“鴨葱ラーメン”に唸り、“飲める親子丼”に悶絶する『らーめん鴨to葱』


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「鴨肉はいいぞ」と誰かが言っていた。

たしかに、何年か前に食べた鴨鍋はマジうま1000%だった。よく食べる鶏肉よりも歯ごたえのある食感が好みで、鶏鍋よりもコクがあってまろやか。癖があるかと思いきやそうでもなく、むしろあっさりとした味わいに舌鼓をうった思い出がある。鴨うめえ。

そして、「」とくれば「」である。

「鴨が葱を背負ってくる」と言われるように、鴨鍋には葱が欠かせない。もちろん、それ以外の鴨料理にも。なかでも、合鴨+葱のしゃぶしゃぶは至高の一品。さらにさらに、そこに日本酒を組み合わせると……うふふふふ。あまりのうまさに卒倒しそうになるレベル。

それはさておき、鴨である。鴨葱である。「鴨葱をトッピングしたラーメン屋さんが、御徒町にあるらしい」と昨年末にTwitterで目にし、そのお店がずっと気になっていたのです。

というわけで、御徒町の『らーめん 鴨to葱』さんに行ってきました。

 

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“鴨と葱”にこだわった、シンプルながら味わい深いラーメン

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御徒町駅から徒歩2分、おなじみの「アメ横」から線路を挟んで反対側、ガード下にお店を構えているのが、今回足を運んだ『らーめん 鴨to葱』さん。2017年6月開店。まだ新しいラーメン屋さんであるにもかかわらず、連日、店外に列ができる人気店です。

この日は平日14:00過ぎに訪れたのだけれど、やはり10人ほど並んでいた様子。ランチタイムは15:00までとのことなので、もしかするとギリギリだったかな……と考えていたら案の定。自分が最後尾に並んだ数分後に店員さんが出てきて、「営業中」の札を「準備中」に替えていました。

見ていると、その後も並ぼうとする人がちらほらと見受けられたので、その人気ぶりがよくわかる。そのたびに店員さんが、「お昼の営業は、今並ばれている方までですので……」と申し訳なさそうに謝っておりました。お疲れさまです……。

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さて、その名のとおり「」と「」がイチオシのこちらのお店。それも単に「鴨と葱にこだわっている」のではなく、それどころか「(ほぼ)鴨と葱しか使っていない」ラーメンが魅力なのだとか。……どういうこっちゃ?

一口に言えば、「鴨・葱・水だけでつくった、化学調味料不使用ラーメン」。国産合鴨と水だけで炊いたスープに、鴨と葱をあわせた醤油ダレ、チャーシューももちろん鴨肉(コンフィ)で、葱も季節ごとにおすすめのものを厳選。どこまでも鴨葱尽くしのラーメンを出しているのだそうです。

さらに、トッピングの「葱」は注文の際、3種類の中から選ぶシステム。「好きな具材から選んでね☆」ではなく、「好きな葱を選んでね☆」と聞かれるのは新感覚だった。ミクさん歓喜。

葱を選べと言われても困る人もいるかもしれませんが、フィーリングで選んでも良いし、店員さんに聞くのも当然ありかと。2月は「丸太白葱」がおすすめで、もうひとつはお好みでどうぞ、との話でした。今回は、甘さと軟らかさが魅力という「軟白葱」を選択。

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店外の食券機を見ると、余すところなく「」の文字が。

鴨らぁ麺、鴨わんたん麺、鴨汁つけそば、鴨コンフィ麺――と、どれもこれも見るからにおいしそうな字面が気になるなる。まずは鉄板の「鴨らぁ麺」を選択。お昼も過ぎた遅い時間で腹ペコ腹ペーニョだったこともあり、せっかくなのでセットメニューを注文。

セットの選択肢は、「鮪屋のトロたくちらし」と「鴨to葱の小親子丼」。どちらにしようか……と悩み、「小親子丼」を選択。「別名:飲める親子丼」の表記があまりに気になりすぎたので。カレーやとんかつだけでなく、昨今は親子丼も飲める時代なのか……すげえな……。

 

あっさりじんわりおいしい「鴨らぁ麺」と、おまけじゃなかった「飲める親子丼」

店内はカウンター席のみというシンプルさながら、あまり窮屈さを感じない空間。隣のお客さんと肘がぶつかるようなことはなく、席の後ろには荷物入れも置いてあり、カウンター下にはティッシュペーパーの箱も常備。気配りが行き届いている……!

何より驚いたのが、「カウンターが畳敷になっている」こと。座っている目の前、これから器を置いてラーメンを啜ろうという卓上が、畳になっているのです。最初は「畳っぽい何か」かと思ったら、触ってみた質感は畳そのもの。なにこれすっげえ! おしゃれだけど、掃除が大変そう……。

そして、待つことしばし。ランチタイム終了間近ながら手際よく、「お待たせしました! 熱くなっているのでお気をつけて!」と快活な声とともに手渡された器。受け取り覗きこむと、そこには、きれいに投入された麺と、半透明のスープと、見るからにみずみずしい葱と、光輝く鴨肉が……!

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こちらがその、鴨らぁ麺+鴨to葱の小親子丼セット980円です。実は先に親子丼が着丼していたのですが、ラーメンもそろってから食べようと思ったのでノータッチ。

とはいえ、眼前に現れた小どんぶりを見た瞬間、「おまえ……本当に、親子丼、なのか……!?」と予想外に驚かされ、少し決意が揺らぎはしたのだけれど。とてもじゃないがセットメニューの「おまけ」には見えないその出で立ちに、よだれが自重してくれなかったのです。

この親子丼については、また後ほど。

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――で、肝心の「鴨らぁ麺」ですよ。遠目に見ると「普通の醤油ラーメンかな?」という感想を持ちそうな、いたってシンプルな見た目とトッピング。強いて言えば、一般的な豚チャーシューではなく鴨肉を使っているため、肉の色が赤く明るいくらいの違いかしら。

ところがどっこい。眼鏡が曇るのも構わずよくよく近づいて見ると……明らかに、普通の醤油ラーメンとは違う。鴨肉だけではなく、どうにも葱がみずみずしく、別物に見えるのだ。

ともすればチェーン店では沈んでいそうな葱先生が、まるでオブジェのようにスープの上に浮かび、「わし、シャキシャキやで」と言わんばかりの存在感を放っている。薬味や付け合わせのイメージも強い「葱」を見て、こんなにも食欲をそそられるなんて……! 悔しい! でも食べちゃう!(モグモグ

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まず口にしたのは、先ほど触れた「軟白葱」。そして、写真右上に写っている「丸太白葱」。種類は異なるのですが……どちらも、びっくりするほどやわらかい!

前者は見た目どおりのシャキシャキとした食感が口の中を楽しませてくれて、後者は葱本来の甘みに鴨出汁のスープが染みこみ、口の中に旨味がじんわりと広がっていく感じ。しかも軟白葱はただ甘いだけでなく、その清涼感でもって舌先をリセットしてくれる、ナイスな脇役だ。

そして、メインの “らぁ麺” は言わずもがな。

やわからく茹でられた細麺はツルンとした喉越しの良さで、あっさり醤油味に鴨の脂と風味を感じられるスープと絡まり、いくらでもチュルチュルできるおいしさ。これはいいものだ……。

また、鴨肉は数こそ少ないものの、全体的にあっさりめの印象を受ける具材の中では、強いパンチを繰り出してくる主役級。――そう! お前のストレートを待っていたんだ! 優しくゆっくりと鳩尾に食いこむように入ってきて、体の芯へと徐々に揺さぶりをかけるように、ジューシーな旨味がじわじわと効いてくるパンチ……最高か!

想像以上に甘くやわらかい葱に魅了され、やはり間違いのないおいしさだった鴨肉と麺に深く頷き、大いに満足したお昼時。……しかし、宴はまだ終わっていなかった。

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そうなのです、親子丼があったのです。
こいつが、とんでもないエクストラステージだった。

何がヤバいって、あれだけ「やわらけえ!」と言っていた鴨らぁ麺の具材よりも、こちらのほうが圧倒的にやわらかい。いや、やわらかいというか、過去に食べたどの親子丼よりもとろとろで、限りなく液体に近い――でもしっかりと形を保っている――マジで「飲める親子丼」だったのです。

当然、とろとろ甘い玉子の下には固めの白飯が「やぁ!」と待ち構えているのだけれど、両者のバランスがこれまた絶妙。どんぶり上部のとろたまをチュルッと啜り、あわせて下部の白米をかっこむことで、流動体と固形物の食感を同時に口内で感じられ、すばらしい満足感が得られるのだ。

しかも、親子丼の「親」は、言うまでもなく鴨肉。これがまた、鴨らぁ麺の肉とは違った味を楽しめるため、1セットで2度おいしい。かなりやわらかく煮込まれているのか、とろたまと一緒に吸いこめる感じ。こちらはゴロゴロと肉が入っているので、満足感もさらにアップ。

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そんなこんなで、お腹いっぱい大満足。入店前に並んでいたとき、食べ終えて出てきたお客さんの多くがそうだったように、思わずニコニコしながらお店を後にしたのでした。

すでにかなりの人気店ということで、早い時間か遅い時間を狙わないと並ぶことになりそうですが……それでも、並ぶ価値はあるかと思います。僕自身、早くもまた再訪してみたいと考えているくらいですし、らぁ麺の味を思い出すと今も「はふぅ……」ってなりますし。はふぅ……。

というか、ほかのメニューをまだ食べられていない以上、再訪は不可避。鴨わんたん麺も鴨汁つけそばも鴨コンフィ麺も、総じておいしいと評判らしいので。少なくとも、あと3回は行かなければ……というわけで、またおじゃまさせていただきます。ごちそうさまでした!

 

店舗情報

  • 公式Twitter:らぁめん 鴨to葱 (@tokamonegy)
  • 営業時間(月〜金):11:00~15:00/17:00~21:30
  • 営業時間(土日祝):11:00〜20:00*1
  • 席数:11席
  • アクセス:JR『御徒町』駅北口 徒歩2分
  • 住所:東京都台東区上野6-4-15

※参考:食べログ

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*1:店舗アカウントのツイートによると、週末は実験的に通し営業中だそうです(参考:https://twitter.com/tokamonegy/status/964668879204106240