『Pokémon GO』発表を見て、いつまでも“ゲーム”でワクワクしたいと思った


 「ゲーム」はいつか卒業するものだと、子供の頃には考えていた。

 ゲームボーイもスーファミもロクヨンもプレステも、大人になったら触ることもなくなるんだろうな、と。まず仕事でそんな暇はなくなるのだろうし、こういった「遊び」を楽しめるのも、自分がきっと「子供」だからなんだろう、と。

 で、現在。20代の自分はと言えば、昔と比べるとやたら薄くなったテレビに映るイカを操作しインクをばらまき、相変わらずメタリックシルバーなApple製のパソコンに向かってゲームの新作発表に興奮しているのでした。「卒業」とは、なんだったのか。

「今、好きなゲーム」と「昔から好きなゲーム」

ポケモンGO初公開映像
【公式】『Pokémon GO』 初公開映像 - YouTube

 本日、ニコニコ生放送で配信されていた「株式会社ポケモン新事業戦略 発表会」を見ながら、1人で大興奮していた僕。元・ポケモンマスター志望です、はい(真顔)

 初代『赤緑』以降、なんだかんだで最新作が発売されるたびにプレイしてきた『ポケモン』。会見でも増田順一さんが話していましたが、来年は発売20周年ということで……長い人はそれだけの付き合いになるんですよね。やべえ。20年経っても炎タイプラブですわ。

 今回の発表で何より驚きだったのが、 “スマホDEポケモン” ――という点ではなく、共同開発として「Niantic Labs」の名前が挙がっていた点。最近は “イカ” に時間を奪われつつあったけれど、スマホゲーとしては個人的に異例のハマり具合を見せていた、『Ingress』*1の開発運営会社。

 「テレビゲーム」を事実上 “卒業” し*2、「携帯ゲーム」ですらほぼほぼプレイしなくなっていた、この数年。かと言ってスマホゲーはさほど達成感もなく、熱中もできない……というところに降って湧いたのが、こちらの『Ingress』でした。

 いわゆる「位置情報ゲーム」を拡張、より現実世界と連動させる形で楽しむことのできるゲームとして、しばらくハマっていた模様。基本ぼっちのソロエージェントではあるものの、たまーにリアルキャプチャー*3されるなどの交流もあり、それなりに楽しんでおりました。

 で、そんな『Ingress』でおなじみのNianticが、我がゲーム人生の中心に位置すると言っても過言ではない『ポケモン』の新作開発に携わると聞けば、そりゃあ興奮もするってもんですよ。

 マジか! ついにリアルでポケモンゲットか! ポケモンスナップか! ピカチュウげんきでちゅうか! とりあえず某サトシ君の帽子を買わなきゃ! ……と。

 そういえば、2014年のエイプリルフールにはGoogleがこんなことをやっていましたね。動画も今回発表されたものとすごく似ているし、NianticはもともとGoogleの社内スタートアップ。この頃からすでに大枠は決まっていた……ってことなのかしら。

少年時代に夢想した世界が現実に

ポケモンGO初公開映像
【公式】『Pokémon GO』 初公開映像 - YouTube

 実際のところ、どのようなシステムで、どのような操作性(特にバトル)のゲームになるのかはまだわからないけれど。それでもこの、「現実世界を歩いてポケモンをゲットする」というコンセプトとムービーだけで、ワクワクが止まらないんすよ。

 思い出されるのは、小学生時代に友達としていた「ポケモンごっこ」的な遊び。自作の地図を作って、ここにはこのポケモンがいて、あっちにはこのポケモンがいて――と考えながら、外を走り回っていた記憶。「ゲーム」の世界をリアルに置き換え夢想するのは、子供の頃の特権だったようにも思います。

 ところがどっこい。それが今や、その夢想の半分ほどは現実になってしまうというすごさ。ゲームをあまりプレイしなくなった「大人」の自分でも、昔はそれに熱中し夢見ていた「元・子供」として、ワクワクさせられないはずがないのです。

 そうなってくれば、現在の「子供」も、当時「子供」だった現在の「大人」も関係なく、みんな等しく「ポケモン好き」として、あるいは「ゲーム好き」として同じ世界を共有できるわけで。「いい大人がゲームなんて……」*4ではなく、 “いい大人” だって楽しめる共通の「遊び」として、「ゲーム」の存在があるような。

岩田さんは、ポケモンを創りだした石原さんと最後までこのプロジェクトの成功へ向けた打ち合わせをされていた。
家族で楽しめること、子供が外に出て、世界の素晴らしさと出会えること。Wiiで様々な年代へとゲームの楽しさを取り戻した岩田さんの次の開拓を実現させること。

テクノロジーの力で、世界に情報のレイヤーを重ねていくこと。子どもたちはきっと、世界の素晴らしさや美しさ、無数の「可能性」に溢れた場所であること、世界は見えているままとは限らないことに、新鮮な空気を吸いながら、気づいていく。

Masashi Kawashima - Google+

 「子供」も「大人」も関係なく、みんなで一緒に遊べる「ゲーム」の存在。そのおもしろさと楽しさを忘れることなく今の今まで持ち続けていられたことに、今日ほど嬉しくなった日はありません。「卒業」しなくて、よかった。

 色鮮やかな電子の世界から、もっともっと色彩豊かなリアルの世界へ広がる「遊び」の文脈。叶うなら──将来できるかどうかもわからないけれど──自分の子供とその楽しさを分かち合えたら、素敵だな、って。そう思えるくらいには。

 いくつになっても、みんなで一緒に、遊びたい。

 

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*1:Ingress - Wikipedia

*2:最近『スプラトゥーン』のせいで再び “入学” しましたが。

*3:他のエージェント(Ingressプレイヤー)と街中で遭遇し、話をすること/参考:ingressでよく使われる用語や略語(スラング含む)

*4:「いい年して」「いい大人が」という表現について思うこと - ぐるりみち。