目的もなく街中を歩いていると、いつの間にか住宅地に迷いこんでいることがしばしばある。駅前を歩いていたつもりが、ふと気がついたら、一軒家が立ち並ぶただなかにいた──みたいな。
特に、何もかもがギュウギュウに押しこまれた東京23区では、それが日常茶飯事だ。
繁華街として名高い渋谷・原宿エリアですら、「ふらっと脇道に入ったら閑静な住宅街が広がっていた」なんてことがよくある。駅前や大通りの喧騒はどこへやら、道を1本挟んだだけで雰囲気が変わるからびっくり。あまりに空気が違うから、すわ異世界召喚か!? と期待してしまったじゃないか。まったく。
ただ、繁華街や観光地とは異なり、わざわざ進んで見知らぬ住宅地を歩こうという人は少ないんじゃないかと思う。特に映える建物があるわけでなし、基本的には一軒家やアパートが立ち並ぶのみ。その土地に住まうお猫さまと出会うことはあるかもしれないが、それくらいだ。
しかし一方で、そういった住宅地ならではのスポット、というのもある。あちこちに点在する神社だとか、住人の憩いの場となっている公園だとか。そして、一軒家や個人商店が並ぶなかに、突如としておしゃれな建物が現れることもある。チェーン店ではない、個人経営の喫茶店だ。
先日、日暮里駅から谷中銀座の混雑を抜けて、なんとなしに大通りを避けつつ住宅地を歩いているときに目に入ったのも、そんなおしゃれカフェだった。根津神社にほど近く、神社仏閣やら学校やら一軒家やらが混在したゾーンなので、あまり冒頭に書いたような「住宅地」然とした感じではないかもしれないけれど。
表の看板には、 “cafe yorimichi” の文字。
かふぇよりみち……あなた、ヨリミチっていうのね!
そういえばまだお昼ごはんを食べていなかったと思い出し、お店の前のメニュー表を眺めつつ、店内もチラチラと観察してみる。……よし、どうやら「見るからに常連さんだらけで入りづらい」ような雰囲気ではない様子。お腹もペコペコだったので、こちらでランチをいただくことにしたのでした。
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