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終わるエヴァンゲリオン、青春のリフレイン、歩み出すチルドレン


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公式サイトより

 エヴァンゲリオンが終わった。

 平成生まれの自分はTVアニメ版をリアルタイムで追っていた世代ではないけれど、子供の頃から親しんできた大好きな作品の、本当の本当に最後の完結作。「エヴァを最後まで見るまでは死ねねえ!」と言い続けて生きてきたオタクにとっては、この世への未練がひとつ減った形になる。

 2007年に始まった新劇場版4部作のラスト、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』

 何を書いてもネタバレになりかねないので、ここでは本編については言及しません。公開初日ということもあって、まだ見ていない方も多いでしょうし……それに僕自身、まだ感情を整理できていない現状がある。映画館を出て、とにかく感情のままにツイートして、パンフレットもざっと読んで。そうして若干は落ち着いたものの、まだまだふわふわしている感覚がある。夢の続きを見ているような、LCLの海に漂っているような、そんな気持ち。……というか、僕はまだ、夢の続きを見ていたいのかもしれない。

 とりあえず一言だけ書くなら、以下のツイートのとおり。

 14歳だった僕が夢中になり、コミック版とTVアニメ版と旧劇場版を経て、ずっと見たいと思っていた『エヴァ』の、ひとつの理想形。親に隠れて旧劇場版のビデオテープを観て、いろいろな意味で衝撃を受けて呆然としていたあの日の少年は、今日、映画館で叫びたい衝動を抑えながら年甲斐もなくボロボロと泣く、アラサーのおっさんになっていた。

 夢の続きを見せてくれて、ありがとう。

 

(※以下、個人的な『エヴァンゲリオン』語りになります。『シン・エヴァ』の話題はほぼありません)

 

友人、襲来/見知らぬ、映像

 『新世紀エヴァンゲリオン』の存在を知ったのは、14歳の時。通っていた学習塾の友人に熱心に布教されたのがきっかけだった。

 押し付けられたコミック版を読んで、「へー、おもしろいじゃん!(アスカかわいい)」という素直な感想を抱いたのが最初。ただし当時のコミック版はやっと物語終盤に突入したかというところで、消化不良のまま読み終えて友人に返却したことを覚えている。

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そういえば、続きが気になって『少年エース』を購読することになったんだっけ……

 とはいえ、当然それだけで終わるはずもなく。布教に熱心な友人は、抜け目がなかった。僕が興味を持ったと見るやいなや、次の日にはTVアニメ版が録画されたビデオテープ(!)を持参し、さらには「映画もあるぜ!」と劇場版もあわせて貸してくれたのです。

 で、ハマった。刺さった。深く深く。ぐっさぐさに。旧劇場版でEVA量産型に串刺しにされた弐号機のように。量産型……アスカ……ウッ(トラウマスイッチ)

 ──そう、それよ。

 まさにトラウマになったんですよ。旧劇場版が。

 普段はアニメなぞ見ず、それどころかあの頃は「オタク」的なコンテンツに対する風当たりが強かったこともあって、家でこっそりと見ることにしたTVアニメ版。家族がいないタイミングを見計らって隠れて一気見したので、2、3日かかったんじゃないかと記憶しているけれど……ともかく、それでまず夢中になった。

 「なんだこれは」と呆然となり、「終盤の急展開はなんだったんだ」と首を傾げ、「謎ばかり残ってる気がするんだけど、僕が子供だからわからないのかな?」と純粋に思い、「でもOP曲のインストアレンジめちゃくちゃいいな……」と感じて、翌日には隣町のBOOK OFFにサントラを探しに行った。あ、それと「これって中学生男子には刺激が強すぎませんかきゃーーー!(ガン見)」なんて赤面してた記憶もありますわね……。

 さらに後日。TV版終盤のリメイク作として作られたという旧劇場版を見て、まだまだ物語にふれる経験の乏しい中学生だった僕は、人生最大級の衝撃を受けた。

 友人がニヤニヤしながら「映画版はすごいぞ~」と言っていたので、てっきりTV版の伏線を回収して大団円を迎える……のかと思ったら、“アレ”っすよ。

 ズタズタにされるアスカが見ていられず、量産型がトラウマになったのは言うまでもなく、サードインパクトの描写が衝撃的すぎた。物語で描かれる「世界の終わり」の映像として、あれ以上に衝撃を受けた作品はないと思う。映画を見た後は、しばらく延々とサントラをリピートして聴いていた記憶がある。甘き死が、無限に来てた。

 ところで、“大人のキス”ってなんですか!? “続き”ってなんですか!? ぼく気になります! ミサトさん!!

鳴らない、電話

 ちなみにこの頃の僕はと言えば、特段にハマっているものもなく、勉強でも運動でも目立たない、平々凡々な中学生男子だった。

 いわゆる「小学校時代は勉強ができたが、中学に入って失速した」タイプで、ついでに中学デビューにも失敗し、教室では目立たないように過ごしている生徒。小学生の頃は毎日のように鳴り響いていた──あるいは自分からかけていた──友達と遊ぶ約束をする電話は、沈黙するばかりだった。

 その一方で、学校ではおとなしく過ごすようにしていた反動か、塾では無駄にはっちゃけていたのだけれど。別に問題児だったわけではなく、授業の流れを崩さない程度にネタ回答に走ったり、休み時間におちゃらけたりして、周囲を笑わせることを楽しんでいるような。そんな子供だった。

 中学校では、カースト最下位の地味男子。学習塾では、電波をビンビンに発するお調子者。好きなことと言えば本とゲームくらいで、小学生の頃にハマっていたポケモンカードからは卒業しつつあった時期。アニメが好きというわけでもなく、むしろ「オタク」的なコンテンツからは距離を置いていた。

 そんな中学生だった自分が『エヴァ』にハマるのも、自然といえば自然な流れだったのかもしれない。──主人公は、自分と同い年の内気な男の子。急に父親に呼び出され、ロボットに乗って敵と戦うよう命令される。人類を守るために。周囲には魅力的な大人と仲間たち。そして始まる戦いの日々と、学園生活──。

 とはいえ、それだけならきっと『エヴァ』にはハマらなかった。

 少年マンガ的な王道ストーリーも嫌いではないものの、当時の自分にそれは眩しすぎた。ただでさえ多感な思春期にあり、いろいろと鬱屈とした感情を抱えていた中学生の僕。スカッとするアツい物語よりは、自身が心から共感できる主人公と、夢中になってあれこれ考えずにはいられない世界観こそが必要だった。

 その点において、『エヴァ』はドストライクだったように思う。

 中学生マインドに刺さる、意味深な用語と世界観。一筋縄ではいかない、斬新で魅力的な2人のヒロイン。カッコいい大人と、カッコ悪い大人。音ハメが気持ちよすぎるオープニング。物語を彩るBGM。あとはたしか、「A.T.フィールド」の概念にも妙に惹かれていたんじゃなかったかな……。

 そりゃあなんたって、多感な中学生男子である。学校での友人関係に、各々に距離感が異なるクラスメイト。小学校のように「みんななかよく!」というわけにもいかず、嫌でも目に入るいじめとスクールカースト。さらには思春期特有の親への反抗心なども生まれてきて、「人間関係」についてあれこれ悩まずにはいられない。

 そんな時期に「心の壁」なんて概念を、しかも独自の横文字で示されたら、そりゃあ中学生男子は感化されずにはいられないってもんですよ。「ぼくのえーてぃーふぃーるど、つよそうだな……」なんて考えちゃいますよ。──うるせえロンギヌスの槍に貫かれてしまえ! ……じゃなかった、心も体もひとつになりましょう? それはとても気持ちのいいことなのようふふ。

人の造りしSS/オタク、誕生

 コミック版をきっかけにじわじわとハマり、旧劇場版まで見終えた頃には、すっかり『エヴァ』の虜になっていた自分。

 中学生の少ないおこづかいでも関連グッズを集めるべく、複数のBOOK OFFを飛びまわり、コミック版をまとめ買いし、サントラも全部揃え、『残酷な天使のテーゼ』の別バージョン*1を求めて林原めぐみさんのCDまで購入し、スピンオフ作品──『鋼鉄のガールフレンド』が好きです(小声)──の存在を知るやいなや探しに走り、怪しげな考察本にまで手を出す事態に。それを見た妹は、急にオタクと化した兄に対して「気持ち悪い……」と言ったとか、言ってないとか。

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何も知らずに買った『EVANGELION-VOX』で"ARMAGEDDON"を鬼リピートしていた記憶

 しかし、それでもまだ満足できない。もっともっと『エヴァ』を楽しみたい。あの世界観を堪能したい。あれで終わるなんてもったいない──。募る欲求を満たすべくネットサーフィンをしていたところ、ある日、不可思議なサイトを見つけることになる。

 そこに書かれていたのは、自分がよく知る『エヴァ』の物語。おなじみのキャラクターたちが登場し、アニメ本編さながらにストーリーが展開する小説……のようなのだけれど、何かが違う。シンジが妙に男前だったり、トウジが一緒に戦っていたり、アスカがお嫁さんだったり、レイが明るかったり、使徒が美少女だったり。……え!? なんじゃこりゃ!?

 ──そう、これが、「二次創作」との出会いでした。

 いやー、マジでびっくりした。あの謎だらけの世界に、そんな解釈があったのかと。終わってしまったはずの物語に、そんな続きを想像できるのかと。本編では絡みの少なかったキャラクター同士をつなげて、そんな関係性を持たせられるのかと。

 何よりも驚いたのが、それらすべてを引っくるめて「『IF』の世界を想像して、創造してもいいんだ!」ということ。1人のファンに過ぎなかった中学生の自分には、「続きがないなら、自分で創っちゃえばいいじゃない!」という発想があまりにも新鮮で、天才的に感じられたんですよね。

 それからは、二次創作小説を読みあさる日々。「エヴァ SS」で検索したり、リンクをまとめているサイトで更新を確認したり。さまざまなジャンルを知り、カップリングの概念を学び、桃色だったり薔薇色だったりする世界を目の当たりにした。最高の娯楽を見つけてしまった気分。特にEOEと逆行モノを好んで読んでたかな……LASもLRSもカヲシンもいいぞ……。

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小説じゃないけど、『RE-TAKE』はよく名前が挙がる印象

 こうやって振り返ってみると、自分が『エヴァンゲリオン』というコンテンツから受けた影響は、想像以上に大きかったように思う。

 二次創作にハマり、ゲーム音楽以外にもサントラを買うようになり、オープニングきっかけでMAD文化にも親しむようになった。音ハメが気持ちいい映像を好んで見るようになり、人間関係や距離感をテーマにした作品に惹かれやすくなった。多分、それ以外にもいろいろ。

 その後、深夜アニメやノベルゲーにハマり、いわゆる「オタク向けコンテンツ」と呼ばれるものを積極的に楽しむようになるまでには、また別の作品を通過することになるのだけれど。それでも、今現在の自分が好きなコンテンツたちの下地には、間違いなく『エヴァ』の存在がある。そう断言できる。

終わる世界/Beautiful World

 「『エヴァ』が新しく映画になるぞ!」という、思いもなかったビッグニュースが飛び込んでくるのは、その数年後のこと。

 2007年上映。
 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』でございます。

 ここまで書いてきたとおり、リアルタイムで『エヴァ』を追っていなかった自分にとっては、まさに寝耳に水。「リアルタイムで『エヴァ』の最新作が見られるの!?」という大興奮っぷりで、公開初日に映画館に駆け込んだ記憶がある。あれももう、14年前のことになるんすね……。

 続く『破』は件の友人──中学時代に布教してきた張本人──と、やはり公開初日に鑑賞。TV版の再構成かと思いきや、ラストのアツすぎる急展開を見て2人で大騒ぎ。「こんなん1回で満足できるはずもねえ!」と、その場で次の回のチケットを買って2回目を見た。映画館で連続2回同じ作品を見たのは、後にも先にもあれっきりなんじゃないかな……。

 ところが次の『Q』でもって、突如として「わけがわからんぞ!」と目を白黒させる事態に。『破』のアツい展開から一転、冷水に突き落とされたかのような感覚を覚えつつ……でも内心では、めちゃくちゃ嬉しかった。『エヴァ』というコンテンツの中でも、特に自分に大きな衝撃をもたらした旧劇場版。その雰囲気と展開が垣間見える『Q』を見て、「リアルタイムで考察させてくれるとか最高じゃん!」と思わずにはいられなかった。だって、後追いゆえに叶わなかった、「みんなで一緒に楽しむ」ことができるんだもの!

 そして迎えた、完結作。

 『シン・エヴァンゲリオン』は、TV版をリアルタイムで見ることが叶わなかった、けれど中学生という絶妙なタイミングでハマり、関連作品やファンメイドのコンテンツも含めて楽しんでいた『エヴァ』ファンの1人として、これ以上ないほどに「最高」と言えるものでした。

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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本予告・改2【公式】 - YouTubeより

 ──と、ここで何か具体的に書こうとすると、これまたネタバレになりかねないので……。多分、キャラクター名を挙げるだけでも危ない。

 ただ、ひとつだけ言えるのは、ここまで書いた至極個人的な『エヴァ』語りと遍歴に何か心当たりがある人、どこかしら重なる部分がある人は、きっと『シン・エヴァンゲリオン』を最高に楽しめる、ということ。

 好きな人ほど、ぶっ刺さる。間違いなく。新劇場版4部作のみならず、TV版や旧劇場版の世界をも踏襲しつつ、明確な「終わり」を示した作品。長年にわたって考察されてきたいくつかの謎について明確な答えを示しつつ、これまで明らかになっていなかった背景にも言及。まさしく「完結編」にふさわしい出来映えで、各々のキャラクターの事情についても決着を付けつつまとめ上げている。……冷静になってみると、上映時間が長いとはいえ、これら全部をまとめてるの半端ないのでは……?

 そして何と言っても、そこには「ずっと見たかった光景」があった。もうこの一点だけで自分にとってはパーフェクトだし、そこに至るまでの展開もすばらしかった。今回の完結に際して、「やっとエヴァの呪縛から解き放たれる……」なんて冗談っぽく言ってたけど、本当に解放された気持ち。

 「もうLCLの海に還ってもいいや……」なんて思いつつ、でもやっぱり、終わった後の余韻の中にはどこか寂しさもあって。自分がまさに“チルドレン”の年齢だった頃から楽しんできた作品の、はっきりとした終わり。新作や新情報が出るたびに盛り上がれた、繰り返されてきた青春の最後。

 ──祭りの後は、やっぱり寂しい。

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宇多田ヒカル - 「桜流し」(ヱヴァQバージョン) - YouTubeより

 最高の充足感と、ちょっとした寂しさと、最後まで追い続けることができた安堵感。まだ少しごちゃごちゃしている感情を抱えながら、改めて一番強く思うのは、「ありがとう」という感謝。たとえ終わってしまっても、間違いなく胸の内に強く強く残り続ける、大好きな作品。それを創ってくれて、リアルタイムで追う機会をくれて、本当に感謝しています。

 なーんて殊勝になりつつも、すでに「まさか1回で満足するわけないよな!?」という気持ちがこみ上げてきているのも事実。たくさんの人が『エヴァンゲリオン』という作品を最後まで、最高に楽しんでくれることを1人のファンとして祈りつつ、この完結作をもっともっと堪能しようと思います。

 今回は立川シネマシティの極上“爆音”上映で見たので、次は極上“音響”上映のほうかな……。戦闘シーンは大迫力ですごかったけど、音楽がちょいと聞き取りにくかった気もするので、比較してみたいにゃー。

 

©カラー/Project Eva. ©カラー/EVA製作委員会 ©カラー

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*1:残酷な天使のテーゼ【A.D.2001】。AYANAMI Versionもいいぞ。