ぐるりみち。

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『ゲームウォーズ』ヴァーチャル空間で日本のロボットが大暴れするアメリカ小説

ゲームウォーズ

 とんでもない小説を読んでしまった。記事タイトルは誤解を招くかもしれないけれど――ワンシーンだけ取り上げれば、多分だいたいあってる。

 しかも、これが米国でベストセラー。映画化も決定しているということで、いろいろと版権関係が心配……というか無理じゃね?アメリカの過去映画の再現・パロディもそうだけど、日本のアレとかコレとか。

 有名どころは分かるけど、なんで特撮の “アレ” が出てくるんだよ……。
 吹き出しちゃったじゃないか! どうしてくれる!

 

映画化決定!全米ベストセラー!(いつもの)

ゲームウォーズ
帯を見れば、この、いつもの煽り文句。

 普段はあまり(最近の)海外の小説は読まない僕ですが、本作はちょっと気になったので、手を出してみました。珍しく表紙買い。

 

 以下、あらすじ。

西暦2041年。革新的なネットワーク〈オアシス〉が張りめぐらされた世界は、深刻なエネルギー危機に陥っていた。多くの人々はそうした現実から逃避するように、〈オアシス〉と呼ばれるコンピュータの仮想世界にのめりこんでいた。

ある日、〈オアシス〉のコンピュータ画面に、突然「ジェームズ・ハリデー死去」のニューステロップが現れた。ジェームズ・ハリデーとは、〈オアシス〉を開発し、運営する世界的億万長者。ゲーム界のカリスマ的存在だ。

テロップに続いて、ハリデーの遺書ともいえるビデオメッセージが現れ、〈オアシス〉内に隠したイースターエッグを一番先に見つけたものに、遺産のすべてをゆずることが宣言された――。

 

 舞台は、エネルギー不足により、貧富の格差が現代以上に際立つこととなった、近未来の米国。貧しい人々は、各地に放置されたトレーラーハウスに居を構え、少ない配給で暮らしている状態。

 散々な環境の現実世界とは引き換えに、仮想世界はかなり発達している。全世界に張り巡らされたネットワーク〈オアシス〉で子供たちは教育を受け、大人たちは職を探し、また年齢国籍に関係なく、そこでゲームを楽しんでいた。

 

 イメージ的には、アニメ『サマーウォーズ』*1の仮想世界〈OZ〉が、当たらずといえども遠からず、といったところかしら。仮想空間に現実世界のインフラが構築されており、仮想世界で稼いだお金も換金可能、イコール貧富に繋がる格好。

 〈オアシス〉の中には、運営会社のみならず、ユーザーが作った、何百、何千の仮想世界が「惑星」の形で併存しており、宇宙船やテレポーテーションを使うことで移動が可能。ただし、それらは非常に高価なため、貧乏人は限られた世界にしか足を運ぶことができない。

 

 本作の主人公は、そんな貧しい環境にありながら、他の誰よりも「ゲーム」が大好きなおたくの少年、ウェイド。世界観的には、「ギーク」と言った方が正しいのかな。

 彼は、〈オアシス〉に再現された『セサミストリート』で読み書き・計算を覚え、過去に作られたあらゆる書物、レコード、映画、テレビ番組、ビデオゲーム、アートなどに触れて育った。現代のGoogleじゃないけれど、そこは言わば“すべて”が記録された無料図書館のようなものらしい。

 

 そして、その〈オアシス〉の生みの親、ジェームズ・ハリデーが亡くなった瞬間に、全〈オアシス〉ユーザーの心を動かし、夢を抱かせる壮大な“宝探し”が始まった。彼の隠したイースターエッグを一番先に見つけた人に全財産を譲る、と。

 つい先日にも、「Googleマップの移動方法に「ドラゴン」を追加するイースターエッグ登場」なんて話が出ていましたが、そんな感じ。普通に利用していては気付くことのない、開発者のちょっとした遊び心のような。

 

 本作の“宝探し”を例えるなら、「Windowsの最も重大なイースターエッグを見つけた人に、私の全てを譲ろう」とビル・ゲイツが言っているようなもの。

 で、しかもWindowsなら専門知識を持ったプログラマーじゃないと参加すら難しいけど、それが全世界の人々のプレイしているゲーム上で行われる、というわけで、誰にでもチャンスがある形。そりゃあ熱狂するでしょう。

 

オタクの、オタクによる、エンタメ好きのための物語

 本作の著者は、アメリカでは有名な“メガ・ギーク”とのことで、過去の様々な映画、コミック、ドラマ、アニメなどのパロディ、オマージュが節々で登場する。

 

 しかも単なるパロディに終わらず、実際にそれらの作品を「プレイ」する場面まであるのだから、好きな人にとっては最高の “あるあるネタ” だと思う。仮想空間で自分の大好きな映画に飛び込んでキャラクターを演じるとか、実現したらバカ売れするっしょ。リトさんになりたい。

 僕なんかはぶっちゃけ、海外のポップカルチャー――アメコミとかドラマとかハリウッド映画とか――はからっきしなので、本当に有名どころしか分からなかった。『スター・ウォーズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フルハウス』『指輪物語』などなど。

 まあそれでも楽しめたので、別に本書を読むのに“オタク”である必要は全くないかと。それに、 “あっち” のサブカルは分からなくとも、“こっち”のサブカルは分かる人が多いはず。そう、「日本ネタ」もてんこ盛りなんです。アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?

 

 軽くネタバレになりますが、冒頭に書いたように、後半で「日本のロボットによるバトル展開」が待ち受けているのですよ。おそらく「アクションシーン」に限れば、本作一番の山場。

 ガンダム、エヴァンゲリオン、ライディーン、ミネルバX、そして、メカゴジラ。最終的には、ウルトラマンvsメカゴジラという、スーパー特撮大戦状態。なんで海外の小説で夢の対戦が実現してるんだ……わけがわからないよ。

 なによりも吹き出したのが、主人公機。まさかの東映版『スパイダーマン』、まさかのレオパルドンである。そこはガンダムじゃないのかよ!

 

東映版『スパイダーマン』
地獄からの使者。【(C) Marvel Characters,Inc.  (C) TOEI Company,Ltd.】

 でもたしかに、アメコミ発の『スパイダーマン』という作品を、日本独自にアレンジした特撮の逆輸入と考えてみれば妥当……というか、あちらのギーク的にはたまらないものがあるのかもしれない。メインの登場人物に日本人もいるしね。

 ニコニコ動画での活躍ぶり*2を見てきた僕としては、もう「チェンジ、マーベラー!」の台詞だけで爆笑ものだったわけですが。アメリカの小説にあんな色モノが登場するなんて、誰が想像するのよ……。ズルい!

 他にも『パックマン』やら『カウボーイビバップ』やらの文字が出てきて、日本人読者としてもニヤニヤできる作品がちらほら。

 

これ、映画化……できるの?

Ready Player One
あちらのAmazonの、原作『Ready Player One』販売ページ。レビューが3000件……。

 物語展開としては、王道展開。疑り深い僕ちゃんは、「こいつが裏切るんじゃないか」とか「実は敵の手の内の者で…」なんて疑念全開で読んでいたけれど、ほとんどそんなことはなかった。ほとんど。純粋に楽しめる、エンタメ小説でございます。

 ただ、「ゲーム」という設定上、ドキドキするような場面が少なかった印象はある。「どうせ死なないんでしょー?」と。むしろ、現実世界で主人公が動き回るシーンの方が、手に汗握る場面であったように思う。映像化したら映えるぞー。

 

 そして、これを映像化するとして……版権まわりは大丈夫なん?と思わずにはいられない。後半のスーパーロボット大戦*3を映像化すれば、いろんなファン層が狂喜乱舞しそうなことは目に見えるけど、果たして許可が出るかどうか。

 検索してみたら、ワーナー・ブラザーズが権利を取得しているとのことなので、まだ製作には至っていないのかなーと。きっとそんなすぐにはできないでしょう。そもそも問題として、実現するのかしら。公開が決まったら、絶対に劇場で観たい作品ではありますね!

 

追記

 スピルバーグ監督によって2017年2018年全米公開決定!

 

 

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