染谷さんの本を読むのは3冊目。
ブログ初心者のころに『ブログ飯』で基礎を学び、先日は『世界一やさしい ブログの教科書 1年生』をご縁あって献本いただき──そして今回は、コンテンツマーケティングの話。この前のブロガーズフェスティバルのじゃんけん大会で勝ち取った1冊です。わぁい!
とはいえ、別に「Web担当者」というわけでもない自分。あまり縁のない分野の内容かと思いきや……読んでみたところ、あらびっくり。自分のよく知るコンテンツ論であり、お世話になっている界隈での方法論であり、ともすればブログ初心者向けのハウツー本ですらありました。
スポンサーリンク
「コンテンツは王様だ」から始める、マーケティングの手法
タイトルを一瞥しただけでもわかるように、本書のテーマはずばり「コンテンツマーケティング」。
それも “常識” と銘打っており、基礎中の基礎から丁寧に紐解いた内容となっております。「マーケティング? なにそれ食べれるの?」レベルの人にもやさしい書き口かと。
コンテンツマーケティングという言葉になると馴染みがなく感じられますが、現実社会でも昔から数多くの場面で行われてきました。例えば、病状について親身に教えてくれるお医者さん。例えば、決算時の経費算出や節税対策について丁寧に指導してくれる税理士さん。新鮮な野菜を並べて、さらに美味しく食べられる調理方法まで教えてくれる八百屋さんなど、日常生活の中にもコンテンツマーケティングは溶け込んでいます。
(染谷昌利『小さな会社のWeb担当者のためのコンテンツマーケティングの常識』P.018)
個人的な印象ですが、それこそ「(Web)広告業界のことを1ミリたりとも知らない、これから業界研究をしようという就職活動生」あたりにも勧められそうな内容。
そもそもの「コンテンツマーケティング」や「コンテンツ」とはなんぞや、という部分から始まり、具体的なウェブメディアの事例も交えつつ、1冊を通して「コンテンツマーケティングのいろは」を学ぶことができる。中途半端に知識がある自分も、納得しながら読め進められました。
目次
- コンテンツマーケティングの基本
- 人を呼びこむ情報発信術
- 伝わるコンテンツ作成術
- 注文したくなるランディングページの作成術
- 継続のための運用術&効果測定術
本書は5章構成。
冒頭では「Google が掲げる 10 の事実」を引用しつつ、今も昔も「コンテンツ」こそが最重要事項── “Content is King” であると示したうえで、如何にしてサイトに人を呼び込み、有益なコンテンツを提供し、結果に結びつけるかを、順を追って解説しています。
個人ブログにも通じる、「有益なコンテンツ」の作り方
具体的な内容はぜひ手に取って読んでいただきたいのですが──読みながらふと抱いたのが、「あ、ここに書かれていること、だいたいブログにも当てはまるっぽい」という感想*1。──オウンドメディアが事例として挙げられているので、当然と言えば当然なのですが。
前半で繰り返される「価値 = 人の役に立つ情報 × 希少性」の等式に始まり、コンテンツ作りの基本となる考え方や継続すること、ただ読んでもらうことを目的にするのではないゴールを見据えた読者目線の原則に、情報の適切な伝え方やメディア運用術──などなど。
どれもこれもが自分のよく知る「ブログ」に置き換えられるように感じたんですよね。
コンテンツ作成のための4つのステップ
- 自分(自社)の独自性や特徴、得意分野の棚卸しをする
- 想定読者の見える化をする
- 潜在的顧客(見込み客)の気づき、既存客のフォローとなる内容を抽出する
- コンテンツ化する
(染谷昌利『小さな会社のWeb担当者のためのコンテンツマーケティングの常識』P.070)
自分が文章を書くことにより、どのような読者層が喜んでくれるのか、価値を感じてくれるのかを前もって想定しておくことで、言葉遣いや記事の内容をコントロールする指針となります。
(染谷昌利『小さな会社のWeb担当者のためのコンテンツマーケティングの常識』P.072)
たとえば第3章で前提として語られているこれら要素は、そのまま「ブログ」に当てはめることができるはず。第4章のランディングページ作成術にしても、少し応用するだけでアフィリエイト記事の構成や文章の書き方の参考にできそうです。
少しでもブログを運営したことがある人ならきっと、「あの記事やこの本で読んだところだ!」と、進研ゼミのダイレクトメールのマンガ並みにピンとくる内容なのではないかしら。しかもネット上で勉強しようとすると、個々の独立した記事でざっくばらんに語られている印象も強い手法が、1冊の本で順を追って学べるというすばらしさ。わぁい!
それゆえ本書は、何らかの目的を持ってブログを運営している人にもおすすめできる1冊だと思います。ネット上に散らばっている、要領を得ない「ブログ論」に右往左往させられるくらいなら、この手のハウツー本を読んだほうがよっぽど役に立つ。
あと、ブログを続けていると他のウェブメディアから寄稿・執筆のお誘いをいただく場合も出てくるんじゃないかと思いますが、そこでは本書の第5章部分が参考になるように感じました。
というのも、ここで取り上げられていた「記事の仕様書」やら何やらが馴染みのあるものばかりで、「ライターの仕事でよくお願いされるやつだー!」と読みながらひとりで納得していたので。「編集さんたちは、こういったポイントを考慮しながら執筆依頼・編集・運営をしていたのかー」と、メディア運営者側の視点を再確認することができました。勉強になった。
関連記事
- 『ブログ飯』よりも、まずは楽しくブログを書こうぜ!
- 17人の先輩プロガーから学ぶ『世界一やさしいブログの教科書1年生』
- フェイクニュースの問題と、ネットメディアの最新事情を概説する『ネットメディア覇権戦争』
*1:ここで言う「ブログ」とは、「日記」としてではなく「メディア」としての性質を色濃く持つもの、収益化やブランディングなどの目的を方針として掲げているサイトを指します。