Twitterで話題のスマートフォンアプリ『ひとりぼっち惑星』。ドット調のフォントといい、シンプルかつ記号的な全体のデザインといい、「あー、こりゃあ間違いなく好きなやつだー」と思いながら眺めていたのですが、耐え切れず試しにインストール。
アクション要素はなく、特別な操作も必要なく、放置しているだけでも遊べる暇つぶしゲーム。少なからず好きな人がいて惹かれるであろう終末を迎えた世界観に、 “メッセージボトル” の要素を追加。自由に遊べて、SNSとの親和性も高い、素敵なアプリでございました。
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ひとりぼっち の わたし と あなた
ひとがもういない惑星。
そこでは、ジンコウチノウたちが戦争を行い、お互いを壊し合っています。
惑星にひとりぼっちのいきものは、ジンコウチノウの部品を拾って、アンテナを少しずつ拡張しながら、宇宙からのこえを探します。
送信機をつくると、あなた自身のこえを宇宙に送ることができます。
アンテナを最大まで拡張すると、だれかのこえを受信することができます。
ひとりぼっち の あなた の こえ は
ひとりぼっち の だれか の もと に とどきます
ひとりぼっち の だれか の こえ は
ひとりぼっち の あなた の もと に とどきます
説明らしい説明は、ほぼこれでおしまい。あとはゲーム中のチュートリアルに従い、流れを覚えたら、お互いを壊し合っている “ジンコウチノウ” から部品を回収し、それを消費してアンテナや追加機能を拡張しつつ、どこからか届くメッセージを受信する、ただそれだけ。
――と言ってしまえばそれだけの内容なのですが、宇宙から送られてくる「こえ」がまた、物語性を帯びていておもしろい。惑星が壊滅するに至った過程や、そこから旅だった人間たちの悲喜こもごも。語られる物語は数少ないけれど、なかなかに妄想がはかどる素敵な世界観です。
ゲーム中で用意されているメッセージは、おそらく(今のところは)6つのみ。すべてを解放すると、次からは別のプレイヤーからの「こえ」を受信することができるようになります。
――そして、ここからが本番でござる。
そうさく にっき なやみ まめちしき なんでもござれ
『ひとりぼっち惑星』は、別プレイヤーからのメッセージを「じゅしん」し、同じく自分からも「そうしん」することができる点が、まず魅力のひとつ。
ただし、ユーザー名や個別IDのようなものは存在しないため、お互いに匿名であり、送信先はランダム。返信も不可能という、完全に一方通行にしか「こえ」を届けられないという点が大きな特徴となっています。双方向性のあるメッセージボトル系アプリとは、ちと違う。
加えて、そのメッセージ……もとい「こえ」がまた独特。入力できるのはひらがなオンリーとなっており、あとは辛うじて「!」「?」「ー」の記号が認められているのみ。
句読点すらないので、空白で単語や文節を区切るという、ひと昔前のゲームのような形式になっています。……さすがに、「゛」(濁点)も一文字として数えるほどではないけれど。
おっ? SFっぽい設定の、素敵なメッセージを受信したかな? ……と思ったら、悲しいお話だった。それは、一部の特権階級にしか許されていないんやで……。 #ひとりぼっち惑星 pic.twitter.com/AVDCOhsEWD
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2016年6月24日
で、これらの「こえ」はTwitter上のハッシュタグ「#ひとりぼっち惑星」からも見ることができますが、これがむちゃくちゃ多岐にわたっていておもしろい!
上記ツイートのようにネタっぽいのが多いかと思いきや、意外とそういうわけでもなく。日常の出来事や悩み事を書き綴った日記があり、世界観に同調するように宇宙船からのメッセージを模した文章もあり、さらにはちょっとしたライフハックや、おすすめのアニメの話まで。
危機的状況過ぎる#ひとりぼっち惑星 pic.twitter.com/giihdCTNLu
— 糸崎 (@Kandata_signal) 2016年6月24日
詠唱を じゅしん したので、
— 三椏屋 (@mitsumataya) 2016年6月24日
固有結界を発動させてみました。#ひとりぼっち惑星 pic.twitter.com/1sT1peV1Ew
こうして見ると、『ひとりぼっち惑星』というゲームとしての「世界観」に加えて、「ひらがな」というフォーマットや表現上の制限があることによって、絶妙なおかしさを生み出しているようにも見えますね。
さらには、SNSで共有するための配慮なのか、スクリーンショットのボタンを画面中に用意している点も特徴的。実際、Twitter上ではそこそこ話題になっているようですし、誰かがネット上に投稿することを前提とした「大喜利」っぽさまで出てきているようにも見える。
ハッカ油こわい……気をつけます:;(∩´﹏`∩);:
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2016年6月24日
ってか、このままブログ記事にできそうな文量とクオリティだ……。 #ひとりぼっち惑星 pic.twitter.com/X9KeeH2aYc
ちなみに、この送受信できる「こえ」。画面上で数えてみたところ、 横17文字×縦8列×50ページ=6,800文字 まで入力できるみたいです。もちろん、ひらがなオンリーという縛りありですが、それこそブログ記事並の文量にならなくもないし、ちょっとしたSSなら送り出せそう。
がっつり遊ぶようなゲームでなく、やり取りの流れが速いSNSでもなく、ときどきメッセージを送受信して楽しめるアプリとして、この『ひとりぼっち惑星』は良い立ち位置にあるように感じました。たまには、どこの誰かも知れない人の「こえ」に耳を澄ませてみるのも、悪くない。
具体的なゲーム内容に関しては、以下の「もぐらゲームス」さんの記事がとてもわかりやすいので、興味のある方はぜひ!