映画『シン・ウルトラマン』を観た。
平成生まれのゆとり世代、かつ特撮作品にはあまり興味を示さない少年時代を過ごした僕にとっては、本作が初ウルトラマンである。初マン。特撮わからんマンでありながら『シン・ゴジラ』はむちゃくちゃ楽しめたので、その流れで観に行った格好です。
ただ、『ゴジラ』については、少なくとも1作品は観たことがあった。そう、忘れもしない、あれは……あれは、僕が何歳の頃だったろうか……。まだ幼児アニメをキャッキャヾ(*´∀`*)ノと喜んで見るくらいには幼かった妹氏と、同じくまだまだガキンチョだった僕が、親に連れられて観に行った『劇場版 とっとこハム太郎』。そこで同時上映されていた『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』を観た記憶が、ゴジラに関してはかろうじて残っていたのだ。
しかしウルトラマンに関しては、そのような縁が一切ない。僕とゴジラをつないでくれたゴジハムくんのような存在が、ウルトラマンにはいない。本当に「なんもわからん」状態のまま、劇場に足を運んでみたわけです。
とはいえ、期待していなかったと言えば嘘になる。そりゃあだって、わざわざ公開初日を選んで行ったくらいなので。ついでに付け加えると、映画館に行くのも1年ちょっとぶりである。最後に劇場へ足を伸ばしたのは、忘れもしない2021年3月――そう、『シン・エヴァンゲリオン』以来の映画館でございました。
期待半分、不安半分の気持ちを胸にいだきながら、ウルトラなんもわからんマンだけれど、それでも「『シン・ゴジラ』がおもしろかったから……」と、おそるおそる観に行った、『シン・ウルトラマン』。
結論から言えば、むちゃくちゃおもしろかった。
想像以上にして期待以上。雨の中を遠出してまで観に行ったかいがあったってもんですよ! 「映画、おもしろかったなー」と、ふんわりニコニコ顔でそのまま日常に戻るんじゃなく、「映画!! おもしろかったなこんちくしょぁ!!」と、興奮気味にTwitterで感想を検索するマンになったり、Wikipediaで「ウルトラマン」の項目をウルトラ読みあさったり、なんなら映画館を出る前にパンフレットを確保しちゃったりするくらいには、ウルトラおもしろかったです。
※直接的なネタバレには配慮していますが、映画前半の流れには軽くふれています。
初めて格好いいと感じた“光の巨人”と、山本・メフィラス・耕史
ひさしぶりの映画ということもあり、ドキドキしながら席に座り、さらっと流れた『シン・仮面ライダー』の予告編に「こっちもわからんマンだけどおもしろそう……」なんて考えていたのも、束の間のこと。
冒頭2分で「なんじゃこりゃあ!」となり、『シン・ゴジラ』を彷彿とさせる作戦現場とテンポの良い掛け合いに謎の安心感を覚え、いざ登場した光の巨人の姿を目の当たりにして、「かっけーーーー!!!」と内心で大興奮している自分がいた。
少年時代から今に至るまでほとんど惹かれることのなかった、でもあちらこちらでよく見かける、おなじみのあの造形。それを、初めて本気で「カッコいい」と感じた。それだけでもう、ウルトラなんもわからんマンな自分にとっては得難い体験ができたように思う。――学生時代に祖師谷を通り掛かるたびに見かけた、ウルトラマンの像をふと思い出す。今後はあの2体を見る目が変わりそう。
そうして、最初の2体の怪獣――もとい、“禍威獣”との戦闘シーンを見て童心に帰ったような気持ちになりつつ、合間合間に繰り広げられる政治的な駆け引きにニヤニヤしていた前半。そこからどうやって物語が展開するのかと思っていたら、続けざまに出てきた外星人たちに心を奪われた。
予告編でもさんざん話題になっていたらしい、ザラブ星人とメフィラス星人。キャラが……! キャラが……濃い……!! それも違和感や変な癖がある濃さじゃなくて、自然と劇中に溶け込みつつ、物語に彩りを与える素敵な濃厚さ。とってもジューシーで、深い味わいがある。うまうま。
ってかそもそも、「宇宙人と普通にコミュニケーションできるんだ!?」というのが個人的に驚きだった。というのも、ウルトラなんもわからんマンゆえに、怪獣や宇宙人のことを「意思疎通の困難な、地球を害する巨大生物」的な存在だと勝手に思いこんでいたので。普通に屋内にぬるっと現れるどころか、当たり前のように政治的な裏工作まで仕掛けているのを見て、「コミュ力すっげぇ!!」なんて感心しちゃってたくらい。僕も社長ボイスで総理大臣と交渉したい。
そして何と言っても、メフィラス星人の存在感っすよ。ザラブ星人でしっちゃかめっちゃかしたあとにパリッとした姿で登場し、全身から「理解のある大人」オーラを醸し出しつつ、有能なネゴシエイターっぷりを発揮する切れ者キャラクター。癖のある言い回しをしつつも違和感や不快さはまったく感じない、でもその表情には常に胡散臭さがつきまとっていて、登場シーンは自然と彼を目で追ってしまう魅力があった。……なにあれずるくね??
キャラクターとしての魅力はもちろん、ストーリー上での立ち位置や、山本耕史さんの演技もすばらしく、自分の中では間違いなく記憶に残る存在になってしまった。しかもあの山本・メフィラス・耕史だけでも濃縮還元ジュースみたいな魅力があるのに、戦闘シーンも激アツとか……最高すぎません?? BGMが流れた瞬間に「アッ!! 好き!」ってなったのに、アクションと合わせた音ハメまで気持ち良すぎて、見ながら昇天するかと思ったわよ! んもう!
極上爆音上映はいいぞ
――とまあそんな感じで、これ以上はネタバレになりそうなゾーンに突入するので、ひとまずの感想としてはこんな感じかしら。
素敵で濃ゆいキャラクターとの出会いもありつつ、人間ドラマあり、ド迫力のアクションあり、自分好みの演出ありと、改めて全体を通して振り返ってみても、「本当におもしろかった!」と断言できるのは間違いありません。
ちなみに「迫力」については、例によって立川シネマシティの極上爆音上映で観たのも大きかったかもしれない。禍威獣との戦闘シーンでは体に響く重低音を感じられるし、頭を揺さぶるようなスペシウム光線も“聴ける”。本編で満ち足りた気持ちになったあとは、米津玄師さんの主題歌を全身で浴びられます。聴いてみな、飛ぶぞ。
とにもかくにも、ウルトラなんもわからんマンでもあれこれ語りたくなる、調べたくなる、詳しい人の話を聞きたくなるくらいおもしろかったし、しばらくぶりに最高の映画体験ができた。叶うなら、このまま誰かと飲みに行きたい。すぐに飲みに行けそうな映画友達がいないけれど。ってかこれ、好きな人ほど楽しめる要素が盛りだくさんな映画なんだろうな~~~!! いいないいな~~~~~!!!!
あ、支払いは「割り勘」で。私の好きな言葉です。
関連記事
- 『シン・ゴジラ』を極上爆音上映で観て泣きそうになった
- 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見てきたゆとり世代のファンのエヴァ遍歴
- 2021年マイベストコンテンツ③『ボクのあしあと キミのゆくさき』『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』
©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ