タイトルのとおり。ネットでしばしば見かける「読み終わった本リスト」を作り、物々交換に出そうとしたら……“もったいないおばけ”が出た。
もう何年も前に読み終え、再読されることもなく本棚に眠り続ける、数々の本たち。彼らをただ手放すなんて、MOTTAINAI。
「読書記録」によって、“もったいないおばけ”を除霊する
ここで感じた「もったいない」は多分、「せっかく買った本を手放してしまうこと」じゃなくて、「過去に読んで内容の大半を忘れている本を世に送り出すこと」に対して感じた「もったいない」なんじゃないかと思う。
要するに、“読み流した”だけで、その成果物としてのアウトプットがなされていない格好。この数年以内に読んだ本ならば、読書メーターなりブログなり読書ノートなりで読んだ感想をまとめているものの、それ以前の本に関してはノータッチ。
漠然とした「読んだ」という記憶のみで、具体的な感想や知見が得られていない……というか、“忘れられてしまった”のです。
本についても、過食は有害である。知的メタボリックになる読書があり得る。同じ本を何回も読むなどということは、考えただけでも不健康である。
偏食も過食と同じくらいよろしくない。勉強だといって専門の本を読みすぎると知的病人になりがちである。専門バカはそのひとつである。
外山滋比古さんはこのように書いてはいるけれど、自分の場合は写真も作文も日記も、なんでもかんでも記録して残しておきたい欲求が強いので。どんな悪書だろうと、読んだからには「読んだ」という証を手元に持っておきたい。……なんとなく。
でも一方では、手元にあれこれ残しておくのもアレなので、できるだけ物質的に身軽でいたいとは思う今日このごろ。ただ、モノを手放すなら手放すときに、改めて「それが何だったか」を認識する過程――“お別れ”の儀式があったほうが良いな、と思ってしまったのです。
そんなわけで、「読み終えた本を交換をしたい!」というわくわく感はあれど、リストを作るにはちょいと時間が必要かな、と考えた次第でございます。僕には、“もったいないおばけ”を除霊する儀式としての「読書記録」が求められている。
あ、でもそういう意味では、以下のように感想記事がある本は“除霊済み”なので、そのまま物々交換に出せそう。
- 悪夢のような就活に挑む学生に向けた応援本『内定童貞』
- 落語に学ぶコミュニケーション『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか?』
- 「人生に、無駄な経験なんてきっとひとつもない」/水樹奈々の語る『深愛』
- 『ビタミンF』を読んで思うこと
物々交換に適している本
そんな感じで“おばけ”と戦いつつ、本棚をチェックしている中で思ったのが、「『物々交換』を前提としたブックリストの中で、関心を惹きやすい本ってどんなものだろう?」ということ。金銭の行き来がない「交換」だからこそ、出会える本もあるんじゃないかしら。
雑誌
まず思い浮かんだのが、雑誌。自室の本棚の足元付近を見ると、パラ読みしてそのままの『クーリエ・ジャポン』や『WIRED』といった意識の高そうな雑誌が並んでいるわけですが、これって案外、需要があるんじゃ……?
普段から購読している雑誌や、よほど気になる特集でもないかぎり、雑誌のバックナンバーは探すのも面倒だし、なかなか購入に踏み切れないもの。たまーにBOOKOFFなどで見かけて「おっ?」と手を伸ばすことはあっても、買うかどうかはタイミングによりけりな気がする。
その点、お財布を出す必要もない「物々交換」であれば、手に取るハードルはガクッと下がる。
多種多彩なコンテンツが掲載されている「雑誌」という媒体の特性もあり、スキマ時間にチョイ読みできるのも魅力。つまらなかったらつまらなかったで、資源回収と一緒に出せるし。
一口に「雑誌」と言っても、ジャンルもさまざま。書店でも関心がない雑誌ジャンルの本棚に足を運ぶことなんて稀だろうし、そういった“異文化”との出会いの場として、物々交換に雑誌というのは悪くない……かも?
同人誌
“異文化”と考えてピンときたのが、同人誌でござる。年2回のオタクの祭典で売られている薄くて高くてエ口い本――だけではござらぬ。常々書いてはいるけれど、筆者の愛が爆発したニッチな分野の創作同人誌は、読んでみるとおもろいんやで!
- 論文やプレゼンでの「文字」の使い方を考える『科学者の知りたい文字の話』
- 個性豊かな「ブックカバー」を集めた本『書皮マニアクス TOKYO-04』
- もふもふ動物とふわふわパンがたっぷり!『BAKERY』に癒やされる
特に、創作同人誌の場合は流通数が少ないこともあって、手放すのにも少し躊躇してしまいがち。人気ジャンル・有名作家さんの本ならば、専門書店で“良いお値段”で買い取ってもらうこともできるけれど、それも少数派。資源回収に出すのも、謎の申し訳なさが……。
そんな同人誌も「物々交換」という場所でなら、何の未練もなく送り出せるのではないかと。“知らない”人にとっては物珍しさがあるだろうし、“知っている”人は掘り出し物を見つけられるかもしれない。――って書くと、なんだか骨董市的な楽しみ方ができそう。
本の物々交換+ちょっとしたイベントとか
@mixednuts25 単なる交換会じゃなくて、ビブリオバトルと混ぜてもおもしろいかもしれませんねー。
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2015, 11月 10
Twitterでボソッとこんなことを呟きましたが、よくよく思い返してみると、「本」と「交換」をキーワードにしたアイデアはたびたび話題になっていたような印象も。
個人的に小規模でやるなら、お金をかけてイベントスペースを確保する必要もないかも。ネットで呼びかけて、週末にどこぞの公園でブルーシートを広げてキャッキャウフフする感じでも良いと思うんですよね。
なにはともあれ、まずは物々交換のために“除霊”しないことには始まらないので、折を見てドーマンセーマンすることにしませう。はい。