ぐるりみち。

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人生を楽にする『無敵の思考』とは?“ルール”に従い“選ぶ”ことをやめる

 ふらっと書店に入ったら、見覚えのある顔が新刊コーナーからこちらを見ていた。本のタイトルは『無敵の思考』。サブタイトルには「誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21」とある。……うん、よく見る感じのタイトルっすね。 “誰でも” の煽り、 “コスパ最強” のフレーズ、そしてお決まりの数字。

 著者名は、ひろゆき。ネット民にとってはおなじみ、2ちゃんねるやニコニコ動画を手がけた「西村博之」その人だ。ちょっと前にインタビュー記事で見かけて以来、そういえばしばらく名前を聞いていなかったなーと思っていたら、いつの間にか新著が出ていたらしい。

 普段はあまり表紙買いをせず、新刊を買うにしても近頃はもっぱら電子書籍がメインになっていた自分。けれど、なんとなーくこの本は気になってしまったのです。 “ひろゆき流「幸福論」” という煽りに釣られたのか、はたまた表紙のドヤ顔と目が合ってしまったからか。目と目が逢う~♪

 ――というわけで、ひろゆきさんの『無敵の思考』を読んだので、その感想をまとめました。関係ないけど、文字にして“ひろゆきさん”って書くと、なんかこうむずむずするというか、違和感があるのはなぜだろうか……。

 

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「選ぶ」のは疲れるから、「ルール」を決めてしまう

 本書を読んでいて特に象徴的に感じられたのが、以下の2点。

  • 日常生活の「ルール」を定めることで、精神的な負担を減らす
  • 精神的なお金の使い方をやめて、役立つスキルを身につける

 引っくるめて言えば、「効率的に幸せに生きる」ための考え方

 筆者自身が実践している、日常生活、仕事、お金にまつわる21の考え方を示しつつ、「こうすれば楽に生きられるんじゃね?」と読者に対して提案するような内容となっている。一般的なビジネス書の体裁を取って入るものの、徹頭徹尾「ひろゆき(さん)っぽいわー」と感じられる内容でした。

「いかに物事を決めないでルールに従って暮らすか」というのは、一見すると怠惰のススメに思えるかもしれませんが、迷わないためのルールを決めるとストレスの少ない生活ができます。

 こう書いてはいるものの、そもそも、日常生活において「ルール」を定める必要はあるのだろうか。ただでさえ職場には規律があり、街中にはマナーやモラルがある。さらに自分の生活を「ルール」で縛ってしまっては、息苦しくなるだけなんじゃ……と、そう感じる人もいるかもしれない。

 筆者曰く、日常生活のストレスは「選択すること」にある、とのこと。

 欲しいものは迷わず買うことのできる金持ちと、欲しいものを買うか買わないかで迷ってしまう貧乏人とでは、生活で感じるストレスの大きさが違う。ならば、あらかじめ買い物の基準として「ルール」を定めておけば、精神的な負荷を減らせるのではないか――と、そのように書いています。

 だから僕は、「こういうときは、こうしておこう」というルールを先に決めます。それで実際に、「これ、違うな」と思ったら、その都度見直してルールを変えます。
 なんとなく生きていると、いろいろ迷ってストレスが溜まりますし、衝動的・感覚的に判断をしてしまって絶対に損します。
 だから、自分でルールを決めて、それにちゃんと従うという生き方は、これから話を進めるにあたって大前提になります。

 複数の選択肢の前で迷うことはストレスになるし、時間ももったいない。しかも、悩んだすえの衝動買いや「なんとなく」の判断は、長期的に見ると損にしかならない場合が多い。

 それならば、自分で決めた「ルール」に従ってすっぱり選択するほうが時間を有効活用できるし、無駄な出費も避けられ、たとえ失敗したとしても割り切りやすい。それに失敗は、「ルール」改善のきっかけにもなる。そうしてストレスを減らすことが、人生の幸福にもつながるのではないか。

 周囲に左右されず、「楽に幸せに生きる」ための考え方。そんな筆者の “無敵の思考” を細分化したものが、本書に書かれている21のルールとなります。

 

幸せになれない消費者と、“無敵”のクリエーター

 序章+1〜3章+終章の構成のなかで説明されている「ルール」は、日常生活における個人的なものだったり、他人との関係性だったり、お金に関する考え方だったりとさまざま。以下、章別に一部抜粋してみましょう。

第1章 これだけで幸せになれる「考え方」のルール
  • ルール2:「年上」の言うことは聞いておく
  • ルール3:「根拠のない自信」を持つ
  • ルール5:イヤなことは「自己正当化」で消す
第2章 これだけで勝てる「能力と仕事」のルール
  • ルール10:「好きすぎること」で食わない
  • ルール13:「努力しないための努力」をする
  • ルール14:「最悪シミュレーション」をしておく
第3章 これだけで損しない「お金」のルール
  • ルール17:お金で「問題解決」をしない
  • ルール19:「元をとる」ことを考える
  • ルール20:買い物は「思想」と「機能」に分ける

 ――どうだろう。なんとなく「ひろゆき(さん)っぽいわー」と感じる項目がちらほらと目に留まるんじゃないかしら。こちらは一部に過ぎませんが、目次*1を見て気になる「ルール」があった人は、試しにパラ読みしてみるといいかもしれません。

 もちろん、すべての「ルール」に共感できる人はあまりいないと思う。ただ、組織に属して暮らしていてはなかなか思い至らなそうな考え方も少なくないので、真似をしようとまでは思わなくても、「そういうのもあるのか!」という気づきを得ることはできるんじゃないだろうか。

 自分の場合、想像以上に共感できた――というか、「自分も同じように実践しているルール」がいくつかありまして。無意識にやっていたことを言語化してもらったような印象すらあり、おもしろく読むことができました。お金まわりの考え方に関しては、「おま俺」を感じる項目がちらほら。

 「モノを買うときは徹底的に調べ尽くして、結局買わないこともある」とか、 “それを我慢したら、その額だけもらえる” の考え方とか。自分もいつも「座って寝ているだけで2万円(新幹線を使った場合の運賃)もらえる! やったー!」とか考えながら、夜行バスに乗っている人ですしおすし。

 あと、ほかに印象的だった項目としては、ルール4 “「モノづくり」をする” などがあります。

 消費者のままの人生から抜け出すためには、クリエーターになるという方法しかありません。モノづくりをする人は幸せを感じることができますからね。
 たとえば、「絵を描いて幸せ」や「写真を撮って幸せ」「文章を書いて幸せ」などということです。
 これらは、「お金をかけなくても幸せになれる手段」なので、それを持っていると、自分の時間さえあれば、その分だけ幸せになれます。つまり、時間があればあるほど幸せを感じられる“無敵状態”になれるわけです。

 要するに「趣味は大切!」という話だとは思うのだけれど、重要なのは “お金をかけなくても幸せになれる手段” という部分。

 考えてみると、継続的な出費が必要となる活動は、そのために余計に時間や体力を消費して働く必要があり……つまり、コスパが悪い。そのように多くのお金と時間を消費し続けるよりは、ほどほどの出費で長年楽しめる趣味のほうがコスパが良いし、幸せでいられるのではないか――という指摘。

 もちろん、本人が無我夢中になるほど楽しんでいれば何ら問題はない、という見方もある。ただ、出費を重ね続けると、有限である金銭・時間・体力のいずれかに限界が来てもおかしくない。それなら、クリエーターとして “コスパの良い” 活動に費やしたほうが生産的なのではないか、と。

 正直に言って、どれだけお金がかかっても夢中になれる「趣味」を持っている人は、それはそれで最高に幸せだとも思うんですよね……。ただ、最近は作品を発表することで対価を得られるサービスもあるし、自分の好きな分野で “クリエーター” を志向するのは理に適っているとも感じた。

 というか僕自身、まさしく筆者の言う「お金をかけなくても幸せになれる手段」を趣味・仕事としているので……。こうして本を読んで感想を書くのは楽しいし、いろいろと適当にブログに書き殴り続けているだけで満たされている感じがある。これも一種の “無敵状態” と言える……かも?

 これから先、日本の失業率はものすごく上がっていくでしょう。そして、スキルのない人が苦労する時代になっていくと思います。

  • スキルを身につけてお金を稼いで幸せを目指すか
  • お金がなくても工夫して幸せを目指すか

 その二択に分かれていくのです。
 どちらがいいかという話ではなく、どちらであっても「考え方」次第で軸をちゃんと決めて自分を正当化することが大事です。
 つまり、「物理的な自分」と「頭の中の自分」を一致させるということです。
 それができないと、お金の有無にかかわらず、不幸な人生が待っていることになります。

 結局は考え方次第なのだろうけれど、「お金をかけずに楽しめる趣味」を自分なりに見つけておくことは、今後の人生をきっと豊かなものにしてくれるはず。

 本書を勧めるとすれば、ちょうど膨大な数の “選択肢” の海に向き合っているだろう大学生あたりにおすすめできそう。特に「お金」や「スキル」関係の考え方はおもしろく読めるはずです。自分にとっての「ルール」を決めて、迷わず楽しく、試行錯誤を重ねていきませう。

 

 ――というわけで、簡単にではありますが、『無敵の思考』の感想でした。

 本書を読んでいて一点だけ気になったのが、項目によっては内容が薄いように感じられたこと。しっかりと事例や考え方も挙げつつ解説されている「ルール」がある一方で、なんか妙に改行が多い項目もあるような……と。そう思いつつ最後まで読んでたら、後書きに答えがありました。

 とはいえ、この本は編集者の種岡健さんに、過去に書いたことや話したことをまとめていただいただけなので、ちゃんと自分で書いたのは、「おわりに」だけなんですけどね。

 Amazonに低評価レビューが散見されるのも、どうやらそれが原因の様子。個人的にはとても興味深く読むことができたので、大満足ではあるのですが。と同時に、レビュワーさんの文章を読んで動画を見たくなったので、あとでチェックしてみることにします。ガジェット通信の公式動画、でいいのかな?

 

 

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