたばかり
ネトウヨ化する日本【長】
まだ読み進めている途中ですが、切り口がおもしろい。日本人の「冷静さ」を失わせるメディアとしてのネットの存在によって、その時々の感情や流れのままに行動する、「新中間大衆」が現れてきた、という言説。
メディアリテラシー、物語性、そして後半は『カゲロウプロジェクト』などの具体的な作品群を挙げて、それらの構造から、広く「ネット民」を論じる内容になっています。
アニメ、2ちゃんねる、ニコニコ動画などで日々行われる「日常化した祝祭」への欲望は、過激な「ネット右翼」という反転した姿として浮かび上がる――。気鋭の若手批評家による時代評論!
ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す これからのソーシャルメディア航海術【中】
「初心忘るべからず」ではありませんが、本書は「ソーシャルメディアの使い方」に関して、改めて見直し、確認をすることができる内容となっています。
プロローグと巻末の付録を除けば、一冊を通してQ&A方式の構成になっており、項目ごとに非常に読みやすい仕様となっているのも、ありがたい点。ソーシャルメディアが当たり前のものとなっている今、改めてネットリテラシーを考えるべき段階に来ているのかもしれない。
テレビ、新聞を無条件に盲信したり揶揄したりしていないだろうか。ツイッター、フェイスブックが内輪の掲示板と化していないだろうか。マスメディア、ネットニュース、ソーシャルネットワーク―無数に分岐したメディアの川からは、大量のゴミが情報の海へと流される。濁った水の底に沈む貴重な知や人脈をみごとに拾い出すには、成熟した受け手にして突出した発信者にならなければ…。テレビにラジオにネット放送にツイッター、7つの海を股にかける著者独自の方法。
情報とうまく付き合っていくために『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す』
その言葉だと何も言っていないのと同じです!【中】
社会に蔓延る「マジックワード」に対して、ひとつひとつ突っ込んでいくだけの内容かと思いきや、その言葉に含蓄された意味や本質、マジックワードに対する対処法、考え方など、非常に濃い一冊でした。
後半は特に「論理的な思考法」に焦点が当てられており、どちらかと言えば、サブタイトルである「『自分の考え』を論理的に伝える技術」の方がメインコンテンツであるような読後感。気付きが多く、繰り返し読み返したい良書です。
「1人ひとりができることをする」「悩ましい問題である」「意識改革をすべき」「組織一丸となって」「もっと向き合え」「断固たる決意で臨む」
会議、プレゼン、論文・レポート…思考停止のマジック・ワードを使っていませんか?「主張」とは、「理由」+「例示・データ」+「結論」の3点セット。
“マジックワード”とは?その正体を紐解く本『その言葉だと何も言っていないのと同じです!』
人生はふんどし1枚で変えられる【短】
日本ふんどし協会会長、中川ケイジさんによるエッセイ。うつ病を経て「ふんどし」と出会い、全国に普及するべく活動する、情熱に溢れた一冊。奥様や周囲の人との関係性を描きながら、試行錯誤していく様子が描かれてます。
ただ、「ふんどし」そのものに関する話題が思ったよりも少なく、物足りなさは否めませんでした。
人生は何度でもやりなおせる!大卒で美容師になったあと、コンサル会社に転職するも、営業成績が悪く思い悩みウツ病になった37歳が、「ふんどし」に出会い独立起業! 復活するまでの物語。たった一人、資本金30万円ではじめた「ふんどし」ビジネス。パンツを捨ててふんどしに賭けた男の生き様と、それをあたたかく応援する妻の姿勢に涙が止まらない……。今ちまたで話題の「ふんどし」ブームの仕掛人が語る、感動のノンフィクション。
2月14日はふんどしの日!『人生はふんどし1枚で変えられる』を読んで
深愛【中】
文庫版が1月に発売、ということで。「水樹奈々」という一人の人間の生き方を目の当たりにして、圧倒されてしまった。「戦友」こと三嶋プロデューサーも含めて、物事を成し遂げようと戦い続ける人達の根っこには、すさまじい情熱が滾っているのだと感じた。
夢を追いかけるのに必要なものは何か。何かを成し遂げるためにはどうすればいいか。その場その場での見てくれや、過程を重視するような風潮の中で、本書は昔ながらの根本的な考え方を教えてくれるものかと。そのような意味では、王道のサクセスストーリーとして読むこともできるかもしれません。
父に託された演歌歌手への夢を胸に15歳で単身上京、憧れの堀越高校芸能コースへ入学。未来は明るいと信じていた。だが、東京では厳しい現実が。決まらないデビュー、食事にすら事欠く生活、さらに最愛の父が病に倒れて…。どんなに苦しくても笑われても、私は夢を信じ続けていた―。熱狂的な支持を受ける水樹奈々が全てを綴る、感動の自叙伝!
水樹奈々さんの自伝『深愛』“人生に、無駄な経験なんてきっとひとつもない”
あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。【中】
脱社畜ブログで有名な日野瑛太郎さんの新著。「働き方」に関して、現代日本において「当たり前」とされている価値観に疑問を呈し、痛快にぶった斬った内容です。さくっと読めていいのだけれど、既刊『脱社畜の働き方』と比べるとその分、内容も薄いように感じた。
社畜として諦めるのでもなく、立ち向かうのでもなく、さっさと辞めてしまうのでもなく、会社とうまく「付き合う」ための、「脱社畜」という考え方。
みんな、「働くこと」に悩んでいます。「やりがい」って、そんなに必要なのでしょうか?「お金のために働く」って割り切ることは、そんなに悪いことなのでしょうか?本書では、大人気ブログ「脱社畜ブログ」の管理人が、みんなが心の中では「おかしい」と感じている働き方をぶった切り、日本人にかけられた「社畜」の呪いを解消します。「働くこと」に悩んでいるビジネスパーソンはもちろん、就活中の学生にもおすすめです。
あ、「脱社畜的思考」の本を読んだので、とりあえず感想書きます。
艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆【中】
ファミ通文庫版に続いて、読了。正直、全く期待せずに読んだせいか、思いのほか楽しんで読むことができました。
本作の特徴は、艦娘が史実の艦船の転生後の姿である部分と、それに関連して、彼女ら自身が「救い」を求めている点、そして、「運」にまつわる切り口が魅力的。荒削りな点もところどころで見受けられますが、続刊が楽しみな作品です。
「どうして私、人間の女の子に…?」激闘の末に轟沈したはずの空母・瑞鶴が目覚めると、彼女は“艦娘”と呼ばれる少女の姿になっていた。かつての戦いの記憶と能力を持つ“艦娘”となった瑞鶴は姉・翔鶴と再会し、“提督”と呼ばれる男から人類の敵・深海棲艦の存在を知らされる。彼女は懐かしの地によく似たこの世界を守るために再び戦うことを決意するが、それは自身の過酷な宿命と向き合うことも意味していた―。
聲の形【短】
話題作。すぐにKindleの電子書籍版も出版されたのは、本当にありがたい。障害者問題と言うとどこかタブー視されがちで、コンテンツの作り手としても消費者としても、その扱いに困ってしまいがちな印象が強い中、真っ向からストレートに切り込んでいった作品。
1巻時点では、いじめや先生の態度が生々しく、読んでいて気分の滅入るものではあるが、その後の展開ですくい上げられた格好。過去も罪悪感も消えないけれど、それにまっすぐ向き合っていこうと、もたつきながらも触れ合おうとする主人公には、好感が持てて応援したくなる。続きが楽しみ。
「俺は彼女が嫌いだった」――明るく! 楽しく! 大冒険! がモットーの少年、石田将也(いしだ・しょうや)。耳の聞こえない転校生の少女、西宮硝子(にしみや・しょうこ)。2人の出会いが、教室を、学校を、そして将也の人生を変えていく――。余りにもみずみずしい青春のカケラたち。最高に切なく、心ゆさぶる物語が生まれました。