「ひさしぶり。はじめまして。」


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 挨拶いろいろ。
 出会いもいろいろ。
 関係もいろいろ。

「ひさしぶり。はじめまして。」

 これまで20年ちょっと生きてきた中で、こんな挨拶をした記憶は他にありません。

 ──いや、だって、おかしいでしょう。「ひさしぶり」という挨拶は、相手のことを知っていて、これまで会ったことのある人に対して使う言葉のはず。そのあとに続くのが、初対面におけるお決まりの文句である「はじめまして」だなんて、わけがわからない。

 こんな挨拶を使うケースを考えたら、それこそスピリチュアルな方向に持っていかざるをえないじゃないっすか。「やあやあ我が同胞よ、前世以来──100年の久方ぶりだね」「おうおう貴君であるか、今世ではお初にお目にかかる」なんて。……うーむ、限りなく怪しい。

 もちろん、僕はそのように前世の記憶を持っている人間ではないし、かと言って、タイムリープを繰り返すどこぞのマッドサイエンティストでもなく、閉ざされた寒村でお祭りの夜に殺される運命を背負ったボクっ娘でもなく、ほむほむでもございません。にぱー☆

 ──じゃあ、どういうこっちゃねん。

 単純な話です。先日の某イベント会場で出会った人が、過去にブログを運営していて交流のあった人であり(※現在は閉鎖)、なおかつ彼と僕がリアルで顔を合わせるのが初めてだったという話。

 そこで自然に出た挨拶が、これでした。
 「ひさしぶり。はじめまして。」と。

 いや、実際のところはもっとしどろもどろでしたが。「あっあっ! ○○さん!? 知ってます知ってます! お久しぶりでs……あっ、違うや、リアルでは、はじめまして、ですねっ! おうふwww」って感じ。なにこれキモい。

「ネット」「リアル」「友達」「知り合い」で規定できない関係性

 振り返ってみれば、ブログやネット上でつながった人と現実世界で会って話をするようになってから、およそ1年半。世代に関係なく、いろいろな人と話をする機会があったけれど、たびたびこの手の一風変わった出会いがあるのはおもしろい。

 高校生の頃からモバゲー、mixi、Twitterと各種SNSを使ってきて、いわゆる「オフ会」に参加することは何度もありました。最近はそのつながりの友人の結婚式の二次会に参加するという出来事もあったり、もはやネットとリアルの境界はあってないような印象すらある。しゅごい。

 しかし一方で、そういったSNSでつながった「趣味の友達」とは異なり、ブログを経由してつながった人たちって、「これだ!」という言葉で言い表しづらいんですよね。少なくとも、前者のように「ネット友達」というカテゴライズにはならない。

 何度も会い、すっかり「顔なじみ」になった相手もいるにはいるのだけれど、「友達」と定義できるかは怪しいところ。お互いに敬語だし、どこぞへ遊びに行くようなことも少ないし、たまに飲みながら話したり、イベントで挨拶するくらいが関の山。

 かと言ってまったくの「他人」だというわけでもなく、それなりに親近感は持っています。ちと具体的には言葉にしづらいのだけれど、「ネット」や「ブログ」という文脈を共有しているからか、世代が近いせいか……はたまた、どこか似通った空気をまとっているからか。

 強いて言えば「ブログ仲間」とか「Twitter友達」とか、そういったカテゴライズになるのかしら。「友達」だとピンと来ないけれど、「仲間」という言い回しならまだわかる。……と考えるとやっぱり、ネット・ブログという共通の“ 文脈” の存在が大きいようにも思います。

 でも考えてみれば、そもそも「友達」の基準だって人によって異なっていて当然の、曖昧なものだと思うので、無理にあれこれカテゴライズする必要はないんじゃないか──というのが正直なところ。

 お互いにそこそこ心地よい関係性が築けているなら、それでおk。それ以上に踏み込むか否かは、その都度考えればよかろうもん、と。特定の組織や集団に属しているわけでもなし、ユルくふんわりとつながれるネットならではの関係性は、嫌いじゃない。むしろ大好き。

 何はともあれ、僕はそういった「よくわからんネット発の関係性」が好きなので、ネットではネットで、リアルではリアルで、楽しくやっていけたらいいな、と思ったのでありました。人見知りで顔色を窺ってばかりだけど、楽しい。付かず離れず、ほどほどの距離でつながる関係性も、悪くないものですね。

 

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