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【2016年発売or完結】最近読んだおすすめマンガのまとめ(ラブコメ多め)

マンガ おすすめ

 1月も中旬、気分はすっかり「2017年」になりつつありますが、「2016年」の整理がまだ追っついていない今日このごろ。――そう、Kindleのアプリを起動して気づいたのだけれど、最近はマンガも積ん読がたまる一方にあるし、読んだ作品の感想をまとめられていない現状があるのです。

 というわけで本記事では、2016年に自分が「出会ったマンガ」のなかから、特にお気に入り・おすすめの作品について、ざっくばらんに語ってまとめてみました。具体的には、「2015年末〜2016年内に初めて手に取って読んだ作品」に絞った格好。なんだか妙に恋愛モノのマンガが多いのは……自分にとっての2016年が、きっとそういう年だったのでしょう。ラブコメイヤー。

 

『戦国妖狐』徹頭徹尾、王道熱血の少年バトルマンガ

 2016年完結。全17巻。筆者は『惑星のさみだれ』でおなじみ、水上悟志さん。とりあえず、『さみだれ』ファンは何も言わずにポチってほしい。ぜっっっっったいに楽しめるから!!

 舞台は戦国。人間と魑魅魍魎とが交わる戦国冒険ファンタジーにして、熱血異能力バトルマンガ。とにかくアツい。むちゃくちゃアツい。最高瞬間的な熱量で言えば全99話という積み重ねもあるため、『さみだれ』を超えるんじゃなかろうか……。全力全開の王道バトル少年マンガ。

戦国妖狐 5巻
水上悟志『戦国妖狐』(5) P.122【© 水上悟志/MAG Garden corp.】

 その魅力のひとつが、「見開き2ページ? ……バカ言ってんじゃねえ! 足りぬわ!!」と言わんばかりに、4ページも6ページも使って大胆かつ豪快に描き出す戦闘・必殺技の描写。

 極太の線で豪胆に描かれる必殺技があれば、微細な線の描き込みによって静かに燃えたぎるような “キメ” の見開きもあり、その緩急もまたすごい。終盤に近づくほどに戦闘力のインフレ具合も手伝って、もはや “マンガ” の見開きページの面積じゃ足りていないんじゃあるまいか……とも思えてくるほど。将軍・足利義輝公の、特大5ページにもわたる見開き1枚絵のインパクトは忘れられない。

 人と魑魅魍魎、異種族間の相互理解といったテーマ性もあり、特にそれが深掘りされる第2部は読みごたえ抜群。主人公の交代もあり、少年期から青年期への移り変わりもあり、 “戦国” という舞台も相まって、まるで大河ドラマを見ているかのような気分でござった。休日あたりにでも一気読みすると、きっと幸せになれる作品。そして最後の読み終えた瞬間にはきっと、 “温かいもの” を受け取ることができるはずだ。

 

『なでしこドレミソラ』和柄によって表現された“音”の奔流に飲まれる

 おなじみの「バンドもの」作品としては珍しい、「和楽器ガールズバンド」のマンガ。目立った趣味もなく、夢中になれるものを探していた(元)地味っ娘主人公と、和楽器仲間を探していた能天気な三味線女子、2人が出会って始まる物語。

 なによりも「音」の表現が特徴的で、色とりどりに描かれた和柄の多種多彩さに目を奪われる。――そう、白黒ページの上であるにも関わらず、 “色とりどり” と形容したくなるほどに彩り豊かな和柄が、作品全体を形作る「音」のイメージを伝えてくれるのです。

なでしこドレミソラ 1巻
みやびあきの『なでしこドレミソラ』(1) P.56【© みやびあきの/芳文社】

 三味線は花を咲かせるように。尺八は風が吹き抜けるように。琴は水面に波紋を広げるように。――楽器ごとに異なり、市松、菱菊、格子、青海波といった和柄の文様で描かれた「音」の表現は、その音階・強弱・呼吸までをも伝えてくれるかのよう。

 さらに、奏者が替われば「音」もまた変わる。豪華絢爛にして花鳥風月を思わせるプロバンドの演奏シーンに対して、メインキャラクターの女子高生たちの「音」はまだおとなしめ。経験者が奏でる尺八の音色が流れ揺蕩うような曲線で表現される一方、初心者の主人公が奏でる三味線は少しささくれ立っており、線の広狭も不安定。それでも演奏が始まれば、2人が奏でる2色の音は織り混ざり、聴く人のあいだを流れるように響いていく――。

 和楽器の経験がある人、あるいは和楽器が好きな人には、ぜひ読んでほしい作品。まだまだ未熟な彼女たちの演奏が今後どのように彩られていくのか、楽しみでならない。

 感想記事 和楽器ガールズバンド漫画『なでしこドレミソラ』の“音”の表現に惚れた

 

『やがて君になる』言語化できない“想い”のベクトルの行方

 2015年末に1巻を読み、爆発四散した。初めて読んだ百合漫画であり、自分の大好きな “人間関係” を描いた物語であり、あまりに好みすぎて速攻で3回は読み返してしまったほど。読めば読むほど惹き込まれ、あとに残るのは至高のときめきと思考を促す読後感。

 「好き」という特別な感情を実感できない先輩後輩関係の女子高生2人が、徐々に互いに惹かれていく物語……かと思って読み進めていたら、まさかのクールビューティーな先輩のほうが即落ちでベタ惚れする展開。対するは、自分に惚れたことでキラキラと輝きだした先輩をどこか冷めた目線で見つめる後輩ちゃん。

やがて君になる 1巻
仲谷鳰『やがて君になる』(1) P.46【© 2015 仲谷鳰/KADOKAWA】

 1巻時点ではそのように対比的に描かれているように見えた2人の関係は、当然そのまま確定されるはずもなく。周囲の人間も巻き込み、物語が展開していくほどに “想い” のベクトルは移ろい変化し、徐々にその本質のようなものが見えてくるから、たまらなくドキドキする。さらにその過程として、キャラの感情の機微を自然に読み取ることのできる情景描写・演出などもあり、それも本作の魅力となっているのではないかしら。

 しかも恐ろしいことに、まだたったの3巻である。わずかな期間で何度も何度も読み返すマンガというのも自分にとっては珍しく、それほどまでに惚れ込んだ作品となりました。

 感想記事 初めて読んだ百合漫画『やがて君になる』が好きすぎてハゲそう

 

『ななしのアステリズム』恋と友情が入り乱れる極上の多角関係

 上記『やが君』の感想記事のなかで「何かおすすめの百合作品あったら教えてちょ☆」的なことを書いたところ、コメントで紹介していただいたマンガのひとつ。ちらと確認してみたら、自分が過去に購読していた数少ないマンガ雑誌『ガンガン』系列の作品とのこと。

 それなら肌にも合いそうだ――と思いつつ手に取って読んでみたら……なんてこったい。 “肌に合う” どころじゃない。自分の好み直球ドストレートがストライクゾーンど真ん中に突き刺さるどころか、そのまま鳩尾にめりこんでアッパーカットの追撃を食らったような面持ちである。くやしいっ……でも、まさにこういうのが読みたかったんや……!

ななしのアステリズム 1巻
小林キナ『ななしのアステリズム』(1) P.92/【© 2016 小林キナ/SQUARE ENIX】

 本作で描かれるのは、仲良し女子中学生3人組の友情と、その背後で各々が抱え交差する “秘密” の行方。どうあがいても泥沼にしかなりえない恋慕の大三角形を中心に、その外部にありながらも、少なからず関わってくるイケメン男子と女装男子を含めた5人の物語。

 読んでいてすごいと思ったのは、「誰ひとりとして不必要なキャラクターがいない」こと。恋愛の多角関係を描く場合、その “角” が増えれば増えるほどに人が “あぶれる” というか、特定のキャラにヘイトが集まったり、ストーリー上の役回りが中途半端な立ち位置に収まったりしてしまう印象があるのだけれど、今のところ本作ではそうはなっていないので。

 それどころか、5人全員の感情や想いがほぼ等しく物語中で描かれているため、嫌いなキャラが1人もいない。しかも、その水面下では嘘や嫉妬、破滅願望の感情が行き交っているにも関わらず。

 とにかく登場人物がみんな良くも悪くもピュアで、時に「また面倒なことを……」とか「ぶっ壊しにかかるのはやめてくれよ……」とか思いながら読みつつも、その背後にある感情は理解できるから、共感してしまえるから、誰も憎めないし、愛おしいし、かわいらしい。なんかもう、「お前らまとめて幸せになれよばーかばーか!」と何度でも叫びたくなる作品です。

 感想記事 恋と友情が入り乱れる極上の三角関係『ななしのアステリズム』に惚れた

 

『青春のアフター』バッドエンドの予感しかない青春の“後始末”

 ピュアピュアな恋愛模様と、思春期ならではの行き場のない感情に「うぐおおおおおおおおおお!」とニヤニヤ悶絶できた上記2作品に対して、 “オトナ” のリアリティと “思春期のトラウマ” の狭間で葛藤し吐き気をもよおすことができるのが本作、『青春のアフター』だ。

 単なる青春ラブコメ、三角関係で終わっていればよかったのに、そこに「タイムスリップ」の要素が加わったせいで、胃痛がマッハ。告白したその場で大玉砕、手酷く振られ、目の前から姿を消した初恋の相手が、16年後に “高校生のままの姿” で現れる。深く深く抉られた古傷であり、16年をかけて癒せたはずのトラウマと純度100%の形で再会するという、最高に残酷な物語。しかも、恋人との幸せを謳歌していたタイミングで。

青春のアフター 3巻
緑のルーペ『青春のアフター』(3) P.62【© 緑のルーペ/双葉社】

 「とは言っても、もう大人だし、今更そんな高校生時代の初恋相手に振り回されるはずが――」などと口では示しつつも、心中は穏やかではいられず、忘れようのないトラウマと初恋の亡霊に振りまわされる主人公が、とにかく痛ましく、同時にもどかしい。

 「失恋」は割り切るもの、乗り越えるもの、時が過ぎれば笑って話せるもの――として描かれている他作品とは異なり、「割りきったつもりでも、そんな簡単なもんじゃない」と、現実を突きつけるような非情さがある。それこそが、本作の魅力なんじゃないかと思う。

 「これ、もうどうあがいてもバッドエンドじゃないですかー!」と悲鳴をあげたくなるほどの最新刊のラストを経て、この夏には最終巻が発売予定とのこと。どのような “後始末” がつけられるのか、おっかなびっくり楽しみに待ちたい所存です。

 感想記事 『青春のアフター』片思いの“後始末”が心を抉るラブコメ漫画

 

『狼少年は今日も嘘を重ねる』女装という“嘘”の上塗りでできた人間関係

 自分の容姿にコンプレックスを持つ主人公と、男性恐怖症を抱えたヒロインが繰り広げる青春ラブコメ――かと思いきや、関係性は思いのほか複雑。というのも、目付きの悪い残念主人公・五木くんは、姉のカリスマメイク術によって、スーパー美少女・イツキちゃんに変身してしまうのだ!

 少女マンガではおなじみの「メイク」という魔法を施すことによって、意中の相手に急接近する展開それ自体は真新しくないもの。ただし、本作でその “魔法” を使うのは男子であり、それに伴う「嘘」に焦点を当てているのも珍しく感じる。結果、疑似百合空間が広がることに。わぁい!

狼少年は今日も嘘を重ねる 2巻
namo『狼少年は今日も嘘を重ねる』(2) P.82【© 2015 namo/KADOKAWA】

 劇中でも語られていたように、 “童話の狼少年” は最後に「嘘」の報いを受ける。羊飼いの少年は村の羊をすべて狼に食われ、あるいは少年自身も餌食となってしまうケースもある。「めでたし」で終わる嘘つきの物語が数少ないことを考えると……嫌な予感しかない(わくわく)

 描かれる女の子は誰もがかわいらしく、日常シーンのやりとりも微笑ましく、普通にラブコメしている――にも関わらず、常に「嘘」が露見するか否かの瀬戸際にあるからドキドキする。いつまでも隠し通すことはできず、それ以前に「嘘」を続ける狼少年の罪悪感がいつ臨界点を突破するとも限らない。童話では決して報われることのない「狼少年」の恋の行方は――。

 感想記事 “女装”がもたらす多角関係ラブコメ『狼少年は今日も嘘を重ねる』がおもしろい

 

『海咲ライラック』赤面した女の子は最高にかわいい

 「赤面した女の子は最高にかわいい(かわいい)という常世の真理を余すところなく伝えてくれる、年の差ラブコメマンガ。……大丈夫だよ! こっちはドロドロしてないしタイムスリップもしてないよ! 少なくとも1巻時点では!

 第一印象は「表紙がエ口い!」だったけれど、いざページを開いてみたら、中身は純朴少女の桃色片想いだった。「島のみんなから好かれる女子中学生」と「民宿を始めようと都会から引っ越してきた隣のおじさん」の、 “お隣さん” として始まる2人の関係性を描いたラブコメであり、作品の雰囲気はどこか少女マンガ的でもある。エ口は薄かった。いい意味で。

海咲ライラック 1巻
険持ちよ『海咲ライラック』(1) P.26【© 険持ちよ/竹書房】

 主人公の女子中学生はもちろんのこと、多くのコマでニコニコしている、ゆるふわおじさんもおじさんでかわいい。そしてなにより、喜怒哀楽をストレートに顔に出す女の子の表情七変化っぷりが、とにかくかわいくて仕方がない。まだ1巻なのに、 “赤面” のバリエーションがすごい。

 極めつけは、1巻で唯一の見開き2ページで大きく描かれた “告白顔”。昨今はなかなか見ることのない純情MAXの思い切りの良いドストレート告白は、汚れつちまつたおっさんである自分のハートを浄化&粉砕&玉砕。なにこれ尊い……死んじゃうよぼく……。

 正統派恋愛マンガであり、絵柄がとってもかわいらしい、年の差ラブコメディ。と同時に、ただのゆるふわおじさんではなく、何か訳ありっぽい “彼” の背景も気になる。これまた、続刊が楽しみな作品です。

 感想記事 純朴女子中学生とおじさん、2人がかわいい年の差ラブコメ漫画『海咲ライラック』

 

『あかいろ交差点』赤い糸(物理)が紡ぐ、友達以上恋愛未満

 その多くが恋心と多角関係が問題になっていたここまでのマンガと比べて、本作は非常にスロースターター。1巻時点で恋愛の “れ” の字もなく、強いて言えば「やっと “クラスメイト” になれた……?」レベルの関係性。

 しかし、その2人の指には、恋愛モノにおいてはお約束とも言える比喩表現「運命の赤い糸(物理)」の存在が。最悪の第一印象と、意図せず結ばれてしまった物理的な “糸” から始まる、学園青春グラフィティ。それが本作『あかいろ交差点』でござる。

あかいろ交差点 1巻
ひのなつ海『あかいろ交差点』(1) P.26【© ひのなつ海/一迅社】

 本作を一口に言えば、比喩としてではなく「そこにあるもの」として “赤い糸” が見えてしまう女の子と、誰にでも分け隔てなく接するマイペース男子との、繋がる縁の物語。

 すでに構築されている友人関係でなく、突如として急接近して惚れた腫れたになるでもなく、少しずつ進展していく関係性。それがなんだか、読んでいてすごい落ち着く。テーマからして “運命の赤い糸” だし、その糸に結ばれた2人の交流をゆっくりと描いている格好。

 関係が深まっていくにつれ、徐々に引き出されていく2人の表情と背景も本当に丁寧に描かれており、話が進めば進むほど好きになっていく感じがたまらない。ほんわかかわいい学園モノとして安心して読める一冊。なにより表紙の美麗さにジャケ買いしたので、気になった方はぜひ。

 感想記事 “赤い糸(物理)”が紡ぐ2人の関係がとにかく可愛い『あかいろ交差点』

 


 

 というわけで以上、8作品程度ではありますが、その分、感想文は長めにまとめてみました。正直、むちゃくちゃ端的にまとめるなら、どの作品も「ウオオオオアアアーーーーッ!!!(熱血)」「キャアアアアアアアアアアアアアア!!!!(身悶え)」「尊い……(昇天)」のどれかの感想(叫び)でまとめられる気がする。そういう作品をよく読んだ1年でした、はい。

 あと文中でも「おすすめされたマンガがむっちゃよかった!」ことに触れましたが、こうやって好きなマンガをいくつか羅列すると、詳しい人が肌に合いそうな作品を勧めてくれて、しかもそのハズレ率って限りなく低い印象があるんですよね……。すぐに読めるかどうか、読むかどうかはわかりませんが、もしよかったらおすすめのマンガなどをご紹介していただけますと嬉しいです。

 

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