『脱社畜の働き方』を読んで


 

 脱社畜ブログで有名な日野瑛太郎さんの著書、『脱社畜の働き方』(技術評論社)を読みました。

 読みやすい、文章構成がうまい、というブログの評判が時たまタイムライン上に流れていたけれど、本になってもそれは変わらず。いつも通りブログを読む感覚で、さくっと読むことができました。

 

 本書は、次のような5章構成。

  • 第1章 日本の職場は理不尽なことばかり
  • 第2章 社畜にならないための考え方
  • 第3章 僕が日本の仕事観に疑問を持つようになるまで
  • 第4章 プライベートプロジェクトのススメ
  • 第5章 脱社畜の未来

 

 第1章では、日本の職場の現状が語られており、それに対する違和感と理不尽さについて問題提起している。言い換えると、職場の環境と「システム」の話。

 第2章では、1章で提起した職場の問題点に対して、それらと「付き合う」ための考え方を提示。問題の「解決策」というよりは、「改善案」を提案している感じ。

 

 そして、読んでいて特に面白かったのが、第3章。著者自身のそれまでの経験から、如何にして「脱社畜」の思考に辿り着いたのかが書かれている。大学生活からの、企業、失敗、試行錯誤、就職、ブログ開設に至るまで。

 普段読む「脱社畜ブログ」はどちらかと言えば淡々とした、余計なものを削ぎ落とした文章(故に説得力もある)の印象が強かったように思う。が、本章ではその時々の感情や思考の移り変わりが描かれており、また違った説得力を持って、「脱社畜」という考え方を捉えることができた。

 

 次の第4章は、「脱社畜」のための手段としてのプライベートプロジェクトの紹介。最後の第5章で、これからの働き方についての総括を行なっている。

 

 著者とはそこそこ歳が近いこともあり、読んでいて共感する点が非常に多かった。参考文献にも挙げられている『ニートの歩き方』(pha著、技術評論社)や、『ノマドと社畜』(谷本真由美著、朝日出版社)と同じく、現代の新しい「仕事観」や、「働き方」の可能性を提供してくれる、良書でございました。

 

 上記の2作品の内容と比べると、本書はちょうどその中間の立ち位置にあるんじゃないかな、と思う。社畜として諦めるのでもなく、立ち向かうのでもなく、さっさと辞めてしまうのでもなく、会社とうまく「付き合う」ための、「脱社畜」という考え方。

 この手の本は上の世代の方々からすれば、「甘いこと言ってんじゃねえ!」とお叱りを受けるような(※個人のイメージです)内容なのかもしれないけれど。日々の考え方と行動を変え、嫌な現状を少しでもより良い方向へ持っていくための、処方箋としていかがでしょうか。

 

 

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