有名ブロガーが語る、“軸を持って表現する”方法『「Chikirinの日記」の育て方』


 

私にとって“ちきりん”とは、自称名詞ではなく、自分が運営しているキャラクターの名前なのです。

 

  ちきりん(id:Chikirinさんの新著、『「Chikirinの日記」の育て方』を読みました。表紙を見て、そのあまりのシンプルさに愕然としましたが、ご本人によるダイレクト・パブリッシング(≒自主出版電子書籍)なんですね。道理でこの手作り感。

 

 ちきりんさんと言えば、はてなユーザーなら知らない人はほぼいないだろうという最大手ブロガー。

 ところが、僕の中では、「数年前からTwitterでたまにRTされてくるようになった有識者さん」という漠然としたイメージしかありませんでした。あと、一時期は荻上チキさんと混同していた集団の一人です。すみません。

 

 ちょくちょく気になった記事は読んでおりましたが、一冊の本として読むのは初めて。本記事は、そんな「初心者ちきりんファン」による感想です。

 

 

概要と目次

 本書は、2005年に始まった“社会派ブログ”こと、「Chikirinの日記」の運営記。この9年間(長っ!)、管理人のちきりんさんがどのように考え、行動し、日記(ブログ)を育ててきたかが書かれています。

 

 目次は、全部で44項目と長くなってしまうので、ちきりんさんの記事で抜粋している部分を引用させていただきます。

 

05. 無名ブログ時代

08. 実名と匿名

10.“はてブ”で突然のブレーク!

18.「そんじゃーね」の衝撃

20. Own Mediaを育てる

22.「ネットの中の人」にはならない

26. はてなブックマークとの決別

29. 献本と本の紹介

30. いろんなマイルール

38. 鬱陶しい人たち

39.「Chikirinの日記」の収入

43. 時代とのマッチング

44. そしてこれから

などなど 

 

 全約100ページの中でこれだけ分割されているので、ひとつひとつをコラムとしてゆっくり読んでもいいかも。

 

これが、ちきりんスタイルだ!

イメージしているのは、「飲み会で、友達に伝えたいことを一生懸命に話している私の声を書き起こした文章」なので、口語文の文章化であり、教科書的な「正しい日本語」で書くことには、拘りさえもっていません。

 

 本書は、「たくさんPVを稼げるブログ運営!」でも「人を惹きつけるプロブロガーの文章術!」でもなく、「自分の思うままブログを続けていたら、いつの間にか有名になってしまったとあるブロガーのブログスタイル」といった感じ。

 

 目次を見ると44項目と非常に多いけれど、大きく3つの要素に分けられると思う。

 

  • ブログスタイル(記事の書き方、選び方、目的)
  • 周囲との関係(読者、編集、野次馬など、周りの人との距離感)
  • なぜ有名になったのか(時代の流れ、想定読者、戦略)

 

 僕の主観では、こんな感じ。

 

 前述のように、「ブログの書き方」を説明したハウツー本でもなければ、「文章力を鍛えて成長する」という手の自己啓発本でもない。

 一言で言えば、書名の通り。ちきりんという名前の人間が、「Chikirinの日記」というコンテンツを今に至るまで育て上げる過程のお話。サブタイトルに「~ちきりんの半生~」って付けても違和感ないかと。たぶん。どうでしょうか!

 

読みどころ、気になった点

 読んでいて特に印象に残ったのは、ちきりんさんがこの「日記」と、ご自身の想定する読者さんたちのことを徹底的に考えて、それを運営しているという点。

 

 設定したゴールは、「Chikirinの日記」というサイトを、価値あるメディアに育てたい、ということでした。ここでの(私にとっての)価値あるメディアとは、読者ができるだけ似通っているメディア、なんらかの共通点を以て、読者が絞り込まれているメディア、という意味です。

 私が意識すべきは「リアルな社会に軸足があり、ネット上でのコンテンツ消費を新たに始めた人たち」であり、その人たちを惹きつけるコンテンツを書き続けるには、私自身が「ネットの中の人」に染まってしまわないことが、とても大事だと考えているのです。

 

 著者自身の創り出した「ちきりん」というキャラクターと、その活動場所としての「Chikirinの日記」、そして、それを読みに来てくれる人たちのこと。それらを常に考えながらブログを運営しているということが、読んでいて強く感じられた。

 

 あとは、上の抜粋版目次でも見られる、「はてな」の存在。

 「Chikirinの日記」が有名になるまでに果たした、はてなブックマークの役割や、その性質、コメント欄非表示に関する考え方など、少し前にちょっと盛り上がっていた(らしい)、はてな界隈の話題とも繋がる部分があると思う。この辺は、ヘヴィーなはてなユーザーの方が書いてくれるでしょう、たぶん。

 

 もう一点、ちきりんさんのスタイルを知って考えたのが、他の有名ブロガーとの差異。

 いわゆるアルファブロガーと呼ばれる人達や、他の名の通ったブロガーさん、彼ら彼女らの考え方やブログスタイルには、どのような共通点・相違点があるんだろう、ということ。

 

 例えば、ちきりんさん同様、炎上しやすいブロガーとして名前の挙がるイケダハヤトさん(失礼でしたらすみません)。ブログの方向性では、「メディア」としての扱いなど類似点も多いけれど、炎上の対処方法だったり、読者との向き合い方だったり、相違点も少なくはない。

 ブロガーのスタイル・傾向を探る上で、トップブロガーの方達を比較してみるのもおもしろそうだなー、と思った。イケダハヤトさんの著作は前々から気になっていたので、今度読んでみよう。

 

こんな人におすすめ

 少し脱線しましたが、ブログ初心者である自分にとっても非常に有意義な内容でした。ちきりんファンにはもちろん、自分のブログを持っている人たちに広く薦められる本だと思います。考え方、向き合い方など、参考になる点は多いかと。

 

 あとはやはり、はてなユーザーさん。僕ははてな界隈の事情をよく知らないので何とも言えませんが、はてなブックマークの性質などで、「なるほどー」と頷かされる点がいくつかありました。そんなおもしろサービスだったのか!と。良かったら、読んでみてください。

 

 ではでは、これにて。

 

 

 ……そんじゃーねっ!(使ってみたかった

 

 

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