ガンダムVSメカゴジラ!?映画『レディ・プレイヤー1』の見どころと感想


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映画『レディ・プレイヤー1』オフィシャルサイトより

 映画『レディ・プレイヤー1』を観てきました。

 邦訳版の原作『ゲームウォーズ』を発売当初に読んだときには、まさかスティーブン・スピルバーグ監督によって映画化されるとは思っていなかった本作。そりゃあ期待するのも当然ということで、公開初日の本日、劇場で観てきたわけですが……。

 いやー、期待値を軽く上回るどころか、天元突破するレベルでおもしろかったぞこんちくしょうが!! なんだよアレ! 「レオパルドンが出ない」と聞いてしょんぼりしていたら、それ以上にいろいろぶっこんできて終盤はニヤけっぱなしだったぞ!

 劇場内でも自然な笑い声が何度も聞かれたし、大迫力のロボバトルでは叫んでいる人もいたくらい。……わかるわ。僕も途中、何度か\( 'ω')/ウオオオオオアアアーーーーッ!!! って叫びたくなったもの。あと、特にアレだ。これだけは書いておかなくちゃ。

 親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは、涙なしには見られなかった。

 

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1回だけじゃ物足りない!日米のポップカルチャーの祝祭のような映画

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 今やVR世界を舞台にした創作物は珍しくないものの、ここまではっちゃけた作品はあまりないように思う。

 なんたって、本作の仮想世界〈オアシス〉では、文字どおり「何にでもなれる」のだ。イケメンにも、美少女にも、獣人にも、エイリアンにも、キティちゃんにも。映画冒頭、連れ添って歩くサンリオキャラ3人──キティちゃん、ばつ丸くん、けろけろけろっぴ──の姿を見て、思わず「きゃわ……♡」と呟きそうになった僕です。

 VR世界における自分の分身・アバターを好きにカスタマイズできるのはもちろんのこと、服装や武器、車、街、さらには惑星まで、何もかもが自由自在。その自由っぷりゆえに本作では、多種多彩な映画・コミック・アニメ・特撮・テレビドラマが登場する。

 たとえば予告編では、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン、『AKIRA』の金田バイク、そして『アイアン・ジャイアント』や『キングコング』が登場して話題に。しかし、そんなのはまだ序の口でござる。本編では、予想以上にたくさんのネタやパロディが見られるのです。

 先ほどのキティちゃんをはじめ、ちらほらと見覚えのあるアバターがいたり(リュウと春麗は確認できた)、背景や小物にまでネタを盛りこんでいたり(ポスターとかフィギュアとか)、某ホラー映画の舞台がまるまる再現されていたり(原作『ゲームウォーズ』とは異なる展開だったのでびっくり)

 しかもパンフレットを読んでみたら、それでもほんの一部に過ぎないようで……。わかりやすいオマージュだけでなく、小ネタまで含めれば、その数は軽く100を超えるのではないかと。「見つけられるもんなら見つけてみやがれ!」というレベルで盛りこまれているようなので、円盤の購入不可避っすね、これ。

 映画では脚本を担当している原作者、アーネスト・クラインさんへのインタビューに「日米のポップカルチャーの祝祭のような映画」というコメントがありましたが、本作を一言で表すのにこれ以上の表現はないと思います。

 それに、主に80年代のカルチャーが色濃かった原作の『ゲームウォーズ』と比べると、映画では90年代以降の作品も多く見受けられた印象。僕自身、ぶっちゃけ映画にはあまり詳しくありませんが、それでも「知っている」だけで気づけるネタが多かったので、コアなオタクやギークでなくとも楽しめるはずです。

マフィア梶田さんもこう言ってる。

 

“スピルバーグ監督による『機動戦士ガンダムVSメカゴジラ』”

 映画・アニメ・特撮のどれかに少なからず親しんできた人であれば、この字面↑だけでホイホイされずにはいられないんじゃないかしら。原作者さんもパンフレットで興奮気味に話していましたが……たしかに、あんなの見せられて興奮しないわけがない。

 正直に言って、原作さながらの「スーパー特撮ロボット大戦」は見れないんじゃないかと、当初は考えていました。冒頭にも書いたように「レオパルドン*1が出ない」ことや、権利の問題でウルトラマンが出せないこともあって、ロボバトルのシーンは控えめになるんじゃないかと。

 ところがどっこい。蓋を開けてみれば、劇中で一番燃え滾ったのはやはり、十人十色のアバター同士の総力戦を背景に繰り広げられる、ロボVSロボの大迫力バトルでござった。アイアン・ジャイアントの重量感は言うに及ばず、メカゴジラの登場シーンで大興奮。曲がー! 曲がーーー!!

 そしてやっぱり、ガンダムっすよ。アニメじゃない。大画面で見るCGの質感に惚れ惚れし、ビームサーベルを用いたメカゴジラとの戦闘に大盛り上がり。例の「音」が鳴り響いたシーンでは、「思わず口から漏れてしまった」という感じの歓声が客席から上がっていました。

 ところでガンダムと言えば、予告編が公開された段階で「ポーズ」へのツッコミが相当数あったと記憶していますが、その答えはパンフレットにありました。原作者であるクラインさんのコメントを読んで納得。

「ZZガンダムのポーズをさせた理由はカッコいいポーズだからだ! だから、RX-78-2ガンダムとはいえやらない訳にはいかないだろう! と思ったんだ」

(映画『レディ・プレイヤー1』パンフレット P.20より)

 パンフレットには、このような原作者さんによる愛あふれるコメントのほか、スタッフ&キャスト陣にとどまらない複数の関係者へのミニインタビューも掲載されています。

 『パックマン』の生みの親である岩谷徹さん、『ゴジラ×メカゴジラ』でデザインを手がけた西川伸司さん、レオパルドンやライディーンをデザインした村上克司さんなどなど。読み物としても結構なボリュームなので、あとでゆっくり読むつもり。

 ──とまあ、このようなお祭り要素が満載の『レディ・プレイヤー1』ですが、物語も言わずもがな魅力的。原作も胸躍る展開だったけれど、映画はアクション要素多めの構成に一部変更も加えられていたので、新鮮な気持ちで楽しめたしドキドキした。冒頭のレースシーンの時点で圧倒されてやばかったぜよ……。

 最初のレースシーン、Tレックスやキングコングもそうだけど、「なんか『マリオカート』っぽいコースだな!」と思いながら観てたら案の定、パンフレットで言及されてた。ちょっとだけ公開されているので、観に行くか悩んでいる方はぜひぜひ。

 アクションあり、コメディあり、ラブロマンスありと王道のエンターテイメントでありながら、ちょっとしたメッセージ性も垣間見える。子供の頃に親しんだ「ゲーム」への郷愁も感じさせながら、ただの懐古にとどまらない、現代の時代性を切り取った一面もあり、いろいろな楽しみ方ができる映画です。

 映画ファンはもちろん、ジャンルに関係なくポップカルチャーが好きな人、特定の作品が好きな人、技術としてのVRに関心がある人、そして純粋に映画を楽しみたい人など、あらゆる層が楽しめるであろう本作。まだ上映が始まったばかりなので、ぜひGWにでも観に行ってみてください。原作小説もいいぞ!

 

© 2018WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

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*1:東映版『スパイダーマン』に登場する巨大ロボット。ちなみに『レディ・プレイヤー1』のパンフレットには、劇中で登場する映画・コミック・アニメ・特撮・テレビドラマの元ネタを50作品ほど紹介しつつ、なかには原作者さんがコメントしている部分もあるのですが、この『スパイダーマン』の解説が断トツで長かったです。映画には出ないのに。