7月某日。「縁むすび風鈴」を見に行くべく、炎天下の市内を川越氷川神社へ向けて歩いていた、その道中。ちょっと遅い昼食を食べるお店は、前々から決めていた。
玉子焼きで有名な『オハナ』さん。
過去にテレビで取り上げられたこともある有名店らしく、週末のランチタイムには決まって行列ができるとか。先日、訪れたときは並んで待つ気が起きず、泣く泣く断念したこちらのお店。ついに今回、その玉子焼きにありついてきた。
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蔵造りの町並みのすぐ近く、玉子焼きに自信アリ
川越に縁のある人相手ならば、「仲町」の交差点、あるいは「マツザキスポーツ」の交差点を入って行ったところと言えば伝わるかしら。
山崎美術館と観光案内所の間に店を構えているのが、玉子焼きで有名な『オハナ(OHANA)』さん。
看板に加えて、店頭に貼ってあるメニューを見ると、何より「玉子」に力を入れていることがよくわかる。
そこそこ良いお値段はするけれど、きっとそれだけ美味しいのでしょう。たぶん! きっと! おそらく!
普段の自分ならば少しケチって、お安めの「極上親子丼」を頼むところだけれど、親子丼はつい最近に別のお店で食べたばかり。
……とくりゃあせっかくだし、 “オープン当初より人気の不動の名代メニュー” と書かれている「玉子焼き御膳」を頼もうそうしよう。
“ふぁふぁ”でやさしく甘い玉子焼き!
お店の中はこじんまりとした内装で、これぞ “町の定食屋” といった趣。
「研修中」の名札をつけたアルバイトらしきおねーさんも含めて、厨房には女性の店員さんしかいない様子。元気なおばちゃんの声が聞こえる……。
注文の後、メニューを眺めていてふと気になったのが、こちらの文句。 “ふぁふぁジューシーな大判玉子焼き” 。うーむ……。 “ふぁふぁ” とは、いったい……。
推察するに、「ふわふわ」を超え過ぎて「w」を発音できなくなるほどに “ふんありやあらか” な玉子焼きなんだろうか。まさか、ちっちゃな「ぁ」をミスタイプすることなんてないだろうし。それともアレか。お年寄りの高笑いか! ふぁっふぁっふぁ……。
――なんてアホなことを考えていたら、御膳が出てきた。
ほっかほかの白米には、おかかと昆布の佃煮。シンプルなスープに、きな粉と黒蜜のかかったわらび餅。そして、アッツアツの玉子焼き。「とにかく玉子焼きを味わえ!」と言わんばかりの、必要最小限の品目です。
早速、一口目から玉子焼きをいただく。
お箸をいれると簡単に切れて、口に入れるとふんわり……じゃなかった、 “ふんあり” 広がる玉子焼きの食感。同時に、滴りすぎず、程良い量の出汁の味と香りも感じられ、鼻腔に抜けていく感じが心地よい。
――うん、たしかに、 “ふわふわ” と形容するよりは “ふぁふぁ” と表現したほうがしっくりくる。
パンチのある甘さではなく、かと言って薄過ぎもせず、俗に言う「やさしい甘さ」です。薄味の割に香り豊かで、舌だけでなく鼻にまで広がる甘さでダメ人間になりそう。
そうした香りを重視しているがためか、玉子焼きに添えられているのは大根おろしではなく、わさび。
お箸の先にほんのりつけて一緒に頬張ることで、やさしく包まれて “ふぁふぁ” になりかけていた頭をキリリと整えてくれる。ふぁ、ふぁ、ふぁっくしょーい!
やさしさ溢れる玉子焼きとは対照的に、強く味覚に訴えかけてくるのは、ご飯に盛られた佃煮。
わさび先輩と力を合わせて、 “ふぁふぁ” になりかけた頭を「ハッ!」と叩き起こしてくれる、懐かしくも味わい深い本格派。正直、これだけでもごはんがごはんがススムくん。うめえ。
“ふぁふぁ” と、我に返るのを繰り返し繰り返し――たまにスープで小休止しつつ――最後に辿り着いたのが、わらび餅。
きな粉の量は控えめで、黒蜜の甘さもあっさり系。食後に食べるには最適の甘さと量といったところ。無駄なくお腹の膨れる、すばらなお昼ごはんでした。満足也。
すべては、 “ふぁふぁ” な玉子焼きを味あわんがため、最適化された品目とも言わんばかりの御膳。思わぬ出会いに気分は最高潮に達し、そのノリのまま「縁むすび風鈴」に向かうのでありました。ごちそうさまでした! また行こう。
店舗情報
- 公式サイト:小江戸-OHANA-
- 営業時間:11:15〜16:30(土日祝は11:00から)
- 席数:21席
- アクセス:西武新宿線『本川越』駅東口 徒歩11分
- 住所:埼玉県川越市仲町2-2(地図)
- 周辺のお店:ぐるなび 川越×親子丼