冷たい出汁でズルズル食える「伝説のすた丼まぶし」を掻っ込んできた


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 「すた丼」が好きです。ニンニク醤油ダレの癖になりそうな味わいは言うに及ばず、あのボリューミーな丼ぶりを見ると、気分が高揚する。動きまわり、疲れ果てた1日の終わりにすた丼をかっ食らうと、みるみる元気がわいてくる……ような気がするのだ。

 もともと、同年代の男性と比べて少食ぎみな自分にとって、大盛り&マシマシ系の食べ物は敬遠しがちなジャンル。けれど、すた丼の並盛りは意外とちょうど良いくらいのボリュームに感じるのです。他のお店だと「腹いっぱい!」と匙を投げそうになる場面でも、すた丼ならイケる。

 もしかすると、生卵に漬け物、味噌汁にその他調味料など、ずっと同じ味で飽きさせない要素がある点も大きいかもしれない。ニンニク醤油ダレ自体も、“しつこい”系の味とはあまり感じませんし。ニンニクはちょっと……というときには、生姜丼の選択肢があるのもありがたい。

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 そんな「すた丼」との付き合いはそこそこ長く、学生時代にはすでにお世話になっていた。さらに、就職してからはむしろ足を運ぶ回数が増え、週末に食べるすた丼が楽しみだったくらい。見知らぬ土地での肉体労働で疲弊した身体と精神に、すた丼が一種の活力源となっていた格好。

 平日はひぃひぃ言いながら働き、週末はド田舎から電車で遠出してスーパー銭湯に癒され、帰り際にすた丼を掻っ込む。“一人酒”にさほど魅力を感じない自分にとっては、お店で運ばれてきた丼ぶりに向かい、生卵を割るあの瞬間が、最高に“休日の晩餐”という感じだったのです。

 ――と、思わず“すた丼語り”をしてしまったけれど、そんなことより「すた丼」だ! 普段はあまり別メニューを頼まない自分ですが、夏季限定メニューとして登場した新商品が気になったので、某日夜にかっ食らってきました。最高にうまかったぜよ……。

 

出汁やら薬味やらを存分にぶっかけて掻っ込む「野郎の肉茶づけ」

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 問題の新商品がこちら、「野郎の肉茶づけ」こと「伝説のすた丼まぶし」でござる。5月20日から販売が始まっており*1、Twitterなどを見ても、ちらほらと「食ってきた!」の報告がすでに挙がっている様子。――乗り遅れた感じだけれど、食うなら暑い日がいいんじゃ! たぶん!

 価格は850円(税込)と、そこそこ良いお値段。スタンダードな「すた丼」の並盛り・630円と比較しても、若干のお高さを感じなくもない……けれど、過去の限定メニューも同程度だったことを考えると、こんなもんかな、とも。1,000円以内でお腹いっぱいにできるわけですし、安い安い。

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 というわけで、伝説のすた丼まぶし(850円)です。店内がぼちぼち混雑していたわりには、結構早く出てきたのでありがたい。焦るんじゃない、僕は腹が減っているだけなんだ。

 おなじみの「すた丼」本体と味噌汁、卵に加えて、白醤油出汁の入った容器と、各種薬味が乗せられたお皿がセット。薬味は、海苔、万能ネギ、あられ、ワサビという組み合わせでござる。

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 まずは普通に、すた丼をいただきます。大量の豚肉の下に埋もれた白米先輩をすくい上げつつ、お肉と一緒にモグモグ。歩き疲れて目が死んでいた自分も、数ヶ月ぶりの味わいに思わずにっこり。これだよ……! HPというより、MPがみるみる回復していく実感がある。

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 まったく手を止めることなく半分程度まで食べ進めたら、ここでようやっと真打ち登場。白醤油出汁先生の出番です。「ダシは半分くらいぶっこんでね☆」という店内の説明書きに導かれるまま、ドバドバと液体を投入。こみ上げる謎のワクワク感。

 かるーく全体になじませるように混ぜあわせたら、レンゲを使っていただきます。すると、「こいつ、冷たいぞ!?」と、思った以上にひんやりした味わいにびっくり。いや、見た目からして温かい出汁とは思っていなかったけれど、想像以上に冷たい食感だったので。

 ホカホカごはん&豚肉に、ひんやり出汁のコラボレーション。一口目は「どないやねん……?」と半信半疑で味わっていたのですが、二口、三口と箸……じゃなくてレンゲを進めるうちに、気づけば夢中になっていた。出汁によって“あっさり感”が加わり、最強に見える。

 ニンニク醤油+白醤油出汁という、しつこいように見えてあっさりすっきり、本来の旨味が良い具合に薄められ、そこにプラスアルファの味わいが加わった、素敵な肉茶づけ。そろそろ胃が訴え始めていた満腹感を忘れるほど夢中になって吸い込んでいたけれど……まだ終わりじゃない。

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 残った薬味を、忘れないうちにぶっかけた図(全部ではない)。これによって見た目も“茶づけ感”がマシマシになったけれど、口に入れてみると――明らかに違う。第三形態だ!!

 一口に言えば、全体的に“あっさり感”をさらに増すような味に変化。さらに、出汁を投入したことで“液体っぽさ”が強くなった丼ぶりの中に、再び“固形物っぽさ”を取り戻すような食感に。……要するに、「これ、まんまお茶漬けだー! あられがカリカリだー!」という感想。

 ここまで来れば、ラストスパート。あとはうめぇうめぇ言いながら掻っ込むのみ。お腹もいっぱいになりつつあるなか、店内には絶賛放映中のアニメ『マクロスΔ』の「一度だけの恋なら」が流れ出し、丼ぶりを啜る自分のテンションもMAX。……ドッグファイト(犬食い)だ! ルンピカー!

 ――そんなこんなで、飯粒ひとつ残さず完食。ごちそうさまでした!

 冷たい出汁が夏場にぴったりの味わいであることは間違いないけれど、一方では、温かい出汁でも食べてみたいとも感じました。この辺は各々の好みによるのだろうけれど、温かい出汁と合わせても絶対にうまい……はず。夏場にアツアツのお茶漬けというのも、オツじゃありません?

 ともあれ、1回きりというのももったいない、何度か繰り返し食べてみたいと思える「伝説のすた丼まぶし」。販売期間中に、あと2、3回くらいはジュルジュルしたいところ。いつまでやっているのかはわからないけれど、クソ暑い真夏日に食べたら最高だろうなあ……。

 

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