会社人の名刺文化はあまり好きじゃないけど、個人や趣味における名刺のやり取りは好きです。僕です。
いや、「名刺」というツール自体は別に嫌いじゃないんです。それどころか、むしろ好きなほうかもしれない。だって……名刺って、コレクション性あるじゃん?
小さくて薄い紙でできた名刺は、まるで少年時代にハマったトレーディングカードのよう。十人十色の個性が表れ、デザイン性にも秀でた多種多彩な名刺は、見ていてすっごく楽しいものなのです。こう……なんというか……オタク心をツンツンと刺激される感じ?
悔しいっ……! でも集めちゃう!(しっかりファイリングしつつ)
今回読んだのは、そんな「名刺」について取り上げた同人誌『木緒なちの名刺のデザイン』。タイトルにもあるとおり、筆者は木緒なち(@kionachi)さん。アニメやマンガのロゴデザインでおなじみのグラフィックデザイナーさんであり、ラノベ作家・社長・VTuberといった複数の肩書きを持つスーパークリエイターでございます。つよい。
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イラストレーターや作家も!4つの例で名刺のデザインを考える
“名刺のデザイン” と銘打ってはいるものの、ハウツー本とは少々向きの異なる本書。デザインスキルよりも「考え方」に重きを置いており、「自分の名刺をデザインする際には、どのように考えればいい?」という問いに答えていくような内容になっています。
まずは「名刺とはなんぞや?」という話から始まり、名刺を構成する要素を整理したうえで、デザインにあたって考えるべきポイントを確認。──これまでは名刺と言えば、住所や電話番号を記入して当然だった。しかし今となってはそうとも言い切れず、名刺に載せる情報も変化しつつある──といった指摘もあり、序盤からおもしろい。
そのうえで本文では、具体的な「名刺の作り方」について、複数のデザイン案を示しながら説明。本書では特に次の4つのケースを例に挙げて、名刺デザインを提示しています。
- イラストレーター
- 作家・小説家
- ○○ファン
- VTuber
何と言っても、それぞれのケースにおいて重要なポイントをまとめるのみならず、作例も掲載しているのがありがたい! というのも、自分のようにデザインスキルが皆無な人間でも、「ちょっとした違いで変化が生まれる」「情報を選別することで印象が大きく変わる」ことが一目瞭然なので。
僕自身、過去に「ライターの名刺ってどうすりゃいいんじゃー!」と悩んだ経験があるので*1、作家・小説家のデザイン案は本当に参考になります。助かる。
また、読んでいておもしろかったのが、同好の士とのコミュニケーションツールとして、あるいはファンアイテムとして用いることもできる、「○○ファン」と「VTuber」の名刺について。
こちらはぜひ実際に本書を手に取っていただきたいのですが、「そもそもVTuber自身に名刺は必要なの?」という疑問にも答える内容になっており、きっと興味深く読めるはず。後半のコラムではQRコードの効果的な活用方法にも言及していて、これから名刺を作ろうと考えている人の参考にもなるのではないかしら。
短い時間でさくっと読めて、昨今の名刺事情を再確認しながら、実際の名刺制作にも役立てられる。そして何より、読んだ人に「名刺を作ろう!」と思わせる1冊となっています。事実、僕も新しく名刺を作りたくなってきたくらいなので。ファン名刺って、なんか不思議と心惹かれるものがあるよね……。
スタバで真面目な顔をしながら読んでいた、木緒なち先生の新刊。
— けいろー🖋バーチャルライター (@K16writer) August 27, 2019
後半、兎鞠まりちゃんが登場したことで「えっちだ……」という顔をしながら読むことになり、とても捗った。
えっちだ……(すこ)(勉強になる) pic.twitter.com/KXzGvIzlhQ