「ブログで飯を食う」と言うと、胡散臭さを感じる人は少なくないと思う。アフィリエイト、まとめサイト、情報商材などなど、ブログに限らず「ネットで稼ぐ」ことに関しては、どうにも懐疑的な視線が向けられがちだ。
その手のハウツー本も、同様のイメージを持たれているのではないかしら。たとえ真っ当な稼ぎ方であったとしても、そこに記されているのは、先駆者たる成功者の例でしかない。小手先のテクニックを真似ることはできても、同じようにうまくいくはずがない。
そんな中で、本書『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』は、非常に読者目線、ブロガー目線の内容となっており、一読する価値のあるものであるという感想を抱きました。ぶっちゃけ、タイトルで忌避感を覚えてました、すんません。読まず嫌い、良くない。
というわけで、ブログ関連の書籍を読んでいる方からすれば今更感もあるとは思いますが、染谷昌利さんの著作『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』の感想を記事にしたためました。
「当たり前」の再確認
さて、本書の何が親切設計かと言うと、コンテンツの最初、「本書を読む際の注意点」の時点で、次のような文言を放ってしまっているという点。
最後にお願いです。本書を読むうえで、頭の中に入れておいて欲しいことが3つあります。
ひとつめは、「鵜呑みにしない」事です。
この本で紹介しているのは、「私にとっての」成功(失敗)事例であり、必ずしもあなたの状況に一致するとは限りません。この本に書いてある事をそのままコピーするだけでは、決してあなたの力にはなりません。必ず自分の状況に照らし合わせ、自分の頭で考えて、私の事例は、自分にとって必要な情報なのかを判断した上で活用してください。
当たり前と言えば、当たり前。「疑って読む」ことを読書の基本として説明する人も少なくはありませんが、その点をハウツー本で自ら示すというのは、なかなか見られない光景かと。言わば、読者に“身構える”ことを勧めているわけなので。
この、“3つのお願い”。残り2つは、次のようなものです。
ふたつめは、「人との違いが価値である」ということを認識する事です。
著者自身の経験をありのままに記した上で、具体的なテクニックはほとんど説明せず、読者各々が独自の価値観のもとで、本書を参考としてもらえれば幸い、という。
みっつめは、「すべて最初からやろうとは思わない」事です。
再読のススメ。これからブログを始める人、既に始めて慣れてきたくらいの人、途中で躓いてしまった人、などなど、様々な段階の人に“刺さる”ようなコンテンツ構成を心掛けた。という。
以上の前提を踏まえた上で、既存のブログや先駆者的ブロガーを真似するのではない、自分だけの個性を持ったブログを作り出すこと。本書ではその手助けをするべく、筆者の経験と考え方を段階的に、明瞭に書き記したものとなっております。
目次とざっくり内容
本書の目次は、このようなもの。
第一章 私が「ブログ飯」になるまで
第二章 ただのブログを「飯が食えるブログ」に変える
第三章 継続して成果を出すブログの違い
第四章 個人でお金を稼ぐということ
第五章 SNSことはじめ
第六章 突き抜ける技術
第一章は、筆者の経歴を簡単にまとめた内容。そして、その最初の成功パターンとして、“「新しい商品/サービスがリリースされたら誰よりも早く、誰よりも詳しく、誰よりも多くの情報を提供する」”という点を説明しています。
第二章では、ブログ運営をするにあたって、考え方の根幹と、基本的な方法論を解説しています。基本とは言え、最も大事な部分。僕が本書を読み進める中で、共感する点が特に多かったのが本章となります。
続く第三章は、応用編。個性的で面白いブログとは。ファンが増えないときの考え方。ブログを魅力的に積み上げるために必要な、時間と、経験と、努力。それさえ怠らなければ、“「飯が食えるブログ」は誰でも作れる”と断言しています。えー、ほんとー?
第四章は、ブログにまつわる「お金」についての視点。躊躇わず自己投資に踏み切ることの重要性。価値を生み出す、他者との違い・差。一箇所に留まらず、次々と新たなブルーオーシャンを開拓していく積極性。などなど。
第五章は、SNSの活用法。何よりも大切なのは「共感」であると説いた上で、FacebookやTwitter、そしてはてなブックマークなどの各サービスを、バランスよく使っていくことを勧めています。具体例として、LIGブログに関するコラムも。
第六章、最終章は、これまでのまとめと、ブログが伸びないときに“突き抜ける”ための考え方。地道な努力で自らの土台を作り、外に出て経験を積み、常にその時点でのベストを尽くし続けることによってこそ、自分だけのオリジナリティが担保される、と。
楽しく、個性的なブログを続けるための考え方
本書の内容を無理やり、ひとつの単語でまとめようとすれば、「独自性」あるいは「個性」と言い表すことができるのではないかしら。少なくとも、僕はそのような印象を抱きました。
この、「人との違い」「差」をいかに大きくしていくかが重要なのです。差が大きければ大きいほど、感謝の度合いや満足度、そして収益性が変わってきます。成果を出せるようになったら、次は他人との違いをいかに大きく出来るかを意識して生活することで、さらに1つ上のステージに踏み出すことができるようになるはずです。
では、価値のある情報を生むためにはどうしたらいいのでしょうか。 それは人との「違い」や「差」を極大化することです。第3章でも「違いこそが価値」となることを書きましたが、このギャップが大きければ大きいほど、得られる収益も大きくなります。
本書の中では繰り返し、この「違い」と「差」という言葉が登場します。同じもの、よく見るもの、当たり前のものが再度、目に触れたところで、新鮮さは感じない。
ただ、だからと言って、別に特別な経験や技能が必要なわけでもなく。文章や語り口には、その人独自の経験や個性といったものが「違い」や「差」として、自然と現れてくるものだと思います。コピペでもしない限りは。
これも「視点を変える」ということの一つです。写真を撮ることが得意な人や話すことが得意な人、絵を描くことが得意な人など、人間にはそれぞれ特性があります。その自分の得意な点を最大限活かして、自分だけのブログを育てていくことが一番重要で、楽しく続けられる秘訣です。
そして、その「違い」や「差」を大きくし、ブログにより大きな価値を持たせるためには、学びながら試行錯誤し続ける努力と、自身に個性をもたらす経験が必要になってくる。
この中で一番大事なのは、「文章を書くのが好き」かどうか。上手かどうかは問題ではありません。読みやすさ、表現方法、内容の深みなどは、続けていくこと、勉強していくことで少しずつ向上していきますから。アクセスアップや収益の話は二の次で、最初は、自分の好きなことを書いてみて、読者と交流しながらブログ運営の楽しさを感じてください。まずは、楽しく書き続けられるテーマを見つけること、実際に続けることが先決です。
根っこを鍛えるには、ごく単純ですが、とにかく体験することです。実感に裏打ちされた文章には、体験した人間でしか書きえない臨場感があります。文章に説得力が増すのです。ちょっと検索して知った気になっている人間が書いたものと比べると、それは一目瞭然。ブログ全体の魅力にもつながります。
いろいろな本を読み、いろいろな場所に行き、どうやったら読みやすい記事になるのか考え、ブログのレイアウトを変更するためにHTMLを学んだ経験は、あなたの中に蓄積されています。この根っこの部分がしっかりしていれば、根っこの鍛え方を知ってさえいれば、新しいブログやサイトをいくらでも作ることができるようになっているはずです。一方、コピーしかやっていない人はコピー&ペーストのスピードは上がるかもしれませんが、自分自身で何かを創りあげる能力はまったく向上しません。この差は本当に大きいですよ。
このように、本書は『ブログ飯』と題しながらも、その内容はどちらかと言えば、「楽しく、個性的なブログを続けるための考え方」といったイメージの方が近いように感じました。「ブログ、楽しいぜ!だからみんなもやってみようよ!」的な。
その点、個人的には、ものっすごく共感できました。「ブログ論」と言うと、どうもアクセスアップのための方法論とか、SEO対策にはどういう構成で何文字の記事を書けばいいとか、そういうものばかりの印象。楽しくないし、縛りが多すぎる。
それより、たとえ「当たり前」のことであっても、それを自分なりの視点と経験をもって、その人だけの「ことば」で語ることの方が大切だし、やっていて楽しいんじゃないかと思う。そうすれば、アクセス数や魅力といったものも、後で自然とついてくるんじゃないかと。
僕がブログ云々の話をするとき、頻繁に「好き勝手」という表現を使うのも、縛られたくないから。もちろん、常に好き勝手やっていては人も集まらないし、読者目線の文章を書けるとも思えないけれど。それでも、自身の色を隠すことはしたくないし、楽しく続けたいので。
というわけで、『ブログ飯』の感想記事兼、僕にとっての「ブログ論」と、さらに宣伝でした。楽しまにゃ―、ソンソン!
余談
理解しやすい文章のコツとして、一つの記事で伝えたいことは一つ内容に絞り、書き出しと文末を最初に決めておくことが重要です。特に大事なのが文末。ブログテーマに沿った内容でまとめるように注意する。1000文字を超えるような長文になりそうな場合、記事を分ける。これを意識して中身を書くだけで記事の内容に統一感が出ます。
自分の文章が冗長でまとまりないのは自覚してるつもりだけど、世間的に見て、“1000文字”って長文なんすか……?常に3000字オーバーの僕はどうすりゃいいのだ……。