『Rewrite』って?
7月から放送されるテレビアニメ『Rewrite』は、2011年に発売された同名ゲームを原作とする作品です。『CLANNAD』や『リトルバスターズ!』でもおなじみのゲームブランド・Keyの作品であり、「笑えて、泣ける、でもそれだけじゃない」という形で、そこそこ好評を得ていた印象。
もともとKeyの影響でオタク文化に足を踏み入れた自分としては、絶対に外すことのできない作品であり、今回の舞台挨拶・先行上映会にも速攻で申し込んだのでございました。原作ゲームをプレイしたのは5年前ですが、寝る間を惜しんでのめりこんでいた記憶があるくらいなので。
原作は一気読みするくらいには好きだったので、期待。世界観の構成と、バトル描写がどうなるか、かしら……。 / 他13コメント http://t.co/rfLx0EI6cj “TVアニメ「Rewrite」公式サイト” http://t.co/bIQPZcMyog
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2015年9月27日
アニメ公式サイトの開設当時を振り返ると、自分はこんなツイートをしていた模様。原作は各ヒロインごとにシナリオが(一応は)独立しているし、世界設定や時間軸が割と複雑なため、「映像化できるんかいや……」という不安ががががが。動画にすれば映えるのは間違いないのだけれど。
原作ゲームでメインシナリオと世界設定を担当したのは、『CROSS†CHANNEL』や『人類は衰退しました』の田中ロミオさんであり、奥深くメッセージ性の強いシナリオが話題に。他には『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07さんと、『リトルバスターズ!』の都乃河勇人さんも個別シナリオを担当。これだけの面々がそろえば、その出来栄えは言うまでもないでしょう。物語終盤は徹夜で読み耽り、鼻水を垂らして泣きじゃくり、ラストの盛り上がりは最高としか言いようがなかった。
【Key】Rewriteオープニングアニメ - YouTube
そんな『Rewrite』のアニメ化に際して監督に抜擢されたのが、天衝(田中基樹)さん。近年は『きんいろモザイク』や『グリザイア』シリーズなどを手がけていますが、そもそも原作ゲームでもオープニングアニメを担当。安定と信頼の人選でございます。
――というか、今日の舞台挨拶を聞いていたかぎりでは、むしろ天衝監督ご自身が全力で「やる!!!!」と勢いづいていたらしく、自らプロデューサーを説き伏せるなど、アニメ化のために奔走されていたそうな。その勢いたるや、舞台挨拶で登壇していた構成・脚本協力の魁さんに、「Rewriteへの愛が重すぎる」と言わしめるほど。しゅごい。
PC版Rewriteの発売から5年という事は、僕も2ndOPアニメをお手伝いさせて頂いてから6年近く経つって事になるのか。。当時からずっとアニメ化したいと周囲に言い続け、ようやく実現した今回のアニメ化なので、何だか感慨深いな。
— 田中基樹 天衝 TENSHO (@tensho_tw) 2016年6月23日
1話から“アクセル”全開、大盛りギャグとガチ戦闘シーン
で、肝心の先行上映会。Twitter上でもちらほらと原作プレイ組の感想が確認できますが、僕もまったく同じ想いです。
軽くヒョヒョイと期待値を超えてきただけでなく、ギャグ要素に関しては大幅パワーアップ。別にギャグアニメでもないのに、1話であんなにも「笑い」をぶっこんでくるとは思わなかった。原作を読んでいるからというわけではなく、純粋な「ギャグ」としてむっちゃ笑ってた。
かと思えば、細部では既プレイだからこそ気づける演出や、Key作品を知っていれば笑えるポイントもちらほらあり、ファンサービスもばっちり。その点、上映会ではかなり大きな笑いが起きていたので、「やはりみんな鍵っ子か……!」と察することができてしまった格好。おまえもか。
また、原作を読んでいる人は知ってのとおり、学園コメディと言うよりはアクションファンタジーとしての印象も強い本作。その内容と言えば、森田さんが「(かわいい女の子を見たい人は)残念だったな! このアニメはなぁ! 格闘アクションモノなんだよぉ!」と今日イチの良い声で叫び、上映後に登壇した原案・樋上いたるさんも「学園恋愛ゲームの皮を被った格ゲー」と仰るほど。
つまり、逆に前半は日常学園モノとしての要素が色濃いため、1話でギャグ多めの日常模様が繰り広げられるのは、必然と言えば必然です。上映会でも、このまま区切りの良いところで終わるのかと気楽に見ていたのだけれど……やはり、わざわざ第1話を1時間スペシャルにするだけはあった。
終盤、ガチの戦闘シーンをぶっこんできて「うおっほー!」となっておりました。敵のサイズ感といい、場所といい、まるでラスボス戦かのような勢いでしたが、本作的には中ボス(?)戦。ただし、やたらと動きおる。雑魚相手でアレならば後半はどうなるのと、か否が応でも期待が高まります。
翻って日常シーンに関しては、キャラクターのかわいらしさは言うまでもなく。淡い色彩のほんわか絵柄に、声優さんの演技も相まって、とにかくかわいい。ただでさえ原作でもゆるふわほんわか森ガールのヒロイン・神戸小鳥(CV.斎藤千和さん)に動きが加わり、もはや最強に見える。
上映後のトークでも脚本の魁さんが「健康的なエ口ス!」と仰っておりましたが、まさしく。というかゲームプレイ中にも常々思っていたんですが、女子の制服……えっちすぎるよね……。リアルにあったらアカンやつよね……。あと、フーキーンが最高にかわいかったです、はい。
とは言え、キャスト&スタッフのみなさんも話していたように、学園コメディだけでは終わらない本作。『Rewrite』という作品を通して読み終えてみれば、紛れもなく「主人公・天王寺瑚太朗の物語」であり、メッセージ性の強い熱血(?)ヒーローモノとなっております。
独特の世界設定や重苦しいテーマをはらんでいる一方、本筋は王道の少年漫画としての要素も強く、なかなか幅広い層に勧められるアニメになっているのではないかしら。主人公のコタさんもそうだけど、男性キャラ陣がみんなかっけぇんすよ……YOSHINOとかマジでキングっすよ……。
そんなこんなで、原作組の感想としては「最高だった!」と、自信を持って断言できる1話でございました。大スクリーン&良音響による補正もあったかもしれないけれど、原作ファンとしては大満足。ニコニコ動画向きであるようにも感じました。新曲がどこで使われるかも楽しみ。
かと言って、完全にファン向けかと言えば決してそんなこともなく。台詞による説明以外の面からも、全体の世界観やキャラクターの背景をそれとなーく示しているっぽい演出が目に留まり、初見さんにも優しい1話になっていたのではないかしら。ちょいちょい回想を小出しにしていたり、校門によじ登るコタさんが妙に人間離れした動きをしていたり。――まずは1話をぜひ!
『NEW GAME!』『あまんちゅ!』『orange』『この美術部には問題がある!』など、マンガ原作の注目作品が多い夏アニメですが、個人的には『Rewrite』も推していきたいところ……! 途中からは原作にないルートへ突入するという話なので、今から楽しみです。乙月杯日(・人・)かな?
あと関係ないけど、岸田教団作のイメージソング「Rewriter」もいいぞ。