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オタクだけどオタクじゃない「新世代オタク」とは?『Febri Vol.19』より


 オタクだけど……オタクじゃなかったー!

 『Febri Vol.19』に掲載されていた特集「あたらしいオタクの肖像」がなかなか興味深かったので、簡単にご紹介。艦これ特集が目的だったはずなのに、そっちはまだ読んでいません。はっはっは。

 僕自身はオタク論・サブカル論・世代論などに関してはほとんど知識がないので、その辺にいるオタク一個人としての感想です。詳しい人の感想を聞いてみたいな。

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現代の若者の興味関心

 ライターの飯田一史@cattowerさんがまとめたこの特集は、現代を生きる「新世代オタク」の実態を調べたもの。中学生と高校生(一部大学生)、約200名(男女比はほぼ1:1)にアンケート調査とインタビュー取材を行い、その傾向を探っています。

 まず驚いたのが、今の中高生の間ではアニメやニコニコ動画を観る人は決して少数派ではなく、マジョリティであるとすら言えるほど、多くの人間が接していること。さらには多数派であるがゆえに、彼らがスクールカーストの上位である場合もあるのだとか。

 あまり記事から引用し過ぎるのもどうかと思うので詳細なデータは省きますが、彼ら彼女らが「好きなコンテンツ」を調べたところ、次のようなアンケート結果が出たそうな。

テレビ番組

  • 1位:日本のドラマ
  • 2位:アニメ
  • 3位:お笑い

小説

  • 1位:ライトノベル
  • 2位:ミステリー
  • 3位:SF

音楽

  • 1位:J-POP
  • 2位:アイドル
  • 3位:洋楽
  • 4位:アニソン&声優

 筆者の飯田さんはこの結果について、「あらゆる趣味が並行して、フラットに受容されている」と分析しています。

 たしかにアンケート結果の割合を見ても、ずば抜けて人気なものはなく、いずれにも同程度のファンがついていることがわかる(音楽についてはJ-POPが頭ひとつ抜けてはいますが)

 つまり今の中高生にとって、アニメやライトノベルはドラマやミステリーと何ら違いのない「コンテンツ(ジャンル)のひとつ」に過ぎず、それが好きだから気持ち悪い、おかしいといった印象はないと言えそうです。

「あ、俺らオタクじゃないんだ」〜オタクとは?

 筆者は次に、「すると、今の10代にとっての『オタク』って何だろう?」という点を掘り下げるべく、こちらもアンケート結果と共に紹介しています。それによると、現代の中高生から見た「オタク」は以下のようなイメージの存在であるらしい。

連想するもの

メガネ、デブ、リュックサック、チェックのシャツ、シャツイン、秋葉原、パソコン

「オタク」のイメージにあてはまるもの
  • 1位:何かに詳しい
  • 2位:モテなさそう
  • 3位:変わっている、気持ち悪い
  • 4位:友達がいなそう
  • 5位:太っている、何かを集めるのが好き

 彼ら彼女らにとっては、「見た目がキモい」「何かに詳しく、収集癖がある」のが「オタク」であり、普通にアニメやラノベ、ボカロに触れているだけでは「オタク」ではないらしい。ただし代わりになる言葉がないため、他人から「オタクなの?」と聞かれたら、否定はしないらしい。

 そしてもうひとつおもしろいのが、こちらの指摘。

インタビューで聞いてみたが、ネットでよく「今の若いやつは『にわか』『ヌルオタ』」と書いているから、よけいに「あ、俺らオタクじゃないんだ」と思うようだ。

 上の世代のオタクたちから「お前らはオタクじゃねえ!」と言われ続けてきた若い世代は、「あ、違うんだ」と自覚するようになったらしい。ある意味、上の世代が「うっせえ!」と突っぱねた結果、若い世代が別の文化圏を築くようになった──と受け取れるようにも見えますね。

どうしてこうなった

 ここまで読んできて、「ああ、もう僕らの頃とはまったく事情が違うんだな」ということがわかった。彼らとは10歳も離れていない年齢の僕ですらこう感じるのだから、上の世代からすれば、それはもう「別世界」なんじゃなかろうか……。

 振り返ってみれば、僕が学生だった頃──特に中学生時代は、アニメやライトノベルと言えば「変わった趣味」であり、人によっては嫌悪感を持つ「気持ち悪い」ものでした。

 女の子がたくさん出てくる作品*1や美少女ゲームなどはもってのほか、ガンダムなどのロボット好きですら奇異の目で見られ、オタクは基本的にいじめの対象だった。

 それが今や、わずか10年で「普通」となっているのだから、何が起こるのか本当にわからない。いったいぜんたい何があったのか。どうしてこうなった。

 その「変化」の一因として、筆者は「作品」と「環境」の切り口を挙げています。

ウェブサービスと周囲の理解

 まず大きな原因のひとつが、ニコニコ動画を始めとするウェブサービスの存在。今の10代が「好きなクリエイターやアーティスト」として名前を挙げるのは、ボカロPや歌い手、ゲーム実況者、Pixivの絵師ばかりなのだそうです。

 これは、言うまでもなく納得できますね。早い段階で自分用のスマートフォンやパソコンを持つようになる世代だからこそ、ウェブ上のコンテンツは身近なものであり、周囲の友達にもおすすめしやすい。

 中でも特に大きいのが、巨大なプラットフォームであるニコニコ動画の存在。僕自身、何年か前に塾講師のアルバイトをしていた頃、担当していた生徒と話すのはもっぱらニコ動のことでした。

 その要因に関連してもうひとつ、僕個人の考えとして、ニコニコ動画に集まる「ユーザー」の存在も無視できないのではないかと思う。

 その場を作り出しているクリエイターたち──ボカロP・歌い手・実況主・絵師など──の多くは、必ずしもその筋のプロというわけではありません。それゆえ、ファンとの距離は非常に近い。Twitterでは当たり前にファンと交流し、オフ会などのイベントで実際に会うことだってできる。

 そのような「クリエイターとファンの近さ」があるからこそ、今の10代はそれに惹かれ、夢中になっているのではないかしら。

 加えて、近頃は彼らに憧れ、自身もクリエイターとして作品を発表している中高生も少なくないと聞きます。そんなハードルの低さが、多くの10代をネット(オタク)カルチャーに引き寄せる要素のひとつになっているのではないかと。

 そのうえで、彼ら彼女らが遠慮なくそれらコンテンツを楽しめているのは、「周囲の人間が圧倒的に寛容だから」だとも筆者は述べています。

 ──そりゃあそうですよね。現在の中高生の親世代と言えば、子供の頃はアニメを観たりゲームをしたりしながら育った世代になるはず。それを自身の息子や娘が楽しむようになれば……そりゃ、親としては嬉しいでしょう。親がコアなオタクでなくとも、最低限の理解を持っている人は多いでしょうし。

 ……べっ、別に羨ましくなんてないんだからねっ!

まとめ

 最後に筆者は新世代オタク概論のまとめとして、以下のようにまとめています。

「アニメやニコ動を観る方がマジョリティ」

「『オタク』はよほどのマニアかキモいやつのこと

だからアニメを普通に観るくらいの自分はオタクだと思っていない」

「家族の理解もある」

──これが「新世代オタク」である。

 親や周囲の抑圧もなく、変な固定観念もなく、インターネットでいくらでも調べることのできる今の10代は、旧来のオタクとはまったく別の存在なのかもしれない。「オタク」という言葉自体も、その時代や世代、人によって解釈や使い方が異なるし、そろそろ別の言葉が出てきても不思議ではないように思う。

 いずれにせよ、妙な固定観念も忌避感もなく、多種多彩なジャンルの作品に等しく接することができる現代は、まっことすばらしいと思うのです。なんでもかんでも楽しめちゃう感じ。

 もちろんその一方で、掲示板やTwitterで「自分には理解のできないものだから」と言って切って捨てている人もいるわけですが……。そこでボーカロイドやら何やらを蔑んでしまうのは、端的に言って「もったいない」と思うんですよね。

 自分の好きな、ただひとつだけの存在を愛するのが、旧来の「オタク」なのかもしれない。でもだからと言って、そこで他の存在を否定するのは違うでしょう──と。

 そも大人の特権は、過去を懐かしめることだと思う。今あるものを楽しみながら、ふと昔を思い出して「あんなものもあったなー」と仲間と語り合ったり、「こんなのもあるんだぜー」と若者に教えられること。それは、アニメだってなんだって同じじゃないかしら。

 ちなみに、この特集「あたらしいオタクの肖像」は、ここまでで半分。

 このあとには、ボーカロイド・歌ってみた・ゲーム実況・フリーゲームについて、今の10代が好きなところや考え方、それらに関する分析などを行っています。そちらもおもしろいので、良かったら読んでみてくださいな。

 

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