新年あけまして、はや1週間。忘れないうちに去年の整理をば――ということで昨年の振り返り記事が続きますが、今回は、2016年にこのブログ『ぐるりみち。』で売れた本の冊数を調べて、ランキングにしてみました。一昨年もやってたけど、去年は忘れてたっぽい。
順位付けに際しては、Amazonアソシエイトのデータを参照。ブログ記事で感想を書くなどして取り上げた「本」を対象に、Kindle本と紙の書籍の売上点数を合計して上位10冊をまとめました。なかには思わぬ売れ方をしていた本もあり、振り返るのがおもしろかったです。
【10位】新しい文章力の教室/唐木元
ブログ上で感想記事を書いたのは2015年12月と少し前ですが、たびたびKindleストアのセール対象となっていたためか、そこそこ売れていたようです。多くの「文章術本」の感想エントリを投稿しているなかでも、最初に読む本としておすすめの一冊。
僕自身も少なからず影響を受けており、読む前と後では、特に「漢字の開閉」の部分でブログの文章が変わっているんじゃないかと。ちなみに、本書は現在もKindle Unlimitedの読み放題対象となっているようなので、もし登録していて未読の方がいらっしゃれば、ぜひぜひ。
【9位】やがて君になる(1)/仲谷鳰
『やが君』はいいぞ。
それまで「百合作品」のたぐいはあまり触れてこなかったにも関わらず、あまりにもドツボにはまりすぎて昂ぶって、愛のままにわがままに感想をぶちまけた作品。今でもしばしば「わ か る」的な感想を添えてTwitterでシェアしてくれる同胞がいらっしゃる模様。ありがてえ……!
【8位】なるほどデザイン/筒井美希
お勉強用に買ってみたら想像以上にわかりやすい内容で、「これなら僕でも感想が書けるぞー!」と、勇んでテキストエディタを開いたことを覚えています。全271ページというボリューム感をまったく感じさせない、スイスイ読めて自然と理解できるハウツー本。
なにより、「読んでいて楽しい」構成になっている点が大きかった。センスや専門知識が必要とされる印象の強い「デザイン」について、素人目にもわかりやすく魅力的に、そのおもしろさを実感しながら読める内容となっている一冊。週末の午前にでも、一気に再読したい。
【7位】十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。/遠藤周作
同じ「文章論」でも、先の『新しい文章力の教室』よりもこちらがよく買われているあたり、弊ブログの読者層がなんとなく見えてくるようなこないような……。さっくり読めるページ数だし、筆者ならではの語り口はたしかに印象に残りやすい本。読んでいて、文章がおもしろい。
本書で語られているのは、一口に言えば「手紙の書き方」。それゆえ、どちらかと言うとブログや論文といった長文よりも、ビジネスメールやSNSの使い方につながる指摘が多いように思います。本書に書かれた “一寸したこと” を意識するだけで、いとも容易く人生は変わる。
【6位】あなたの話はなぜ「通じない」のか/山田ズーニー
3月に読んだ、山田ズーニーさんの人気本。例年ならばもっとコミュニケーション云々の本を読んでいてもおかしくないのに、2016年はこちらの一冊くらいしか読まなかったような気がする。言い換えると、それほどまでに斟酌して納得できる内容だった、とも。
発売は2006年ながら、まるでその後のSNS全盛の時代を見据えていたかのような「メディア力」という言葉がキーワード。実際、対面コミュニケーションのみならずネット上でのやり取りや情報発信にもそのまま当てはまりそうな内容で、いろいろな面で参考になりました。
【5位】文章は接続詞で決まる/石黒圭
先ほどの『新しい文章力の教室』『十頁だけ読んでごらんなさい(略)』に続く、「文章術」の関連本。2016年に書いた書評記事のなかでも特にブックマークが集まったこともあり、多くの人に買っていただいたのかもしれません。
ほかの記事でも書きましたが、僕自身、それなりに影響を受けた本。文章のハウツー本のなかでも「接続詞」に絞って論じられた内容ということで、日常的に実践しやすかったんじゃないかしら。巻末には索引も用意されている親切設計なので、手元に置いておきたい一冊です。
【4位】23歳ゆとり、1年半で会社を辞めました/けいろー
2015年夏にノリで作ってみた電子書籍。相も変わらず雑な表紙がこっ恥ずかしいものの、それなりに買って読んでいただけているようで、本当に嬉しいかぎりです。
さすがに最近は売り上げも落ちてきて、ここ数ヶ月は月に10冊売れないくらい。Kindle Unlimitedでダウンロードされている形跡も見受けられるものの――月の収入は、小学生のおこづかいほどといったところでしょうか。暇があれば、また別に出版してみたい気もする。
【3位】君の名は。 Another Side:Earthbound/加納新太
Kindle版ではなく、紙の本がやたらと売れていた一冊。世界的ですもんね。乗るしかない、このビッグウェーブに。映画『君の名は。』の外伝であり、乳に始まり、父に終わる短編集。
本作の魅力はなんぞと言えば、単なる「本編を補完する外伝小説」以上の、「本編に別視点と新たな文脈を加える設定本」になっている点だと思う。本書を読んでから映画を改めて観ることで、『君の名は。』世界がより魅力的に感じられる内容。すべては乳と父の御業よ……。
【2位】なぜ、この人と話をすると楽になるのか/吉田尚記
感想記事を書いたのは2015年の4月であるにも関わらず、よく売れている一冊。2015年末のまとめ記事でプッシュしたのと(関連:2015年発売の30冊!おすすめ本のジャンル別まとめ)、何度かKindleストアのセール対象になっていた影響が大きいかも。
筆者は、自分のなかでは “ひらがなの方のよっぴー” こと、アナウンサーの吉田尚記さん。コミュニケーションをゲームに例えた切り口は非常に読みやすく、実例を交えた話題展開もわかりやすい。ちょうど今、Kindleストアで半額近い値段で買えるようなので、興味のある方はどうぞ。
【1位】世界を変えた10冊の本/池上彰
堂々の1位は、池上彰さんの『世界を変えた10冊の本』。こちらもブログで取り上げたのは2015年ですが、やはり何度かKindleストアのセール対象本になっていたようなので……。ちなみに、2位との売上数の差は1冊でした。
感想記事でも書いていますが、僕自身はこの “10冊” のうち1冊たりともまともに読んだことがなかったため、「知らねえ! けどおもしれえ!」という流れで感想をまとめた感じです。その後、『アンネの日記』をパラ読みしていますが――たしかにこれは、前提を知ってから読むとおもしれえ! 手を出しづらい名著について、池上さんが「読み方」を教えてくれる本です。