夜更かしは蜜の味?


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親から「夜更かしは悪いこと」だと言われて育った。

夜遅くまで起きているのは悪い子だけ。良い子はもう8時9時にはお布団に入って、5分と経たずに夢の世界へ飛んでいるものなのだと。そう言われるまでもなく、己の体力の上限を知らず、常に全力全開でエネルギーを消費しながら過ごす少年少女を、お布団は等しくネバーランドへと誘ってくれる。

とは言え、そうやって日々をフルスロットルで生きていられたのも物心つくまでの話。小学校高学年にもなれば夜更かしの欲求がむくむくとこみ上げてきて、卒業する頃には「早寝早起き」を煩わしく感じるようになる。外では「真面目な優等生」で通っていた自分も、その例には漏れなかった。

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かーちゃんの言葉に従順だった少年も、やがて中学生になると、夜更かしを覚えるようになる。

特に当時の我が家の場合、「携帯ゲーム禁止令」が出ていたのが一因としてあったかもしれない。小学生時代にスーファミやらロクヨンやらを遊びまくっていたせいか、そこそこ早い段階でメガネっ子デビューしていた自分。視力の低下を心配した両親によって、携帯ゲームは遊ばないように言いつけられたのだ。

やんちゃな子供であれば、駄々をこねて全力で拒否っていたのかもしれない。ただ、割と聞き分けの良い子供だった自分は、若干の不満を抱きつつもそれを許容することに。……まあ当時は「スーパーゲームボーイ」なんていう便利な機械もあったしね! GBソフトはスーファミで遊べたので、特に問題はなかったのです。

ところがどっこい。

中学生になり、ゲームボーイアドバンスが隆盛を極めるようになると、聞き分けの良い少年の考えも変わってこようというもの。友人からGBAを借り、やがて中古で購入し、夜な夜なゲームを楽しむようになる。お布団に潜り、明滅する画面の中でポケモンを捕まえ、スライムを配合し、電脳世界にプラグインしていた。

ただ、その頃は純粋にゲームを楽しんでいたので、「夜更かしは悪いこと」とか「夜遅くまで起きているのが楽しい」とか、そういう風には捉えていなかったように思う。反抗期らしい反抗期はなかった自分だけれど、そうやって隠れてあれこれやるのがある種の “反抗” だったのかなーと、今更ながら思った。……ぶっちゃけ、親にはバレていた気もするけれど。

その後、高校時代は高校時代でサウンドノベルや深夜アニメにハマり、週末には夜更かしをするのが当たり前の生活に。つまるところは中学の延長線でしかなく、家族が寝静まったあとの夜の静けさに紛れて、ひたすらコンテンツ消費に勤しんでいた格好です。生まれて初めてオールしたのは、某同人ノベルゲームを夢中になって読んだときだったかしら。嫌な事件だったね……。

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「夜更かし」の性質が変わったのは、大学に入ってから。

大学生にもなれば、サークルに所属してなんやかんやと遊びまわるようになるもの。──と言っても、所属していたのは自分を含め陰キャ気質の人間が集う文芸系サークルだったので、カラオケでオールするとか、安い居酒屋で朝まで飲むとかが関の山だったけれど。

それでもやっぱり、気の置けない友人と遊ぶ時間は楽しかった。

暗い部屋でひとり、明滅する画面に向かって延々とゲームを遊んでいた「夜更かし」とは違って、趣味や気質の近しい仲間と過ごす「オール」は特別なもの。学生ならではの面倒なあれこれがあったり、黒歴史を生産したりしていた気もするけれど……思い出そうとすると頭が急に痛くなってくるのでやめておこうそうしよう。オホホホホアイタタタ。

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社会に出て数年が経った今も、そしてここまでに書いてきた過去を振り返ってみても、考えてみれば、いつも「夜更かし」は楽しいものだった。

さすがに入社1年面は自重していた──というかオールする余裕なんてなかった──けれど、週末にはしばしば千葉のド田舎から都心へ繰り出し、友人と翌朝までバカ騒ぎすることもあった。そういえば「うっかり終電を逃し、ネカフェで仮眠をとって、始発でそのまま出勤した」なんてこともあったなー。アホだなー。

でもきっと、それだけ楽しかったんだろうな、とも思う。

もちろん、深夜帯はいつも100%ポジティブでハッピーうれピーよろピくねーというわけでもなく、稀にメンタルがボロボロになり、あーだこーだと終わりのない思考のネガティブスパイラルに陥ることもあった。

けれど、それもここ数年は格段に減った気がする。嫌なことは日中のあいだに言語化し、文章として吐き出して、ゴミ箱にポイするようになったから……かもしれない。あと、夜はどちらかと言えば「深夜にメンタルが崩れやすい人の話を聴く」機会のほうが多かったからかも。僕まで凹んじゃいられない。

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他方で、フリーランスになったことで会社員時代よりも夜更かしする機会が増える──かと思いきや、逆に減ったのは意外だった。

正確には「夜更かし」はするのだけれど、朝方の5時6時あたりまで「オール」することはほぼなくなった感じ。仕事やゲームをするにしても、3時にはオフトゥンに包まれて ( ˘ω˘)スヤァ するようにしているし、睡眠時間は最低でも6時間。理想的ではないにしても、生活習慣は少なからず意識して整えている……と思う。

そうなった理由はおそらく、過去に体調を崩してクライアントさんに迷惑をかけたから。そのとき、会社勤めしていたとき以上に「体が資本」であることが、身に沁みて理解できたのです。──ちがうよ? 決して「30歳間近になって体力的に夜更かしが辛くなってきたから」とか、そういうことじゃないよ? まだまだ朝までフィーバーできるくらいには元気だよ? お酒だって飲み続けられるよ? ……たぶん。

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──なーんて書きつつ、年末年始にかけてのつい最近まで、夜更かしぎみの生活が続いていたわけですが。うふふふふ。

いやー、夜更かし最高! 朝まで推しの声を聴きながら仲間とわっほいわっほい楽しく会話できるとか、そりゃあ眠気も吹き飛ぶってもんっすよ。「ぼくちゃん喋るの苦手だから……」などと言ってこの10年、頑なにSkypeの通話も断ってきてたのに、即オチでボイスチャットっすよ。マイク買っちゃったよ。ひゃっほぉ!

夜型生活は健康にもお肌にも良くないと知りつつも、それでも気づけば夜が更ける。さすがに「夜更かし&睡眠不足」が常態化するのは避けようと思いつつ、本当に自分がやりたい、心から楽しめる活動がその時間にしかできないのなら、充実した夜を過ごそうとしたっていいじゃないか──とも考えてしまうのです。

夜更かしは蜜の味。これからもほどほどに、若いうちだから通用するとも言われる「夜」の時間を、楽しむときには全力で楽しもうと思ったのでした、はい。

 

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