『ドロステのはてで僕ら』という映画が、おもしろいらしい――。
そんな記事をネット上で見かけて、「これだ!」と思った。時は2020年7月。それまで遠出は自粛していたものの久しぶりに都心へと足を伸ばすことになり、「空いた時間に映画でも観よっかなー」と考えていた矢先のことでした。
「何を観ようかな……話題の最新作……? いや、せっかくの機会だしジブリ映画を観るのもありかも……」などと考えつつも、決め手に欠けていたその時。たまたま目に入ったのが、『ドロステのはてで僕ら』のレビューだったのです。
明らかに自分好みのにおいがしたので、そのまま勢いでチケットを購入。
わくわくしながら足を運んだ映画館のスクリーンで目にしたのは、日常と地続きの空間で繰り広げられる、「すこし・ふしぎ」な非日常。学校の図書館で短編SFを読み終えた後のような、心地良い充足感を得られる作品でした。
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